2020年6月4日発売の週刊ヤングジャンプ2020年27号で、『少年のアビス』13話が掲載されました。
『少年のアビス』13話は、久々に登場した、この作品の中で唯一明るいキャラのチャコ。
しかし、今回はそんな彼女も一人になれば仄暗い部分も見えて来ます。
そして、今回判明した『ある事』で令児がいかに救われたかったかのかが伝わります。
本記事では、『少年のアビス』13話『落日』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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少年のアビス13話のあらすじネタバレ
柴ちゃんが先生になる前の事です。
真っ直ぐに引かれた道を歩いていける子でしたが、いつしかその道を見失ってしまっていました。
黒く歪な道を彷徨い歩く先で、生徒と性行為という所に落ちていました。
終わってみると呆気ないと思いながら、中で良かったのにと柴ちゃんは言いましたが、令児はなんとなくそうはしませんでした。
彼女と比べてどうだったかを聞かれますが、令児は彼女ではないと否定します。
一昨日偶然会っただけの人で、そんな一昨日会ったばかりの人と心中しようとしていた事に柴ちゃんは戸惑いながら尋ねます。
誘われたからという、それだけの理由を令児は答えます。
誘われたら死ぬの? という問いに、令児はどんな方法でも助けてくれるならと言う令児。
そんな令児を抱きしめ、柴ちゃんは自分が助けるからと死ぬ事を否定します。
ちゃんと落ちて来れた事に一人安堵する柴ちゃんは、ナギと会う事を禁じます。
方法も人も助けてくれるならと、その命令を拒否するでもなく令児は流されるままに再び性行為を始めました。
そんな令児に電話をしていたのはチャコでした。
昨日は、玄に呼ばれたわけでもなく突然帰った事を疑問に思うチャコ。
テーブルに置いてあった『春の棺』に手を伸ばし、似非森浩作の新作が最近出ていない事を思い出します。
チャコには出版社に就職するという夢があり、その頃までに似非森浩作が書いているか、書いていないなら自分が書かせたいというビジョンがあるようです。
学校を卒業して、牢獄のような町を出られるまでの期間はチャコにとっては長く将来のビジョンもボヤけてしまいます。
そんな春の棺の淫猥な文章を読んでいるうちに、自然と手がパンツの中へと入って行きました。
どうやら本棚の中はそんな本がたくさんあるようで、令児が本を読む人でなくて良かったと思いながら一人快感に浸るひと時。
しかし、母に唐突に呼ばれ一気に現実世界へ引き戻されてしまった事で、不満いっぱいのチャコ。
チャコの家はお茶屋さんで、チャコが店に出るとおじいさん達が店に寄ってくると父は言います。
肥満児のガキ扱いだった以前に比べ、胸が大きくなってからは見る目も変わってしまった事にも気持ち悪い、吐き気がすると心の中で悪態は止まりません。
そんなクソみたいな町にあと一年半もいなければいけないと、絶望に飲み込まれそうな時、店先で似非森浩作を見つけました。
それが本人なのかただの似ている人なのか、今この町にいるとは知らないチャコにはまだわかりません。

少年のアビス13話の感想と考察
まず衝撃の事実ですが、作中ではまだ3日間しか経っていない事が明確になりました。
柴ちゃんも言っていましたが、以前から知っていて憧れていたアイドルとはいえ、一昨日会ったばかりの人に誘われて心中しようと思えるほど、令児は追い込まれていました。
ナギに会う事を禁止されてしまい反発するかと思いましたが、本当に誰でも良いようで拒否もしないままです。
そこは反発して欲しかったですが、まず助けて欲しいという気持ちが最優先になっているのでしょう。
そして、この作品の『陽』の部分と思っていたチャコですが、彼女もまた一人になれば明るいだけではありません。
むしろ令児の前だからこそ明るくいられるのか、令児がいるから対比として読者側からは明るく見えるだけなのかわかりません。
この町に絶望し、まるで牢獄と閉じ込められているかのような気持ちで日々を過ごしているのでしょう。
自分も地方生まれで早く町を出て行きたかったという気持ちがあったので、このチャコの気持ちはとても理解出来ました。
終わってみれば早いものでしたが、高校卒業までの期間がものすごい長く感じていたので、チャコもそんな気分を味わいながら卒業まで過ごすのかもしれませんが、今後の展開によってどうなるかはまだわかりません。
環境への絶望感に浸りながらも、本を読み自慰にふける姿に驚きましたが、女子高生のそんな姿を覗き見ている背徳感がありました。
そういう知識もありながら令児に対して気が向かないというのは、やはり『男女の友情』が成立しているという事なのでしょう。
牢獄の中で『似非森浩作』という希望を見つけ出したチャコですが、この出会いがどんな展開になって行くのか楽しみです。
本人だとあっさり言う展開、誤魔化して終わる展開、後をつけてナギも見つけてしまう展開と多岐に渡るので次号が楽しみです。
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