漫画『恋と嘘』は、2014年8月からマンガボックスにて連載されているムサヲ先生による人気漫画です。
恋と嘘10巻は、仁坂と向き合って話をすることになった由佳吏。
仁坂の想い、そして由佳吏の想いは・・・。
本記事では、『恋と嘘』10巻のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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漫画『恋と嘘』10巻のあらすじネタバレ
第34話「特別で普通な恋」
病院前に座っていた由佳吏に、仁坂はここじゃあれだから適当に歩こうと言い、2人は歩き出しました。
由佳吏は歩きながら聞いて欲しいと言い、この間は色々ひどいことを言ったし、ひどいことをしてごめんと言います。
さらに一方的な気持ちは無意味だとあんなに否定したことを後悔していて、本当にごめんと謝りました。
そして由佳吏はこれまで仁坂と一緒に過ごしてきたこと嬉しかったことは全部自分にとって宝物にしていたし、無意味なことなんて何もなかったのに、あの時はそこまで考えられなくてごめんと言いました。
すると仁坂は、お前頭おかしいと言い、友達とキスできないだろと言って無理やりベロチューするとか正気じゃないと言いました。
さらに仁坂は、お前と友達には戻らないし、俺の好きという気持ちに応えてほしいわけじゃないと言いました。
由佳吏は仁坂は僕のことを好きだと言ってくれて僕も仁坂のことが好きだけど、仁坂の気持ちには応えられない、僕には好きな人がいるからと言いました。
仁坂は自分にとっては何も特別じゃない、普通の恋だったと言い、由佳吏に好きな人がいるなら、じゃあ仕方がないよなと笑顔で言いました。
由佳吏は抱きしめてもいいかと言うと、男同士でキモいから嫌だと仁坂は言うも、由佳吏は自分から仁坂を抱きしめました。
仁坂は勝手な奴と言いながらもそういうところも好きだったと、抱きしめながら言いました。
第35話「本気混じりの嘘」
由佳吏は小学校以来、風邪をひいて熱が下がらず寝込んでいました。
すると、玄関のチャイムが鳴り、外から知っている声が聞こえました。
それは美咲でした。
美咲は学校をさぼって由佳吏のことが心配でお見舞いにやってきたのでした。
ただの風邪だということを知った美咲は安心し、もう少ししゃべってもいいかと言って美咲は座って喋り始めました。
仁坂とは仲直りしたのかと美咲が聞くと、由佳吏は友達ではなくなったと話します。
それを聞いた美咲は、友達でもない恋人でもない特別な存在になれた仁坂のことが羨ましいと言いました。
そして美咲は由佳吏はきっと色々あって苦しんだりしんどかったりしたけれどそれでも向き合えたのは莉々奈がいてくれたからじゃないかと言います。
莉々奈との恋に気付かないふりをもうしなくていいんだよという美咲の言葉に、由佳吏は何を言っているのか分かりませんでした。
そして由佳吏は僕が美咲のことを想っているのは迷惑なのかと聞くと、うんと美咲は言い、由佳吏が本気で言ってる?と聞くと、嘘だけどそう思っていると言いました。
美咲の言ってることがよく分からないと言うと、美咲は政府通知に関するある取引をした、その取引を成立させるには由佳吏が邪魔でもう私のことは考えないで、どうしても欲しいものがあったからごめんねと言って、美咲は学校に戻りました。
第36話「恋の介入者」
翌日、由佳吏は体調が戻ったけれど、親にバレないようにまだ体調が悪いフリをしてずる休みをしました。
母親が仕事に出た後、由佳吏はとある学校の前に来ました。
学校が終わるまであと5時間くらいあると思っていると、突然五十嵐柊が何をしているのかと話しかけてきました。
驚いた由佳吏は五十嵐こそ何をしているのかと聞くと授業をさぼっていたことが分かり、由佳吏は五十嵐に、美咲がした取引とは何かと尋ね、五十嵐なら何か知っているかと思ってと言いました。
五十嵐は黙ってしまって何も答えませんでした。
何も言わない五十嵐に由佳吏は、このまま黙って見て見ぬふりをしていたら美咲は幸せになれるのかと聞きます。
五十嵐は返答に困ってしまってまた黙ってしまいました。
その様子を見て美咲が幸せになれないと分かった由佳吏は、今から厚労省や学校に行って聞いてみると言いました。
それは五十嵐がダメと引き留めると、五十嵐に電話がかかってきて切った後、今から自分は重要な任務を遂行しないといけないからその間にどうするか考えるし、その任務に付き合ってほしいと言いました。
これから一体どんな重要なことがあるのかと思ってついていくと、そこはスーパーでした。
由佳吏が戸惑っていると、五十嵐はこれから一人で調理実習をしないといけないからその材料を買うと言いました。
材料を選びながら五十嵐は、16歳の誕生日に政府通知のメールを送ったのは私だと言いました。
五十嵐は、美咲がどれだけ由佳吏のことを想っているか知ってほしかったからメールを送ったと言います。
そして美咲はメールを送ったことを知っているのかと由佳吏が聞くと、多分分かっていると思うと言い、「私が仕向けてしまった、私が話さなければ美咲はあんな取引をしなくて済んだのに」と言いました。
さらに美咲の選択は、美咲は絶対幸せになれないから嫌だし、そうさせた原因が自分にもあるからなおさら美咲には幸せになってほしいと言いました。
買い物を済ませ、学校の前まで戻ると、五十嵐は自分が話せることといえば、美咲は政府通知に選ばれた特別な存在で、美咲はその政府通知を受ける条件として、18歳まで待って欲しいと言った、由佳吏と同じ高校に行って、由佳吏のことを好きでいる自由を得たと言いました。
そしてもし由佳吏が政府通知を捨てるくらいの覚悟があれば本当のことを話せるかもしれないと五十嵐は言って2人は別れました。
第37話「嘘休み明け」
久しぶりに学校へ行くと、友達から仁坂がバイトを始めたらしいから今度冷やかしにいこうと声をかけられます。
そして担任からは進路希望に政府通知の相手と話し合って書くようにと用紙を手渡されます。
そういえば莉々奈と最近ちゃんと話をしていかなかったと思い、しかし何を話したらいいのか、また五十嵐が政府通知を捨てる覚悟は自分にあるのだろうかと自問していました。
学校が終わり、莉々奈は美咲に連絡をし、クレープ屋さんに一緒に行こうと誘っていました。
クリスマス以来、久しぶりに会う美咲と莉々奈。
莉々奈は美咲に、大事な話があると言い、前に話していた由佳吏との政府通知を解除するのをそろそろ実行に移そうと思っていて、そうなると美咲の政府通知も解除しないといけないから確認しておこうと思ってと話しました。
その言葉に美咲は驚いた瞬間、顔色を変えました。
そして美咲は冷静さを取り戻し、美咲にあのときの話はなかったことにしてほしい、もう絶対に解除するなんて言わないでと言いました。
もしかしてもう解除手続きをしたのかと美咲が聞くと、莉々奈は一度職員に話をしたけれどまだ具体的には何もしていないと言うと、美咲は良かったと言って莉々奈を抱きしめます。
美咲は、莉々奈たちが何かしたら私は大事なものを失ってしまうと言い、美咲は莉々奈の両耳を自分の手でふさいで、莉々奈の耳元で何やら話し始めました。
そして今日はもう帰るねと去っていく美咲を見ながら、莉々奈は、美咲が背負っているものはものすごく大きなものだと思うのでした。
その頃由佳吏は仁坂のバイト先のカフェに来ていました。
仁坂にどうしてバイトを始めたのかと尋ねると、今まで自分で考えて選ぶ習慣をつけようかなと思って、政府通知を受け取るにしてもしないにしてもまだもう少し考えたいし、何か新しいことを始めたくてと笑顔で応えました。
由佳吏は自分は迷ってばっかりだと言うと、仁坂は何が正解かは分からないけれど絶対ゆるがないものがあれば迷っても間違わないんじゃないかなと言いました。
仁坂が前とは違ってもう前を向いて進んでいる姿に少し寂しさを感じながらも、由佳吏は店を出ました。
そして歩いていると、偶然一条に出会い、2人で話をすることになりました。
一条は莉々奈が解除を一時停止するように言ってきたのは、由佳吏のことが好きだから由佳吏に話を合わせているんじゃないかと言いました。
何も知らなかった由佳吏は驚いたものの、由佳吏はこの前ファミレスでなぜ一条があんなに怒っていたのか分からなったけれど、一条は初恋の人がまだ好きなんですねと言いました。
一条は少し動揺するも、由佳吏は莉々奈とちゃんと話をすると言って帰っていきました。
第38話「かつての恋に」
――――― 一条は政府通知の相手と結婚してから、夫と意見が合わないことが増えていきました。
仕事でキャリアを重視したい一条と、あまり重要なポストにならない部署にしてほしい、そろそろ子どもを作らないかと提案する夫。
恋愛のように好き勝手にできない、結婚は楽しいものとは限らない、前から分かっていたもののいざ夫からそう言われると、一条はとても辛い思いをしていました。
そんな時、政府通知を受け取ったのに相手と向き合わず自由にしている矢嶋と再会したのでした。―――――
一条は矢嶋に話があると言います。
一条は「私のこと好きでしょ」と言いました。
矢嶋は耳を真っ赤にして動揺します。
一条はこの前他人に、まだ矢嶋のことが好きでしょと言われ、本当だから言い返せなかったと話しました。
でも私は夫も好きだし、矢嶋のことがまだ好きだとしても何も変わらないと言って、次に進むために話をしようと言いました。
一条は私に何か聞きたいことがあるかと言うと、矢嶋は付き合っていた時どうして最後までHをさせてくれなかったのかと聞きました。
あまりにも最低な質問だと文句を言うも、一条は政府通知の相手が非処女は世の中の夫婦の始まりとしてはとても最悪だからと答えました。
そして矢嶋はもしあの時政府通知を蹴って俺を選べと言えたらどうしていたかと尋ねました。
一条はきっと嬉しかったと思うけど、自分から逃げていたと思うし、好きの気持ちだけじゃそんな決断はお互いにできなかったと言いました。
さらに一条はもうこの感傷とは終わりにしなくちゃと言い、自分が選んだ結果を正解にできるのは自分だけだからと笑顔で言いました。
矢嶋はお前の幸せを願ってると言います。
一条も矢嶋も、なんだかもやついていた気持ちにピリオドを打てたような、晴れやかな気分になっていました。
そんな一条や矢嶋とは反対に、ある日の夜、仁坂は思いつめたような顔をしていました。
夜ベランダで話があると父親と二人きりでいる時、仁坂は思い切って父にこう話しました。
「俺、男が好きなんだ」
俺にとっては普通のことだけれど、他の人からしたら俺は普通じゃないから言っておくべきだと思ったと父に言います。
一瞬無言になる父でしたが、なんだそんなことかと笑って言いました。
もっと病気だとか命に関わることかと思ったからそうじゃないなら良かったと言う父。
その言葉に仁坂は涙が止まりませんでした。
父は息子の姿を見て、よく言ってくれたねと言います。
仁坂は絶対に揺るぎないものを貰ったんだと言うと、父は星のような人に出会えたんだねと言って仁坂の頭をなでました。

漫画『恋と嘘』10巻の感想と考察
10巻ではいよいよ美咲の秘密が少し明らかになりましたね。
しかしまだまだ謎は深まるばかりです。
「普通とは違う政府通知に選ばれた」というのが意味深です。
あくまで私の憶測ですが、例えば前仁坂が話をしていた同性の政府通知に美咲が選ばれたとして、それを先に知らされた美咲は既に由佳吏のことが好きで、18歳になったらその政府通知は受けるけれどそれまで由佳吏のことを好きでいさせてほしいと厚労省にお願いしたというようなことでしょうか。
でも同性の政府通知は、同性が好き同士の政府通知ですかね、由佳吏という男子が好きだということがはっきりしている美咲がそれに選ばれるということはないかもしれませんね。
それに美咲が莉々奈に言った、「莉々奈たちが何かしたら自分は大事なものを失う」という、大事なものとは由佳吏のことを好きだったといいう事実でしょうか、それとも他にまだ隠された何かがあるのかもしれません。
とにかく美咲は自分が幸せになることはないけれど、その政府通知を受ける決意を固めたということなので、由佳吏と莉々奈はこのまま解除せずにお互いの恋心を深めていってほしいなと思いました。
あと仁坂がなんだかすごく大人に見えてカッコよかったですよね。
由佳吏にちゃんと想いを伝えて、由佳吏との関係に自分でけりをつけて、なんだかスッキリして前を向いて歩いている仁坂がものすごく大人に感じました。
由佳吏がなんだか少し寂しい気持ちがするのも分かりますが、お互い新しい関係を築いていってほしいなと思いました。
それと一条と矢嶋のやりとりもなんだか良かったなと素敵だったなと思いました。
誰だって初恋の人とか思い出深い人って、結婚してもその人のことが特別な存在でいるのは当然だと思うし、普通だったらあの時違う選択肢をしていたらどうなっていただろうとかどう相手は思ったんだろうって考えますよね。
一条と矢嶋はそれを改めてお互い気持ちを伝え合うことができて本当に良かったと思うし、自分の中で気持ちの整理ができて良かったなと思いました。
他に、仁坂と父親とのやりとりには涙が出てきました。
仁坂もカミングアウトするのには勇気がいっただろうし、仁坂の父親が気付いていたのかは分からないけれど、そんな息子を揺るぎない愛で包んだ言葉に胸が熱くなりました。
親に認めてもらえないというのは一番苦しいだろうから、仁坂は本当に良かったなと思いました。
次の11巻では美咲の秘密、そして由佳吏と莉々奈の関係がどうなるのか楽しみです。
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