2019年12月09日発売の週刊少年ジャンプ2020年2号で、アクタージュ93話が掲載されました。
92話では存在ごと夜凪の視界から消されてしまった武光が、王賀美と白石からのアドバイスを受けて、再び立ち上がるというあらすじでした。
無意識に夜凪から距離をとりそれで目立たそうとしていた武光でしたが、それが逆効果であり、さらに自分自身の存在を小さく見せてしまうことを知った武光が壁を殴りつけて流した自身の本当の血を付けて舞台にでようという決意を見せました。
送り出す王賀美と白石の目には、きっと武光の背中がさきほどよりも一段階大きく見えたに違いありません。
いよいよ、夜凪と武光との二度目の衝突になります。
本記事ではアクタージュ93話「大きな流れ」のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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アクタージュ93話のあらすじネタバレ
いちごちゃん、これが7歳から15歳までの朝野市子の芸名でした。
母親が勝手に応募した芸能オーディションでしたが、市子自身も得意な気分でまんざらでもなかったのでした。
しかし、9歳となった市子の仕事が激減します。
2歳年下の新人に奪われていたのでした。
新人なんかに負けて堪るかと躍起になった9歳の市子は10歳になり、2歳年下の新人の仕事が、そのまた2歳年下の新人に回り始めていたのです。
そこで市子は幼いながらに悟るのでした。
芸能界というのは、個々人の努力や才能とは違うところに大きな流れが存在しており、それにいかにうまく流されるかが重要なのだと悟ったのです。
そして市子はそのことに絶望する間もなく、そういった流れを自身で起こせる強者がいることを知ったのです。
それは王賀美や阿良也といった面々のことでしょう。
分かりやすく腐ってしまった市子でしたが、それでもドラマの仕事が決まり、15歳ながらに有名な賞をもらうまでに成長していました。
そしてそれを実力と思うこともなく、ただ流れが来ていたのだなとどこか冷めたような見方をしていました。
再び舞台に上がった市子は隣にいる武光を見て思うのでした。
本当は彼女だってこの状況があまり良くない、少なくとも市子や武光にとっては良くないことだと分かっていたのです。
しかし考えるよりも先に今回は王賀美や阿良也にあたる大きな流れが夜凪であることに気付いてしまったがゆえに、上手く流されて終わろうとしか考えていなかったのです。
しかしそれを、武光は目を逸らさずに立ち向かいました。
王賀美や白石の言葉に発破を掛けられ、武光は今まさに自身の体で立ち向かっています。
寸止めするはずの攻撃を体に受け、それをわざと当てさせに行く。
これにはさしもの王賀美も気合の入った言葉が零れます。
夜凪の、羅刹女の視界にも、武光が、猪八戒が映ります。
それを見た市子の気持ちが、ゆっくりと変化し始めたのです。
まだまだ伸びると言いながらも、大きな流れの存在にいつもどこかで諦めていた彼女の心が、再び息を吹き返します。
開演当初は夜凪の心を心配するそぶりを見せていた市子でしたが、その影はもうどこにもありません。
夜凪は市子に心配されるほど弱くはないし、市子は夜凪を心配できるほど強くない。
そう理解した瞬間に市子は「舐めんなよ、新人。」と夜凪に斬りかかるのでした。
9歳の頃に感じた克己心がよやく息を吹き返したのでした。
それを見ていた阿良也は、これこそが夜凪の脅威であると語ります。
共演者の心の火をつけることを、彼は脅威だと言うのです。
そしてそれを王賀美は、絵の具とは違う、と花子に語り掛けていました。
役者は超えていく、と言い残し再び舞台に上がった王賀美は燃え盛る山のセットから舞台を見下ろします。
狂気じみたまでの戦いの気配を醸し出しながら、舞台は熱狂の渦へと入っていきます。
そしてそれを見ていたサイド乙のメンバー、阿良也と黒山は冷静に分析します。
この後の羅刹女のストーリーは、羅刹女が全てを赦し、諦念を見せるのです。
ここまでの狂気の舞台を演じたうえで出演者が最後の落としどころを見つけられるのか、それを心配しているのでした。
舞台袖から舞台を見ていた白石は、花子に問います。
一体どういった想定で夜凪を煽ったのか、このあとをどうするつもりなのか。
花子の思惑とはいったいどこにあるのか、と。
アクタージュ93話の感想と考察
誰しもが待ち望んだ展開だったかと思います。
一週で市子さんの成長が描かれてしまったのは少し残念でしたが、かつて持っていた克己心を取り戻したさいのセリフ「舐めるなよ、新人。」にはしびれました。
ステージにいるキャラクター全員が戦いを楽しんでいるかのような狂気の舞台ですが、それをサイド乙のメンバーは展開を知っているだけに不安げです。
しかし花子が全くの無策とは思えません。
夜凪の魅力を引き出すために、そしてそれに応えている王賀美に、何かしらの秘策があると思います。
それに夜凪は最後まで演じ切るとつかみかかったのもミソだと思います。
「最後まで演じ切れるか」という星アリサの言葉をはねのけるように最後は美しい諦念を見せてくれることでしょう。
そしてそれにはきっと、現在唯一冷静である、白石の存在こそが必要なのだと思います。
次回以降の展開も楽しみですね。
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