2020年2月6日発売の週刊ヤングジャンプ2020年10号で、『キングダム』630話が掲載されました。
信は死んだ。その現実に俯き嘆き苦しむ飛信隊。
河了貂(かりょうてん)は言った、「全てが終わる。まだ天下の大将軍になっていない」と。
そして、羌瘣(きょうかい)が河了貂に「そこをどくように」と告げます。
龐煖(ほうけん)と相打ちとなってしまった信を救う方法が彼女には果たしてあるのか?
本記事では、『キングダム』630話『天地の間』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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キングダム630話のあらすじネタバレ
「どけ」との羌瘣の声に河了貂は反応し、言う通りにします。
羌瘣は「信は私が助ける」と飛信隊のメンバーに告げ、河了貂は驚きの声を挙げました。
羌瘣は信の消えた命の灯を再び灯しに行かんと行動に移そうとしていたのです。
馬を走らせ、「なぜ飛信隊は李牧(りぼく)を追撃しない」と声を挙げる番陽(ばんよう)隊長。
その番陽に「待て。様子が……」と蒙恬(もうてん)。
合流した王賁(おうほん)の顔にも疲労が見て取れ、泣き崩れる飛信隊を目にした蒙恬・王賁・番陽の3人は「まさか」と飛信隊に何が起きたのかを推測します。
泣き崩れ、羌瘣に「信はもうとっくに死んでいる。死んでしまった」と大地に顔を沈める尾平(びへい)に「黙れ。気が散る」と羌瘣は一喝。
羌瘣が何をしようとしているのかと尋ねる河了貂に「千年続く蚩尤(しゆう)にはいくつかの禁術が存在するのだ」と羌瘣は返します。
その金術の中に命の力を分け与える術が存在する事実に「それで信が生き返るのか?」と河了貂は希望を抱くも、「それは分からず、やったこともなく、呪詛も覚えていない」と羌瘣はそれを制止します。
「とにかくそれしか方法はなく、思い出しながらもやってみるしかない」と羌瘣は信の骸(むくろ)に右手を添えて術式を思い出していくのでした。
息をゆっくりと吸い込み、「術式が互いの気の道を開いて繋ぐもの」と必死に術式を思い出す羌瘣。
それは羌瘣が幼い頃に試しに行おうとして「象姉(しょうねえ)」と慕っていた象に窘められた術式でした。
「絶対に行ってはいけない。そして、そんな物は嘘だ。死んだ者を生き返らせる術などこの世に存在しない」と言われたことも思い出す羌瘣。
羌瘣はそのことを思い出し、目を開いて信の骸を見つめます。
「そんな術はない」ことに絶望し、涙を流し、歯を食いしばる羌瘣に「もう止めるように」と尾平が告げました。
それに対して、「うるさい」と怒鳴りつけ、「あの術は確かに存在するのだ」と羌瘣は確信を抱きます。
何故ならば、象は羌瘣に術を行った者に最悪の事態が降り注ぐことから羌瘣がその術を使うことを禁じたのです。
しかし、羌瘣にとっての最悪は目の前に斃れた信の姿でした。
術式の文言を思い出し、「盤古の橋」を発動させていく羌瘣。
術式は成功し、信と自分が繋がったことを確認した後に羌瘣は意識を失います。
最後に「信に変化が起きたら名前を呼べ」とだけ言い残し。
何も無く、真っ白な空間で立っている羌瘣でしたが、遠くからかつての仇敵である幽連(ゆうれん)が姿を現します。
羌瘣は幽連と一瞬思うも、その気配から幽連ではないと否定します。
幽連はここが天地の間(はざま)の門戸(もんこ)であり、これより先に進むにはお前の寿命を貰う。そして、それを自身で決めろ」と羌瘣に告げました。
代価として寿命を言い渡された羌瘣に象が現れ、「この術はそう言うものであり、術者の寿命を減らすことでしか信を救えないのだ」と諭します。
飛信隊の仲間達は必死に信の名を呼び続ける中、幽連はこの術の危険性を羌瘣に示唆します。
死んで間もない場合ならば、蘇らせられるのは2つに1つ。
要するに、失敗した場合は術者の寿命の半分が削られると言う結果だけが残るもの。
信はすでに間(はざま)の世界の奥深くに行ってしまっている為、10に1つくらいの可能性だろうと幽連は警告し、象はこのままお前だけ戻れと告げるのでした。
「答えることは1度のみ。良く考えるように」と告げる幽連に、
──自分の寿命を全部やる──
と羌瘣は即決で以て返すのでした。
その言葉に幽連と象は驚愕します。
羌瘣は曇り無き眼差しで「どうしても信をしなせたくない。自分の命を全部やるから、信を助けに行かせて欲しい」と続けます。
覚悟を決めた羌瘣に対して、象はただ羌瘣の名を呼び、幽連は羌瘣を馬鹿にしつつも間(はざま)を通すことを決めます。
消えゆく羌瘣の姿に名を叫ぶ象。
暗闇の中、羌瘣が気付き目にしたものは信の後ろ姿でした。

キングダム630話の感想と考察
信が生き返らせる方法が何かあるとは思っていました、その答えは羌瘣が握っているだろうことも。
これは読者ならば、簡単に予測出来たことだと思います。
しかし、羌瘣が蚩尤千年に渡る禁術を以てして信を蘇らせるとは流石に予想外でしたね。
術式の言葉を必死に思い出す内に「この世に死者を蘇らせる方法など存在しない」ことも同時に思い出す羌瘣。
象は嘘を吐き、羌瘣がその術を使わないようにしていたことは彼女を労わる姉としての愛だったと言えます。
でも、羌瘣にとっての最悪は信が死ぬことに他ならなかった。
だからこそ、自分の寿命を全部やると羌瘣が即決出来た時には不思議と自然に思えたのです。
扉絵では信を想う羌瘣の可憐な姿が映し出されていました。
その姿はとても儚くもあり、一途な想いを読者に与えるには十分なものと言えたでしょう。
果たして、羌瘣が自分の寿命を全部やると宣言した以上、次回では信を必死になって取り戻そうとする展開になることは容易に予想出来ます。
出来れば、すんなりと信には帰って来て欲しいのですが、簡単に帰って来るのではなく、羌瘣の一途な想いがそこでも描写されていくのでしょうね。
羌瘣ファンの私としては羌瘣の話が続くことは良いことなので、次回も十分に期待したいと思います。
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