2020年4月23日発売の週刊ヤングジャンプ2020年21号で、『キングダム』640話が掲載されました。
斉国より兵糧が届き、破綻しかけていた鄴攻略の戦略目標は遂に達成されます。
要衝の鄴が秦の手におちたことにより、趙国はかつてない危機を迎えることとなります。
残すところは列尾攻略を残すのみ。これにより、列尾、橑陽(りょうよう)、鄴の3点の要衝を秦が抑えることで、点と点が重なり合い秦の獲得領土は更に増大していくこととなります。
この秦の戦略に対して、劣勢の趙国がどのように対応してくるのでしょうか?
本記事では、『キングダム』640話『国の要』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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キングダム640話のあらすじネタバレ
楚国王都郢(えい)にて、どんと構える禍燐の元にも鄴の陥落の知らせがもたらされます。
その傍らには拘束されたバミュウ。
信じられぬ報告に対して、「珍しく禍燐の予測が外れた」と話すバミュウに蜜蝋を垂らす禍燐。
禍燐は「かつて言った。趙国王都邯鄲より援軍を出しさえすれば、王翦(おうせん)軍は殲滅することが可能。しかし、趙の愚王は援軍を出さなかった」と語ります。
それを肯定するバミュウ。
あの李牧(りぼく)相手に鄴を攻略させたことを称賛する禍燐に「斉王の存在も厄介だと」と語るバミュウ。
2人のやり取りを聞いていた李園は「大変なことになった。鄴陥落によって、秦の脅威は邯鄲の目前に迫ることとなった。下手を打てば、戦国七雄の趙が滅亡するやもしれぬ。そうなれば、中華の勢力図は大きく変わる」と不安を口にします。
禍燐は李園の言葉に理路整然と返します。
「趙にとって、本当に脅威となりえる場合は陸の孤島である鄴が秦の本土と繋がった時。そして、鄴が趙攻略の最前線拠点と機能したならば、趙は本当に滅亡の危機にさらされる。しかし、その程度のことは邯鄲も承知しており、何よりもあの李牧が放っておくまい」と語ります。
列尾において、扈輒(こちょう)と舜水樹(しゅんすいじゅ)の両名は「魏方面より秦軍4万が北上し、この列尾に向かっている」との報告を受けます。
それに応じる舜水樹。
「秦国大将軍騰(とう)が率いる秦軍4万に列尾は持ちこたえられるのか?」の部下の言葉に扈輒は「あれだけ、騰軍4万のみなら持ちこたえられる」と返します。
扈輒は更に続けます。
「問題は鄴にあり、鄴から援軍が出てくるとすれば、列尾は挟撃されることとなり、この軍だけでは持ちこたえられない。されど、その事態は李牧様も承知の上。既に北部の軍を南下させて下さっているはず。自軍はそれまでの間持ちこたえていれば良い」と。
舜水樹は「邯鄲にある王都軍が動けばことは早い」と語るも、扈輒は「それは語るな。王都軍が動くならば、このような事態にはなっていない。我らの王はクソ」と吐き捨てます。
「李牧様こそが国の要であり、李牧様がおられる限り後顧の憂いはない。我らは目前の敵にのみ集中すれば良い。軍を展開し、騰を迎え撃つ」と語る扈輒に舜水樹はそれに応じます。
鄴において、羌瘣(きょうかい)が信を庇い斬られる悪夢を見て、目を覚ます信。
涙ながらに目を覚ますと、寝台に起き上がった羌瘣の姿がありました。
2人で睦言のように語り合う信と羌瘣。
秦は自分の為に何か無茶をした羌瘣を抱きしめると、そこへ副長の渕(えん)が登場して、気まずい雰囲気の中で秦軍の動きを報告し始めます。
その内容とは亜光将軍が回復した兵を率いて列尾を目指しているというものでした。
亜光が列尾に向かっている報告は列尾軍と騰軍の先陣がぶつかり合ったその時に列尾にもたらされます。
その報告を受けて焦りを見せる舜水樹に更なる凶報が告げられます。
その報告は王都邯鄲からのもので、「李牧様は大王様によって投獄され、王都軍・北部軍が動く様子は一切見受けられない。更に、李牧様は邯鄲にて斬首刑に処される」と言うものでした。
その報告を受けた舜水樹は抜剣し、報告した者に斬りかかります。
使者を傷つけることはありませんでしたが、床に叩きつけられた剣はその床に大きなひび割れを付けます。
舜水樹は激高し、声高に自分達を治める王の愚かさを嘆きます。
扈輒は列尾を守る兵達に撤退の指示を出し、これからの戦略を語ります。
そして、李牧救出に動くことを決意しました。
それは李牧が失えば、趙国は滅亡することを確信していたからです。
趙軍が撤退し、列尾が秦の手によって陥落したことで、列尾、橑陽、鄴の3拠点を中心とした版図拡大が達成され、趙国は王都邯鄲の南側を秦国に奪われる結果となるのでした。
そして、69日ぶりに再会を果たした壁と信は互いの無事を喜び合うのです。

キングダム640話の感想と考察
扈輒と舜水樹が浮かばれない。2人に王を弑することを決意させるだけの人望が李牧にあった証明なのですが、王からして見れば、自分よりも人望が厚い将軍は疎ましいだけなのでしょうね。
今回は戦略的な要素が高い内容となっており、説明部分が冗長に感じることがありました。
戦記物の特徴ではありますが、戦闘シーンと戦略シーンのギャップが物凄いと感じます。
絶対に必要なのですがね。
点と点を結び、それを線にする。その線を図形とすることで、版図拡大の戦略目標が達成される訳なのですが、その戦略目標がスムーズに行えた回と言えるでしょう。
そもそも、朱海平原の戦いが決戦と呼ばれる理由はそこにあると言えます。
あの熱い戦いがあったからこそ、戦略目標が達成され、秦の中華統一への確かな道のりが確立されたと言う訳ですから。
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