2020年5月14日発売の週刊ヤングジャンプ2020年24号で、『少年のアビス』10話が掲載されました。
『少年のアビス』10話は、何事もなく平穏に過ごして来た柴ちゃんの教師生活が終わりを迎えます。
自分のクラスの生徒である令児を守るために、ある決意をします。
本記事では、『少年のアビス』10話『高校教師』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
<< 9話 | 一覧 | 11話 >> |
少年のアビス10話のあらすじネタバレ
心中を直前で邪魔され、担任の柴田ちゃん先生の家に連れてこられた令児は無感情に無気力を重ねたように、ただボゥっとしていただけでした。
しかし、ようやく邪魔された事に対して感情を剥き出しにして激昂します。
学校での穏やかな姿ばかりを見て来た柴ちゃんは、今の令児の姿に恐怖すら感じました。
担任として、大人としてそこで怯むわけにはいきませんでした。
まだ17歳の令児に、今は色々辛い事があるかもしれないけどこれから必ず楽しいことがたくさん待っていると言います。
定型文のようなその説得の言葉が、今の令児に届くわけもなく、先生みたいな幸せな将来は来ないと令児は断言します。
反論の言葉を失う柴ちゃんとの部屋で、台風の音だけが騒がしく聞こえます。
その無言の部屋に、携帯電話の着信音が鳴り響きました。
令児の鞄から聞こえるそれに、柴ちゃんはお母さんからじゃない? と出る事を勧めますが、令児は台所に駆けだし、吐いてしまいます。
先生に助けてと漏らした令児。
柴ちゃんは以前の友人との会話を思い出しました。
自分のクラスの生徒をかわいいか尋ねられ、手が掛からなくてみんないい子と答えました。
ドラマや漫画のように問題だらけの学校生活を予想していた柴ちゃんは、拍子抜けみたいなものはあると笑っていました。
友人は、自分も担任の顔も覚えていないしどうせあんたも薄ぼんやりとしか思い出されないんだから、適当に仕事して婚活に本腰入れることをアドバイスします。
ひっそり田舎で年取って行くだけと、目の前で自分の子ども二人の相手をしながら言う友人の言葉に柴ちゃんの表情もどこか暗いです。
鳴り続ける電話に柴ちゃんは覚悟を決め、出なくていいと令児に言います。
そして、先生が守るからと令児に言いました。
明日は学校を休むことと、令児を守るためにこの部屋から出ないことを約束すると令児は一人残された寝室でナギの事を思い出していました。
また今度にしよっかと帰って行った、ナギとの『今度』に期待するでもなく令児は眠りに就きます。
雨に打たれ土手で転び、ようやくシャワーを浴びる事が出来た柴ちゃんは一人の生徒を匿っているという現状を絶対ヤバいと言いつつ、令児が頼れるのは自分だけだから仕方がないと言い聞かせます。
ですが、その表情には不安や焦りではなく笑みが浮かんでいました。
着替えを取りに寝室にそっと入ると、令児は既に眠りの中。
その髪を撫で、意味深な表情を見せます。
柴ちゃんは眠る令児に何を思うのでしょうか。

少年のアビス10話の感想と考察
前回は半死人のように呆然としているだけの令児でしたが、今週はようやく息を吹き返しました。
『助けて』という言葉はこれまでずっと誰かに言いたかった言葉で、親からの電話に吐いてしまうほど追い込まれた令児は限界だったのでしょう。
柴ちゃんは現状をヤバいと言いながら笑っていましたが、ドラマや漫画のように一騒動ある教師生活が送れる事に喜びがあったのかもしれません。
実際、自分が高校生になる前に漫画等で得た知識から考えると『高校生ってケンカばかりしてる』というイメージでした。
ヤンキー漫画を読んでいたせいでしたが、当時仲が良かった友人も同様だったようで非常にガッカリしていました。
そんな漫画やドラマといったフィクションへの憧れが現実になった事で、自然と笑みが零れたのかもしれません。
何よりも、柴ちゃんが友人との会話で、生徒が大人になった時に顔も思い出されなくなるという言葉が引っ掛かっていたようだったので、令児という一人の生徒にとって忘れられない人間になれると思えたのかもしれません。
この辺りを読んだ時に、小中高の担任や学校の先生を思い出してみましたが顔だけなら辛うじて思い出せました。
それでも担任ではなく個人的にお世話になった先生の事は、今でも思い出せるので令児も柴ちゃんを覚えていてあげられるのかもしれません。
忘れてしまうかもしれないほど、長い人生が待っていたらの話ですが……。
最後の柴ちゃんの表情が、あまり良い意味の笑みには見えないのでこれからどう出るのかが楽しみな展開になって来ました。
恐らく地方都市の小さな町であり、親も警察に通報し学校にも連絡が行くなかで柴ちゃんはいつまで令児を匿う事が出来るのかが、これからの大きな問題になって来そうです。
<< 9話 | 一覧 | 11話 >> |