2020年3月26日発売の週刊ヤングジャンプ2020年17号で、『キングダム』636話が掲載されました。
朱海平原の戦いで李牧(りぼく)が率いる趙軍への追撃に参加しなかった残軍も鄴場への入城を果たすも、その城に残されている兵糧は皆無と言っていいです。
兵糧の問題を指摘する桓騎軍の軍師である摩論(まろん)は鄴城内に残された兵糧では全軍を養うどころか、上層部だけで2日と判断。
秦国内では鄴城陥落の知らせがもたらせられると、急ぎ兵糧を鄴に送るようにと指示が出されます。
いかにして、兵糧を鄴に届けるのでしょうか?
送り出された兵糧運搬を担う補給部隊が一路、鄴へと向かうこととなります。
本記事では、『キングダム』636話 『補給軍の行方』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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キングダム636話のあらすじネタバレ
息を切らせ、極限の空腹と疲労困憊の中、重い足取りで懸命に鄴を目指す残存部隊。
地面に倒れ込む尾平(びへい)に飛信隊の隊員達は必死に励まし、肩を貸します。
副長の渕(えん)は必死に部隊を鼓舞し、少しずつ目的の鄴を彼等は目指し、遂に辿り着くことに成功します。
鄴には祖国秦の旗が掲揚され、それにより自分達の勝利を確信することが出来ました。
先に到着していた信を筆頭とした楚水(そすい)、田永(でんえい)が後続部隊に駆け寄り、彼等は熱い抱擁を交わします。
後続の部隊が次々と鄴城内へと入城を果たす中、信は副長の渕から「残存の兵馬を兵糧にして食いつないだ」ことを報告されます。
副長の楚水に申し訳無く事情を報告する部下に「本当に辛かったな」と、楚水は部下を労わります。
「飛信隊だけでなく、全軍において軍馬を兵糧に変えたこと、それでも4万の軍を飢えから救うには足りず、田里弥(でんりみ)軍からの配給も僅か」であった事を渕は更に信に報告すると、尾平達も「飲まず食わずでやっとの思いでここまで着いた。道中で怪我人が少なからず死んだ」と続けます。
その報告を聞いた信は深刻に返答し、羌瘣(きょうかい)の身を案じました。
信は「羌瘣は建物中で眠らせた」ことを聞いて安堵するのでした。
尾平が皆を代表し、「水だけではなく、もう少し食料を配給して欲しい。本当に腹を空かせて、やっとの思いで辿り着いた。先程の量では全く足りない。これだけの規模の城なのだから、食料は大量にあるのだろう」と信に嘆願します。
その言葉に信、河了貂(かりょうてん)、楚水は沈黙し、その反応に後続の飛信隊の隊員達は疑問を抱きます。
「鄴城に残された食料は無い」と信が告げると、後続の隊員達は一斉に驚くのでした。
一方、鄴城内において、王翦(おうせん)、桓騎(かんき)、田里弥、摩論、倉央(そうおう)、黒桜(こくおう)が集まり、今後の作戦を練っていました。
先ずは摩論が「桓騎軍が鄴城内に残された食料を捜索したものの、予想以上に残されていなかった」と諸将に告げます。
中枢の隠し蔵まで難民達に開放していた鄴城主の趙季伯(ちょうきはく)は本当の名君だったと残念そうに告げる摩論に黒桜が城主に対して「クソ」と吐き捨てました。
桓騎は冷静に「朱海平原の戦いでの残存部隊が入場した為、食料はいよいよ尽きる」と判断します。
「兵糧攻めを秦軍が受ける形になった。道理で途中で李牧が手を出さなかった訳だ」と分析する倉央に黒桜は悪態をつきます。
田里弥の「何日耐えられる?」の質問に、摩論は「これだけの人数を養う食料など1食分も無い。上層部が食す分で2日」と返します。
摩論の分析は続き、「軍が飢餓状態に耐えられるのも2日が限度。それ以降は立つ力も無くなり、李牧軍の攻城に対抗することも出来なくなる。よって、その期間までに自軍は外部から補給を受ける必要がある」と話します。
しかし、「それを李牧が黙って許すはずもない」と終えるのでした。
王翦軍が鄴城内に入城したことを確認した李牧は「周囲の情勢から包囲された鄴を救う手段が秦からの補給による物としかないこと」を確信します。
趙軍は再び、列尾を越えて秦からの補給部隊が鄴に来るであろうことを予測するのでした。
秦国首都の咸陽(かんよう)に鳥による「鄴陥落」の知らせが宮廷内に木霊します。
悲願であった鄴を陥落させたことに沸き返るも、秦王嬴政(えいせい)は「喜ぶのはまだ早い。列尾が固く趙軍に閉ざされている以上、鄴と橑陽は完全に孤立無援の状態にある」と皆を沈めます。
その言葉を受け、昌平君は「どのような手段を用いて鄴を陥落させたのかは分かりかねるが、鄴の趙軍が兵糧を全て焼却したことも考えられる。最悪を想定するならば、王翦軍と桓騎軍は飢餓状態にある」と分析します。
その言葉に色めき立つ廷臣を沈めるように「昌平君はすでに手をうってある」と蒙穀(もうき)が続けるのでした。
秦王嬴政が昌平君に送り出した部隊の進軍状況を確認すると、昌平君は「すでに列尾に迫っている頃」と返すのでした。
補給部隊の大将介億が列尾に到着し、列尾に攻め込む姿勢を見せると同時に、趙軍も動きます。
補給部隊は横槍を受け、補給物資が次々と焼かれていきます。
ある趙軍の兵士が兵糧の入った俵を斬りつけると、そこには何も入っていません。
その状況に困惑する趙軍を見て、介億は唇を吊り上げるのでした。

キングダム636話の感想と考察
今回、疲労困憊の後続部隊が鄴城内に入城することにより逆に秦軍が兵糧攻めを受ける立場となった為、橑陽及び鄴城攻防戦はまだ終わりを告げた訳ではありません。
鄴城内に籠城した王翦軍・桓騎軍に残された時間は僅かに2日であることを踏まえると、どのように補給部隊を鄴城に届けるかが今後の戦の趨勢を決めることは疑いようがないでしょう。
最後に補給部隊の介億が率いていた補給部隊の荷物の中身が空だったことを踏まえると、介億の率いる補給部隊は囮であった可能性が浮上します。
一応キングダムは紀元前の話ですから、補給の方法はそれに伴ってくるものと仮定した場合、「水路を利用して兵糧の運搬を図る意図があるのではないか?」と考えられます。
大量運搬は水路を利用しないとそもそもこの時代では不可能と考えるのが自然です。
しかし、この予想は是非裏切って頂きたいと思っております。
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