『私たちはどうかしている』は、漫画雑誌『BE・LOVE』(講談社)にて、2016年24号から連載されている安藤なつみ先生による人気漫画です。
2020年には浜辺美波と横浜流星主演でドラマ化されるなど、話題の作品です。
9巻は、再会する椿と七桜。
会いたかった気持ちがいつしか恨みに・・・。
本記事では、『私たちはどうかしている』9巻のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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漫画『私たちはどうかしている』9巻のあらすじネタバレ
42話 空白の3年間
光月庵の火事から6ヶ月経った頃、七桜は小さな和菓子屋「和沙」に住み込みで働いていました。
七桜は全てを忘れるくらい、がむしゃらに働いていました。
そんな中でも多喜川はいつも七桜に会いに来ていました。
やってきた多喜川に、もう来ないでくださいと言う七桜。
七桜はもう迷惑をかけられないから自分の夢は自分の力でなんとかすると言うも、多喜川はそういうところが好きだなと言い、毎週来るよと笑顔で言ってお菓子を食べて帰っていきました。
和沙の主人から七桜も上生菓子を作ってほしいと言われ、七桜はとても喜び頑張って作っていました。
しかしある日、お店に警察がやってきて、半年前の火事があった日、七桜が大旦那の部屋から出てきたのを見たという情報があると言いました。
七桜は顔が真っ青になり、女将が嘘の証言をしたんだと思いました。
それからテレビを見ていると女将がインタビューに答えていて、18年前店をダメにしようとした職人がやってきたがその鬼には天罰が下ったと話しているのを見て、七桜は思わずテレビを消し、店を飛び出していきました。
全てを忘れたいのに、警察はまた和沙にやってくるだろう、もうここにはいられないと泣きながら、雪の中、山の奥へ奥へと走っていく七桜。
辺りは真っ暗になりどこにいるのか分からなくなった時、がけから落ちてしばらくすると気を失ってしまいました。
七桜が次に気がついた時、多喜川が一生懸命、七桜に声をかけていました。
このまま眠りたいと意識が少しずつ遠のく七桜に、多喜川は起きろ!と励まし、七桜がいなくなったらお母さんは二回死ぬことになる!と言いました。
それを聞いて七桜は、女将が光月庵にいる限り、母親はずっと汚されると思い、七桜は泣きながら多喜川に言いました。
いつか必ず返すから、私に店をください、と。
43話 信念
目の前にいるのに、自分だと気付いてない椿を見て、目が見えてないことに驚いた七桜。
その時、椿を呼ぶ栞を見つけ、七桜は慌てて木々の中に隠れました。
そして椿は栞と一緒に店に帰っていきました。
それから選定会での結果の電話が光月庵にかかってきて、光月庵が選ばれました。
椿は一安心するも、「花がすみ」という店は気にするほどでもないのかなと思っていました。
その頃、同じく選定会の結果を聞いた七桜は、自分の店で多喜川に報告をしていました。
多喜川は七桜のお菓子は世界で一番おいしいと言い、椿に会ったのかと尋ねます。
七桜は会ってないと答えました。
――――― 東京で住み込みのお菓子職人をしていた時、一度だけ光月庵のお菓子を食べた。
その時、椿が作ってないとすぐに分かって絶望した。
椿は光月庵を自分のものにしたかっただけ、私は全てを失った。
目が悪いからお菓子を作れない?椿がお菓子を作らない理由なんて私には関係ない。―――――
それから椿は病院に行っていました。
以前よりぼやけることが多くなったという椿に、医者は火事の後遺症だろうと言い、このままだと失明してしまうからすぐに手術をした方がいいと言うも、椿は今すぐはできないと断ります。
椿は1月の園遊会のお菓子で評判を落とすことがないように絶対自分が作る、その時までこの目が持つだろうかと思いました。
それから店に戻った椿は、女将に来客中であることに気づきます。
2人が話す声が聞こえてきて、先生のおかげで園遊会のお菓子が決まって良かったという言葉に、椿は驚き、どういうことだと言って部屋の扉を開けました。
その状況に気まずさを感じた市議は失礼すると言って帰っていきました。
椿は女将に、選定員に手をまわしたのかと怒鳴ると、女将は根回しがなければ他の店に決まっていたかもしれない、光月庵は常に一番でなければいけない、と言います。
椿は、女将と同じ血が流れていると思うと反吐が出ると言い放って部屋を出て行きました。
その時、栞が廊下で聞いていたのに気づき、幻滅しただろう、早く光月庵を出ていった方がいいと言って去っていこうとすると、栞は突然、椿の歩き方が好きだと言いました。
歩き方が美しい人は神様に導かれる、幻滅なんてしないと栞は言いました。
椿は、市議が「花がすみ」という名前を出していたことが妙に気になって、五月雨亭に電話をしてみました。
椿は「花がすみ」の店の住所を聞きだし、店へと向かいました。
その時、七桜は光月庵から帰っていった市議とぶつかってしまい、お詫びにと、花がすみの店へと誘いました。
44話 花蕾
花かざりでお菓子を食べた市議は美味しい!と言い、お土産に買って帰ると言いました。
七桜がお菓子を包んでいると、そこへ椿が店の中へ入ってきました。
小さなお店だなと思いながらも、陳列されているお菓子を見て、このお菓子を知っていると思った時、市議と目が合います。
市議は椿に、ライバル店が気になったんですかねと言った時、中から七桜がやってきて、椿が来ていることに驚きます。
椿と七桜、一瞬二人の間には時間が止まりました。
しかしすぐに七桜は市議にお菓子を渡し、見送りました。
そして市議を見送った後、七桜は「お客様、お菓子はお持ち帰りでよろしいですか?」と尋ねました。
椿は七桜がシラを切り通そうとするのにイラっとしながら、ここで生菓子をいただくと言いました。
お菓子の説明をして奥へ入っていこうとする七桜に、光月庵の近くに店を出すなんてどういうことだと椿は言いました。
七桜は自分の店を持つのが夢だったと言うと、椿はあの火事の日、どうして消えたんだと問い詰めます。
七桜は冷静に、椿はあの時、これまで全て嘘だったのかと聞いたが、全部嘘だった、私は「さくら」だと言います。
さらに七桜は、あの火事の日、椿は私の約束より大切なものを取りに行った、でもあれは私のものだと言った時、椿は怒りが込み上げていました。
その時、多喜川がやってきて、ここは彼女と僕の二人の店だ、彼女を傷つけることは僕が許さないと言いました。
そして椿は店をあとにしました。
七桜に会わなければよかった、幸せな思いでだけ大切にしておけばよかった、会えば憎しみがまた生まれるのにと思う椿の目には涙が溢れていました。
光月庵に戻った椿は来客だから出て欲しいと言われ、部屋に行くと、五月雨亭の主がいました。
五月雨亭の主のお姉さんが、温泉街で旅館の女将をしていて、「和菓子フェア」という温泉と和菓子を食べるプランをセットにしたものを企画したいと言っていて光月庵に協力してほしいと話しました。
すると五月雨亭の主は、姉は「花がすみ」のお菓子も気になっているようだと言うと、椿はそれなら「花がすみ」と一緒にするのはどうかと提案しました。
女将は顔色を変えて拒否するも、椿の提案に、五月雨亭の主も喜び、一緒にするということで引き受けることになりました。
それから七桜のところにも電話が入り、光月庵と一緒に和菓子フェアをすることで今度一緒に打ち合わせをするという連絡がきました。
それを聞いた多喜川は何か裏があるはずだと言った時、また電話がかかってきて、今度は小豆業者からでした。
小豆業者は花がすみに小豆はもう卸せないという電話で、七桜はきっと女将の仕業に違いないと思いました。
週明けに炉開きの茶会でお菓子を用意しないといけないのに、質のいい小豆が手に入らないのならどうするべきかと、七桜は考えに考え抜きました。
そして炉開きの茶会の日、そこには椿、女将、そして五月雨亭の主、姉も参加していました。
お茶菓子が配られると、女将は花がすみではなく、別のお店に頼んだのだろうと思っていました。
その場にいる人たちからお茶菓子が美味しいという声が次々と出てきて、女将も美味しいと食べてこのお菓子はどこのお店かと尋ねました。
すると五月雨亭の主は「花がすみ」だと答えました。
驚く女将の隣で、椿は花がすみさんはどちらにおられるのかと尋ねると、主は前から来られているがお茶の席に自分は不相応だと隣の部屋にいると言いました。
やっぱり呼びましょうと主が言い、七桜を呼び、七桜は部屋に入ってきました。
茶席に同席していた城島は、七桜が入ってきたことにとても驚きました。
45話 和倉温泉
茶室に入ってきた七桜は、五月雨亭の主からお菓子が美味しかった、特にこのあんが美味しかったと言われます。
椿がどうして完璧なお菓子を作っているのに茶席に参加しなかったのかと言うと、七桜は急に小豆業者から卸せなくなって、使い勝手の悪いあんで作ったから不安だったと話しました。
五月雨亭の主は悪いあんだなんて思わなかったと言うと、七桜は小豆にもそれぞれ性格がある、その性質にあわせて作れば美味しくなると話すと、主は今度小豆やを紹介すると言いました。
七桜はそれを聞いて、嬉しいですと言い、末永くお付き合いさせていただきたいですと言いました。
そして茶席が終わる時、五月雨亭の主の姉が、光月庵と花がすみは今度和倉にある旅館に週末泊りに来て欲しい、旅館の雰囲気でお菓子をそれぞれ考えてほしいと話しました。
椿と七桜は、ぜひ行かせてくださいと言いました。
茶会が終わり、女将と椿が二人きりになった時、女将は花がすみの店主が七桜だということを知っていたのねと椿に言うと、椿は小豆業者に手を回したようだが、七桜には通じない、七桜は光月庵を乗っ取ろうと考えていると言いました。
さらに椿は18年前、父を殺したのは自分の母親ではないと信じていると言うと、女将は私は違う、それはあなたが証明してくれたと言いました。
――――― 18年前のあの日、椿は眠れずに縁側に座っていると、女将がやってきて女将の部屋で一緒に寝ることになりました。
一睡もできなかった椿は、女将が部屋から一歩も出ていないのを今でも覚えていたのでした。―――――
椿は、改めて聞けてよかった、光月庵から殺人者を出すわけにはいかないと言って去っていきました。
女将は七桜がまた目の前に現れたこと、さらに光月庵を乗っ取ろうとしていることを聞き、怒りが収まりませんでした。
その頃、七桜を呼びとめるのは城島でした。
城島はずっと心配していた、どうしていたのかと問い詰めるも、七桜は謝り、火事の時はありがとうと言います。
そして今は自分のお店を持てて幸せだから心配しないでと言って、多喜川と去っていきました。
週末になり、椿と七桜はそれぞれ温泉旅館「こまち」に到着しました。
女将からは2日間だけれどゆっくりしていってくださいと言われ、隣同士の部屋にそれぞれ案内されます。
海がすぐそばにあり、温泉に初めて来た七桜はとても嬉しい気持ちの反面、隣の部屋に椿がいると思うと胸がざわざわしていました。
夕食は豪華な海の幸が用意され、椿と七桜は一緒に食事をとりました。
食事をしながら、椿はどんなお菓子を考えているのかと尋ねると、七桜は一つのお盆にいろんな和菓子を乗せてお膳のようにしたい、海を感じるものにしたいと言いました。
椿は海はやめた方がいい、そんなことも分からないのかと言うと、七桜はむっとします。
そして今度は七桜は椿にどんなお菓子を考えているのかと、和倉にはたくさん俳人が訪れているからそれを感じられるお菓子にしたいと言うと、七桜は地味だと言い、お互いむきになっていい合いになりました。
それからそれぞれ部屋に戻ると、七桜の部屋へ、仲居がやってきて今屋上の露天風呂は女性の入浴時間になっていると言いにやってきました。
それを聞いて七桜は屋上の露天風呂へと向かいました。
その頃、光月庵では城島が栞に、花がすみの店主は七桜だと聞かされます。
さらに城島は、今和倉に七桜も行っていること、椿は七桜の前では怒ったり照れたりすること、だから椿を手に入れようなんて無理だと言いました。
そして七桜は裸になり、露天風呂へ浸かると、椿が露天風呂に浸かっていることに気づき、恥ずかしそうに今は女性の入浴時間だと言うと、椿が30分前から男性の時間だと言いました。
驚いた七桜に、ちょうど別の男性2人組が露天風呂に入ってきて、椿はすぐさま七桜を自分の身体で隠すように七桜に背中を向けました。
――――― 光月庵にいた頃、椿の大きな背中に抱きついたこと、椿と愛し合ったこと、椿と手を握ったこと、あの頃のことが七桜の頭の中に浮かんできました。―――――
その頃、暗がりの部屋の中、栞が一人座り込んでいました。
女将がやってきて、どうしたのかと尋ねると、栞はこう言いました。
「椿の子を妊娠しているみたいです」と。

漫画『私たちはどうかしている』9巻の感想と考察
椿と七桜はお互い恨み合いっこしているけれど、本当はお互い好きな気持ちはまだ残っているんじゃないかなと思いますよね。
お互い向き合って、愛し合ったからこそ、3年経ってもその気持ちはどこかに残っているのだと思いますし、もう少しお互い正直に話をすれば二人の関係はまた復活することだってあるように感じます。
多喜川は七桜のサポーターだと思っていたのですが、かなり七桜のことを好きになってるような気がします。
もしかしたら多喜川のプッシュがあれば、今なら七桜も多喜川の方へいってしまうかもしれません。
私は椿と復縁してほしいと思っているので、この和倉でぜひ二人の溝を埋めてほしいです。
しかし、あの仲居に言われて露天風呂に行ったのに、男性の入浴時間だったなんて、明らかにあの仲居は怪しいですよね。
もしかしたらまた女将がお金でも握らせて、あの仲居に指図したのかもしれません。
それと栞の言動にはびっくりしました。
栞は素直で純粋で、椿への想いも真っ直ぐで素敵な女性だと思っていたけれど、まさかあんな嘘をつくなんて、正直ちょっとショックでした。
すぐにバレる嘘だし、何よりバレたら、椿に一番嫌われることなのに、そこまでして椿と一緒になってもきっと自責の念で辛くなりそうですよね。
栞は一体どうするのか、次の展開が楽しみです。
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