2020年8月17日発売の週刊ヤングマガジン2020年38号で、『アルキメデスの大戦』第229話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第229話は、前田によって藪本の拷問から救われた櫂。
病室で前田にマキコを二重スパイに仕立てたことを告白。
前田は理由を聞いて櫂の思慮遠望に驚き、その信念の強さに言葉を失う…
病室の外には櫂の身を案じ、急ぎ駆けつけた海軍の田中中尉がいた。
田中は前田から昨晩櫂の身に何が起きたのか説明を受けるのだが…
本記事では、『アルキメデスの大戦』第229話[作り話]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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アルキメデスの大戦229話のあらすじネタバレ
【櫂の病室】
真相を聞かせて欲しいと櫂に迫る前田。
櫂はマキコを二重スパイに仕立てたことを告白。
米国の戦意を一時的に奪うため、スパイであるマキコに故意に開発中の最新戦艦の情報を渡したのだと…
そして結果的にその情報が功を奏し、思惑通り米国から和平協議の申し入れがあったことを教えます。
自分は海軍の全権大使として米国に渡り、秘密交渉を何度も行い、最終的には大統領との直接交渉で和平合意案の締結に至ったと話す櫂。
前田は日米でそんな交渉が秘密裏に行われていたことにも驚きましたが、なによりそれが櫂の策略によって行われたという事実に驚いていました。
そして詳細を聞き、櫂がなりふり構わず、人脈も含めて持てる力を全て駆使したことも理解。
それだけ櫂が和平の実現を望んでいるのだと強く感じる前田でした。
櫂は和平協議の事実が対米強硬派に知られると協定破棄を政府に迫るだろうと予測。
それだけは絶対に防ぎたいと前田に訴え、今聞いたことは胸に閉まっておいてくれと頼みます。
前田も日米戦争など望んではいません。
墓まで持っていくから安心しろと答えるのでした。
真相を聞き終えた前田は病院に田中が来ていることを櫂に伝え、田中にはこの状況をどうやって説明するつもりか訊ねます。
真実を話すのか?それとも…と。
櫂は田中には酒を飲んだ帰りに暴行を受けたと説明してくれと頼みます。
海軍将校がスパイ容疑で拷問を受けたなど海軍にとっては重大事件であり、下手すれば軍事法廷にかけられる案件。
万が一そうなった場合、自分の付きである田中に被害が及ぶことは間違いないと櫂は考えていました。
たとえ法廷で田中が無関係であることが証明されたとしても、海軍内で相応の責任を取らされることが想像されたからです。
自分のせいで田中の経歴に傷をつけたくない、これまで親身になって仕えてくれた田中を守りたい。
その想いを話し、協力して欲しいと再度頼む櫂。
前田は櫂の意を汲み、田中には虚偽の説明をすることを約束しました。
【病室の外・廊下】
櫂との話を終え、病室を出る前田。
廊下には田中が待っていました。
田中は櫂にいったい何が起こったのか説明を求めます。
前田は櫂に言われた通りに伝えますが田中は信じません。
嘘に決まっていると田中は訴えますが、前田は櫂本人が言っている以上、警察はその線で捜査するだけですと通達。
説明に納得のいかない田中は櫂に直接会って話を聞くことに。
【再び櫂の病室】
田中は病室に入り、ベッドに横たわる櫂の無残に腫れ上がった顔を見て言葉を失います。
ベッド脇の椅子に座り、心配そうに櫂の顔を見る田中。
櫂はただ”すまない”と一言。
田中は前田から説明を受けたが、あんな安い作り話など信じられないと話し、真相を話して欲しいと訴えます。
しかし櫂は前田の説明通りなんだの一点張り。
長く櫂を間近で見てきた田中。
櫂が何かを隠していることは疑いようもありませんでした。
ニ・ニ六事件の時も今回も、これほど櫂の身を案じて心配しているのに…
なぜ真相を話してくれないのか…
なぜもっと自分を信頼してくれないのか……
田中は櫂が繰り返し話す嘘の説明を聞きながら、自分の想いが届かない悔しさ歯がゆさに絶望にも似た心境になっていました。
あくまで嘘を貫き通す櫂に対し、自分への信頼はその程度のものだったのですかと告げ、田中は病室を後にします。
櫂はただ黙って病室を出る田中の背中を見ていました。

アルキメデスの大戦229話の感想と考察
田中を守るためとはいえ、櫂にはもうちょっと彼の気持ちを汲んであげて欲しかった。
真相を言えない訳があるんだよって田中に匂わせてあげるくらいしても良かったんじゃないのって。
でもそれじゃ櫂が櫂たる所以じゃなくなってしまうんですよね…
これで田中は櫂と距離を取ることが予想されます。
山本中将も和平協議での大和の一件がありますから、櫂と距離を置くことは間違いないでしょう。
となると…海軍内に櫂の味方が居なくなったに等しい状況となります。
嶋田中将は本当の意味で味方ではありません。
つまり、櫂は海軍内で孤立状態。
山本や上層部は櫂の今回の暴力沙汰を、渡りに船とばかりに利用すると思われます。
山本は報復とまでは言わないまでも、それに近い「処分」を櫂に下すよう動くのではないでしょうか。
少なくとも櫂を海軍の決定にアレコレ言える立場から外して遠ざける処分を下すのでは?
しかし見方を変えれば、それは海軍による拘束から放れ、自由に動ける立場になるということ。
この先、少なからず対米強硬派との戦いが櫂には待っているはずです。
その時、海軍将校という肩書は櫂の行動を制限しかねません。
ですから、ここで一旦は海軍から放れるという展開になるのかもしれませんね。
それに日本が戦争を回避するには妥結案を実行に移したことを米国に見せる必要があります。
これを邪魔する人間との戦いが今の新章だと思いますから、海軍の下す「処分」とは櫂に動ける幅、自由度を与えるための作者の「措置」なのかもしれません。
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