2020年7月2日発売の週刊ヤングジャンプ2020年31号で、『少年のアビス』17話が掲載されました。
『少年のアビス』17話は、これまで描かれなかった幼少期の話が少し描かれていますが、その断片でも濃厚な内容でした。
そして現在の令児と玄が友人として話した事に、新たな展開がありそうです。
本記事では、『少年のアビス』17話『墓のある丘』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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少年のアビス17話のあらすじネタバレ
まだ令児たちが小学生だった頃の夏の事でした。
黒いつがいのトンボを捕まえた玄は、『深見』という表札が貼られた団地の一室を訪れました。
出迎えてくれたのは眼帯をして、腕にも傷を負った令児の母でした。
そんな姿に目を伏せる玄。
捕まえたトンボを入れる為に虫かご無い? と玄は尋ねますが、母はそのまま令児に虫かごがどこにあるのかを聞くと、トイレに入っていました。
逃げないようにビニール袋を取りに母はその場を離れると、勉強できないから外で遊べと令児の兄が言いました。
素直にわかったと玄が言うと、ビニール袋を持って令児の父がやって来ました。
変なトンボというわけではなく、交尾をしているだけと笑う父に、無知を指摘されたようで少し恥ずかしそうな表情で玄はトンボをビニール袋に入れました。
逃げないように袋の口を握りしめていると、そんなに握りしめたらトンボが窒息すると令児の父は言い穴を開けてやろうと持っていた煙草をビニール袋に押し付けました。
ナギと会った後に令児の家を訪れた玄は、入浴中の令児を待ちながらそんな昔の事を思い出していました。
待たせたことを申し訳なさそうにやって来た令児は、ガリガリの身体で、そんな身体じゃうちの店で働けないと玄は鍛えておけと忠告します。
話があると外に連れ出そうとした玄ですが、令児の母がその様子に不信感を持っていたように覗き込んでいました。
向かった先は上にある公園で、小学生の時ぶりに玄が家に来たことに何の話があるのかと令児は少し強張った表情になります。
煙草の煙を吐き出し、死のうとしたのか? と単刀直入な切り出しに、令児は返事も出来ません。
コンビニの店員と手をつないでどこかに行った事、その女に話を聞いた事を告げた玄は、煙草を捨てるなり令児の髪を掴み、フェンスに押し付けます。
自分が令児を追い詰めたのかと問う玄。
自分の傍で一生働くよりも死んだ方がマシかと言う玄に、令児は町を出る事を言おうとしましたが、また罪をかぶせたいのかという言葉に令児の思いは口には出ませんでした。
脅すようでもなくただ暗く悲しみにも見える表情の玄は、令児から手を離すと煙草に火を点けました。
昔この土手に、令児に見せようと捕まえたトンボの墓を作った事を思い出した玄。
そのトンボが令児の父に煙草を押し付けられて死んでしまい、心中したと笑っていたと言う玄でしたが、令児は覚えていませんでした。
そんなだから勝手に死のうとしたり出来るんだと玄は、言いながら令児の額にある傷に触れました。
それを最後に去っていく玄。
残された令児は覚えのない、玄に被せてしまった『罪』について考えました。

少年のアビス17話の感想と考察
初めて幼い頃の場面描写がありました。
怪我をしている母、そして今では引きこもりになってしまった兄も少しだけ登場しましたが、令児よりもだいぶ年上に見えました。
そして令児の父がいて、表札は今の『黒瀬』ではなく『深見』だったことから離婚したものと思われます。
今回の描写から察するに、DVが原因かと思いますが、当時の令児が描かれていなかった事はあえて隠してあるようにも見えました。
父の暴力は令児にまで及んでいた可能性もあります。
玄が母の姿から視線を落とした事も、この時ただ怪我をしていたわけではなく日常的にそんな姿だったのかもしれません。
この令児の父は、ビニール袋を持って来てくれたり人当たりは良さそうですが、ビニール袋に煙草で穴を開けたり死んだトンボを心中したと笑ったりという描写からあまり良い人の印象はありません。
それが、玄が訪れた最後だったのかもしれません。
やって来た令児はタオルで股間だけを隠した状態でした。
服着て来いよと思いましたが、待たせてはいけないという思いの方が先にあったのかもしれません。
せっかく二人きりでゆっくり出来ると喜んでいたのに、連れ出される事になってしまい、そんな様子を見ていた母の姿は完全にホラーでした。
玄はそんな母の様子にも何か言いたげな様子でもありましたが、『別に』の一言でした。
また罪をかぶせたいのかと言う玄でしたが、令児にはその『罪』がなんのことか覚えていませんでした。
額にある傷と関係があるようにも見えましたが、玄の表情にはなにやら過去に一騒動あったようにも思えます。
今回断片的に過去が描写されましたが、令児が『罪』を思い出した時にまた物語の流れが変わって行くのかもしれません。
二人になった時は今まで見て来たような主従関係と言うよりも、本当に友人だった二人に見えるので、玄もそこまで悪に徹したキャラではないのかもしれません。
今のようになってしまったきっかけが『罪』なのかもしれず、まだまだ楽しみです。
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