2020年9月7日発売の週刊ヤングマガジン2020年41号で、『寄生列島』17話が掲載されました。
『寄生列島』17話は、前回明らかになった生徒会長・桂の感染。
その力が暴走し、もはや独裁者となりつつある桂の学校で、千尋達は逃げだそうと画策します。
本記事では、『寄生列島』17話『暴走する学園』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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寄生列島17話のあらすじネタバレ
学園を守る『自警団』の立案者であり、生徒会長兼空手部長を務め生徒達からの信頼も厚かった桂でしたが、その彼も既に寄生虫に感染しており、松野が持っていた猟銃で、松野を撃ち殺しました。
それを見た生徒達は学校から逃げだしました。
松野の死体を前に、片付けておけと空手部員に伝えますが、突然のことに部員達は動けません。
校庭にでも埋めておけばいいと冷静に桂は言いますが、部員達は顔を見合わせるばかりで動こうとはしませんでした。
そんな部員達に銃口を向けて、桂は強制的にやらせようとします。
全ての出入り口の封鎖を命じ、秩序・規律を乱すものは1人残らず制裁を加えると言う桂。
感染しながらも、その行動方針は『学校を守る』という理念があるようです。
ドアには鎖が巻かれた南京錠、窓は板が打ち付けられて脱出も容易ではありません。
駒井は桂の異常性に気付き、大島の目の中に虫がいたことを寛太に伝えます。
それが寄生虫であり、桂もそのせいでおかしくなっていると気付いた駒井は、早く逃げようと寛太に言いますが、学校は見張りだらけで桂は銃を所持していることから逃げ出すことは困難だと言います。
駒井もそれには同意し、反論は出来ません。
しかし、寛太は策があるにはあると言い、成功しても失敗してもやるしかないと駒井に協力を要請します。
迷うこと無く、駒井もその要請に応じます。
一方、保健室では千尋と委員長が松野に脅された女生徒を慰めていました。
まだ封鎖されていない保健室の窓から、保険医は足を掛け、逃げ出すことに成功しましたが、見回りに来た空手部員に千尋達は捕まってしまいました。
グラウンド脇の倉庫では、逃げようとした男子生徒が粛正という名目で殴られていました。
捕まった千尋は、他の女生徒と共に教室に閉じ込められていました。
桂をバグったと表現する女子生徒はこんな状況のせいか千尋にも『東京もん』と冷たく当たることはしませんでした。
そんな会話の中、食料配給の放送が流れ、空手部員に案内されていくと、そこは男子トイレでした。
状況を理解出来ない委員長が尋ねると、食料は島の貴重な財産であり、相応の対価を払わなくてはならないと冷静な空手部員。
財産を守るために献身的に働く我々のために奉仕するべきだと桂の言葉に従っているといいますが、千尋も理解出来ない様子です。
お互い気持ちよくなれば好きなだけ食料を……と千尋の肩に手を回す桂の手下に、千尋は怯まずに男子生徒の胸ぐらを掴み、桂と話をさせるように言います。
桂の元に連れて行かれた千尋を、桂は骨がある頼もしい女性、自警団の女性代表として働いて欲しいくらいだと評価していました。
島の食料の為にお互い助け合わなくてはならないと桂は言いますが、そんな桂を病気であり、お父さんが治療してくれるからここを出ようと千尋は訴えます。
そんな言葉を一笑し、命令によって空手部員達が千尋を取り囲みます。
そんな男たちの中に、野球ボールが投げ込まれ、顔面にヒットしました。
野球部員である本領発揮とばかりに登場した駒井と、カゴいっぱいのボールを持った寛太。
味方が出来た今は、もう千尋は『東京もん』の独りきりではありませんでした。
寄生列島17話の感想と考察
桂はきっと根が真面目なのでしょう。
真面目な中でもやっぱり倫理観や理性が働き、目をつぶらなくてはならないこともありましたが、感染した今は『学校を守る』という自分の正義を貫く事にしか出来なくなってしまいました。
これは現実社会でもあるように、『正義』と盾になんでもやっていいというような風潮が見うけられたりもします。
例えば昨今で言えば『マスク警察』と呼ばれるようなものもありました。
マスクをしていないからと陰湿な嫌がらせをするというものですが、確かに人混みでマスクが必須となった今の社会でマスクをしていない事は問題ではあります。
それに対する行動が問題でありました。
マスクをしている自分が正しいという主張もそれはそれで正しいのですが、やり過ぎはよくありません。
桂を見ているとそんな事を思いました。
保険医の先生は『早く!』と後に続くように言って逃げましたが、どうにも千尋達を囮にして逃げた感じが否めません。
この保険医が後で良い展開をもたらしてくれることを期待します。
そして、相変わらずこの島の男たちは女性に対してすぐ性的な奉仕を求めます。
長老や町内会長がそんな考えだから高校生達もそうなのかと思いましたが、この桂の手下達も実は既に感染していたという流れが来てもおかしくはありません。
現実社会でも村や島といった小さな社会では世代間の考えがそのまま受け継がれていくのかもしれません。
そういう意味ではネット環境をもっと広めて、今の男女平等を目指す社会の在り方を知っていかなくてはならないと思いました。
色々と現実社会を揶揄しながら描いている作品なのかなと感じつつ、最後の駒井がかっこよかったです。
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