2020年1月20日発売の週刊ヤングマガジン2020年8号で、『首を斬らねば分かるまい』11話が掲載されました。
『首を斬らねば分かるまい』11話は、船中だろうと構わず晴美が強引にベッドインされた幸乃助。
救ったのは大久保卿ですが、その大久保卿に会議の様子を見るように連れて行かれます。
渡航の目的と大久保卿の確固たる決意を見せつけられた一同を乗せて、船はアメリカに到着します。
本記事では、『首を斬らねば分かるまい』11話『船中会議』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
<< 前話 | 一覧 | 次話 >> |
首を斬らねば分かるまい11話のあらすじネタバレ
幸乃助の家と同様、岩倉使節団の船の中だろうと構わずに強引に迫る晴美。
抵抗するも、逆に晴美の方が連れ込まれて弄ばれたと主張すると半ば強迫じみた宣言をします。
抵抗出来なくなった幸之助の部屋のドアを開けたのは七歳の梅子です。
流石に晴美もその手を止めますが、梅子はやめてしまう事に疑問を持ちます。
どうやら母に男女の営みというものを教えられたそうで、興味津々の梅子は見せて欲しいと懇願します。
頼まれたのだから晴美が止める理由ももうありません。
板挟み状態になった幸乃助を助けたのは、大久保卿でした。
真に眼福であると笑って済ませますが、皆に冷やかされる事の無いようにと注意します。
幸乃助を呼びに来たのは会議の様子を見せたかったからです。
張り詰めた空気の中、岩倉具視は条約の話は禁止と切り出します。
岩倉使節団の目的の一つは不平等条約の改正にありました。
安政五ヶ国条約という、安政五年に幕府が欧米諸国と結ばされた治外法権・関税主導等で日本に不利な条約を改正する為です。
日本も近代国家の仲間入りを果たしたと挨拶から入るのが筋と主張する岩倉。
しかし、伊藤博文は政府の主要人物が一年半も日本を空けての洋行なのだから大統領との謁見に加えて国務大臣に打診くらいは……と反論。
更に意を唱えるのは、近代国家と言っても封建制度を壊しただけで刑事面ではまだ整備されていないと主張する木戸孝允です。
『斬首刑』を先進国が知ったら大いに眉を潜めるといい、幸乃助は思う所がありそうな表情に。
そんな理由から視察に留めるべきと三人は合意して会議は終わりそうでしたが、大久保卿は日本を殺すつもりですかと反論。
アジアを支配下にしようと帝国主義列強は動いているのは明らかであると断言します。
条約改正を果たせないならここで船を沈没させても大差は無いと、炎の燃え盛るランプを床に叩き付け船を燃やそうとします。
その決意に押されて会議は終幕。
ひと月半の船旅の途中も、大久保卿の条約改正へのその意志は頑として揺らぐことは無く、一八七一年十二月。
岩倉使節団はアメリカに到着します。
到着を聞いたアメリカ合衆国18代大統領ユリシーズ・グラントは奴らの葬式だと、派手な歓迎を指示します。
首を斬らねば分かるまい11話の感想と考察
進んで行っているわけではないですが、一話の兄のようなポジションになりかけましたね。
性行為を人に見せるという行為だけで考えたら、達臣と晴美が組んだら面白そうではあります。
七歳の梅子が昔男女の営みというものを聞いたと言っているので、後に女性教育の母と言われるだけあって教育が早いです。
今の時代では……というか今の方がそういう事を隠したがる傾向が強い風潮があるように思えるので、梅子の母の教育は良かったのかもしれません。
単純に興味だけで見せて欲しいと七歳の無垢な少女に頼まれて、幸乃助も困ったでしょう。
前には晴美、後ろには梅子と正に『前門の虎後門の狼』です。
この作品がR-18指定だったら梅子も参加させられる展開が……など考えましたが、創作物とはいえ年齢的にアウトですね。
助けてくれた大久保卿は大物らしい寛容な態度でしたが、これも幸乃助を認めているからなのかもしれません。
その大久保卿の強引な意見の通し方というか、覚悟の見せ方はレベルが違います。
条約改正をしないならこの洋行を中止しても同じだ。など言葉でいくらでも言えるのと思うのですが、実際に船に火を点けてしまう辺りが大物ゆえの行動力であり、その行動力があるからこそ歴史に名を残せたのかなとも思います。
史実の人物がそのまま登場しているので、もしかしたら幸乃助も実在しているのかと思って調べましたが『愛洲幸乃助』で出るのはこの作品の事だけでした。
幸乃助はまだ初日なのに晴美さんに迫られましたが、残りのひと月半はどうだったのかが気になる所です。
毎日毎日別に好きでもないのに迫られたらおちおちベッドにも入れず、兎着したころには既に疲弊しきっていそうです。
最後に登場した大統領の悪そうな感じが、この当時の日本から見た海外の脅威を表現しているような気がします。
今でこそ日本とアメリカのトップ同士は友好関係が良好に見えますが、この当時はまだ完全に日本が下だった事が明らかです。
この不穏な『歓迎』が明かされる次回が楽しみです。
<< 前話 | 一覧 | 次話 >> |
