『私たちはどうかしている』は、漫画雑誌『BE・LOVE』(講談社)にて、2016年24号から連載されている安藤なつみ先生による人気漫画です。
2020年には浜辺美波と横浜流星主演でドラマ化されるなど、話題の作品です。
8巻は、光月庵が火事になり、七桜はそれ以来、椿の前から姿を消してしまいました。
それから光月庵では・・・。
本記事では、『私たちはどうかしている』8巻のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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漫画『私たちはどうかしている』8巻のあらすじネタバレ
37話 赤の目覚め
光月庵の家事のあと、10日間、椿は意識が戻りませんでした。
そして目覚めた時にはもう七桜はいなくなっていました。
火事から10ヶ月、光月庵では椿が和菓子教室を開いていました。
女将は和菓子教室をする椿のことをいいようには思っておらず、当主がそんなことをするものではないと否定します。
さらに女将は七桜を探すのはもうやめて他に向き合う人がいると言いました。
椿も七桜に会いたいのか会いたくないのか、正直自分の気持ちが分からなくなっていました。
その頃、長谷屋の栞はもうすぐ結婚をする予定でしたが、光月庵の椿が開催する和菓子教室にせっせと通っていました。
大雨で誰も来ないだろうという日でも栞だけはひとり和菓子教室に来ていました。
――――― あの火事の時、煙で倒れていた椿を助けに母家に入ったのは栞でした。
そのせいで栞は顔に大きなけがを負ってしまいましたが、椿が10日ぶりに目覚めると、栞は泣いて喜んでいました。―――――
栞の作ったお菓子の色が赤かったので、椿が声をかけると、漆黒のお皿に盛りつけるようだったから濃い方がいいかと思ったと言い、昔から美人な姉二人に囲まれてなんとか自分も目立つために子どもの頃から赤い着物を身に付けていたと言いました。
そんな赤いお菓子をお皿に乗せると、椿はとてもよく合ってると言い、自分は好きだと言いました。
その言葉にどきっとする栞。
一度人生を狂わされた人であることも分かっているが、栞の中で赤い火が灯だしました。
2日後の長谷屋では栞の結納が始まっていました。
栞の両親は顔に傷を負った娘との結婚を進めてもらってと感謝を伝えると、相手は表に出てもらうようなことはしないし、和菓子教室ももうやめて家を守ってもらいたいと言いました。
今度こそ自分が幸せにならないといけないと思う反面、栞にはみんなの声が遠くに聞こえていました。
それから栞は両親の前で土下座をして謝りました。
自分にはどうしても欲しいものがある、と。
38話 茨の道へ
栞の父は栞の頬を思いっきりビンタしました。
全部お前の幸せのためにやっているのに、なんてことを言うんだと大声で怒鳴りました。
そんな父を前に栞は、何の取り柄もないから早く嫁に行けと言い続けてきた父の言葉をずっと信じていたが、もう私を自由にしてほしいと言いました。
栞の父は、あの男だなと言い、出ていけ、この家の敷居を二度と渡るなと言い放ちました。
栞は荷物をまとめて出ていきます。
それから栞の父は光月庵に乗り込み、椿に対して栞をたぶらかしてどうするんだ、栞は結納をぶち壊して出て行ったと話しました。
事情を知らない椿に対して、栞の父は怒りが収まらず、椿を殴り、栞に長谷屋の名前を一生名乗るなと言い放って出て行きました。
その頃、栞は住み込みで働ける場所を探していました。
しかしどこも募集していないと断られ、今日も路上に寝ることになった栞。
寝ようとした時、泥棒が栞の荷物を奪い去ろうとしていました。
それに気づいた栞はさらに、泥棒が光月庵の菓子帳を奪おうとし、それだけはやめてくれと言う栞に一人の男性が泥棒を抑えつけました。
それは椿でした。
栞が礼を言うと、2人はベンチに座って話し始めました。
――――― 栞は椿と初めて出会った日のことを思い出していました。
絵付けの展示会に出ていた時、椿がやってきて、栞の作品に目を留め、会話をし、椿柄の茶碗を買っていったことを思い出していました。―――――
栞は椿に、光月庵に住み込みで雇ってほしいと頭を下げます。
椿は素質がないと思ったらすぐ追い出すと言い、栞は嬉しくて泣きだしてしまいます。
栞は茨の道になると分かっていても、この人の側にいたい、そのためには秘密を隠し続けると思いました。
39話 3回目の秋
あの火事から3回目の秋を迎えようとしていた光月庵。
栞はすっかり看板娘になり、光月庵のお客様に愛される人になっていました。
椿は大旦那の仕事もしていて、お菓子を作ることから離れてしまっていました。
女将は栞を呼び出し、光月庵に来て2年経つのに、椿とは何もないのかと尋ねると、恥ずかしそうにしながら何も答えませんでした。
そんな栞を見て、女将は栞の耳の裏に香り付きのクリームをさっと塗り、男を虜にする香りだから時には自分から攻めないとと言いました。
栞が部屋から出ると、椿が椅子でうたた寝をしているのを見つけました。
栞は椿が寝ている間に、椿の着物のほつれを直していました。
目が覚めた椿は栞に気付き、早く寝てくださいと言う栞に、椿はまだ少しここにいると言いました。
その時、椿は七桜のことを考えていました。
きっとどこかで嬉しそうにお菓子を作っているのだろう、きっとどこかで幸せに過ごしているんだろうと。
翌日、椿が大旦那のお見舞いに行こうとした時、栞もお使いに出かけようとしていました。
そして椿は栞に、今度新しい着物を選んでもらえないか、たまには一緒にでかけませんかと言いました。
椿の言葉にとても喜んだ栞は、お使いの先でも椿の言葉が頭から離れませんでした。
バスが来るのをぼーっと待っていた栞は、バスに気付いて慌てて乗ろうと立ち上がった瞬間、隣に座っていた男の子にぶつかってしまいました。
男の子はその時持っていたトンボを離してしまい、栞が謝るも、男の子は大声で泣いていました。
その時、一人の女性が来て、トンボの描かれたお菓子を差しだし、これじゃだめかなと言いました。
泣いていた男の子は、トンボのお菓子に驚いてすぐに泣き止み、男の子の母親もお礼を言いました。
その和菓子を見た瞬間、とても繊細な作りに栞は、もしかしてと思い、その女性の手首を離しませんでした。
その女性は七桜でした。
栞にとって、この世で一番会いたくない人でした。
その頃、椿のところに週刊誌の記者がやってきました。
記者は、光月庵の火事の真相や、18年前の事件の真相を調べたらおもしろいと思うと言いました。
40話 花がすみ
栞と七桜はカフェでお茶をすることになりました。
3年ぶりに見る七桜はとても雰囲気が変わった印象を受けた栞。
そして栞はこれまでどうしていたのかと七桜に尋ねると、東京のお店で修業をさせてもらって、3ヶ月前に金沢に戻ってきて自分の店を持ったと言います。
そして七桜は栞はどうしているのかと尋ねると、栞は光月庵に働かせてもらっていると言うと、驚く七桜でしたが、栞が看板娘ならお客さんも喜びそうと笑顔で言います。
栞はとても複雑な気持ちになりました。
椿のことをもう気になってないような七桜を見て、金沢にお店を持ったらお客さんの奪い合いとか気にならないのかと栞は尋ねました。
すると七桜は、今の光月庵のお菓子は椿が全然作ってないと言うと、栞は大旦那の仕事をしていて椿は忙しいと言うと、美しくて美味しいお菓子を作る以外に大事なことはあるのかと七桜は言います。
そしてそんな店に負ける気がしないという七桜に、栞は怒りのような気持ちがこみあげてきて、光月庵は立派なお店だと言ってお代を置いて出て行きました。
花がすみのお店に雨でずぶ濡れになった七桜が戻ってきました。
お店にいた多喜川は七桜に驚き、タオルで七桜の頭を拭くと、七桜は栞に会った、急だったから動揺して余計なことを言ってしまったかもしれないと言いました。
そんな七桜を多喜川が抱きしめると、七桜は驚きます。
すると多喜川はてっきり泣いているのかと思ったと言い、七桜は泣くわけないと言ってお菓子を作り始めました。
それから3日後、女将は五月雨亭のお菓子が光月庵に決まらなかったことに怒りを露わにしていました。
椿は新春園遊会のお菓子はまだ決まってないし、その選定は来週あると言いました。
そしてそのお菓子は自分で作ると椿が言いました。
その頃、花がすみの七桜の元にも新春園遊会のお菓子の依頼がきていました。
その電話で椿も参加することを知った七桜。
お菓子のテーマは「月」。
七桜は楽しみにしていると伝えてくださいと言いました。
41話 選定会
七桜は選定会に出すお菓子を夜が明けるまで試行錯誤しながら作っていました。
その様子を見て多喜川は、七桜は光月庵を乗っ取って、ママの残したお菓子を光月庵から出すという思いに変わりはないことを確信するのでした。
一方、光月庵では椿も選定会に出すお菓子の試作をしていました。
職人や栞の意見を聞いていると、栞が選定会のお皿は白磁のものだったから色が淡いものだと沈んでしまうのではないかと言い、椿はお皿のことまで考えていなかったと言ってさらに考え直すと言いました。
夜道、月あかりの下を椿が歩いていると、水たまりに映った月を見て何かをひらめき、厨房に戻って椿はまた作り始めました。
その様子を見て栞は何か手伝えることはないかと声をかけるも、大丈夫だと答える椿。
その時、椿が手にしていた三角棒を地面に落としてしまい拾おうとするも、何やら異変に気付いた椿は、何事もなかったかのように、栞にその落とした三角棒を拾ってほしいと頼みました。
椿が夜通し作ったお菓子は、水面に映った月も表現されておりとても美しいお菓子にみんなため息が出る程でした。
その頃、女将は五月雨亭の選定員をしている市議と密会をしていました。
女将は何卒ご贔屓にと包み箱を渡していました。
そして選定会当日、五月雨亭にはそれぞれの店からたくさんの和菓子が運ばれていました。
椿はこの選定会に「花がすみ」も参加していることを知り、一体どんなお菓子を出すのか気になっていました。
椿がお菓子を提出した後、自分の異変に気づき、自分は茶亭にも挨拶に行くから山口には先に帰るよう伝え、五月雨亭の庭の木に寄りかかっていました。
その時、七桜もお菓子を提出し、結果が出るまで五月雨亭の庭を見て待っていました。
七桜の提出したお菓子は、中から黒蜜が出てきてまるで月が浮かんでいるようなとてもアイデアに溢れたお菓子で、選定員たちからも好評価をもらっていました。
七桜が庭を歩いていると、椿の姿に気づき、一瞬心臓が止まりそうになります。
七桜は、光月庵の後継者は自分だと強く思い、椿に近づいていきます。
しかし椿は七桜が前にいるにも関わらず、誰かいるのかと言います。
そしてその直後、椿がふらつき倒れそうになり、七桜が支えるも、七桜だとは見えておらず、すぐに戻るので大丈夫ですと言うのでした。

漫画『私たちはどうかしている』8巻の感想と考察
3年の間に椿も七桜もいろんなことがあって、あっという間の3年だったんだなと思いました。
七桜は光月庵を乗っ取ろうとしているのには驚きましたが、もしかしたら3年の間に恨みに近い思いの方が大きくなっていったのかもしれませんね。
椿は七桜に会いたいのか会いたくないのか複雑な気持ちが出ていて、でも身近にいる栞の存在も大切に想うようになってきていて、なんだか心境の変化がリアルだなと思いました。
しかし椿は目が見えなくなっているということなんでしょうか。
火事の後遺症なのか、また治療したら治るものなのか、職人にとって目が見えないというのは致命的だと思うのでとても心配ですね。
3年ぶりの再会がまさかこんな形で行われるとは思ってもみなかったので、2人はいったいどうなってしまうのか、気になります。
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