2019年12月2日発売の週刊少年ジャンプ2020年1号で、アクタージュ92話が掲載されました。
91話では、意を決して舞台に飛び出した武光でしたが、あえて弱く演じてしまったことによってその存在感が薄れていってしまいます。
武光はそのことを舞台上で自覚しどうにかしようとあがくのですが、もうどうにもなりません。
苦しむ武光を見て、冷静に判断しながらもその身を案じる王賀美、そして山野上でしたが、その想いは舞台上にいる武光には当然届くことはありません。
せっかくの決意も無駄になってしまい、呆然としながらも演技を続ける武光が、この後どうなるのか、というところで終わっていました。
本記事ではアクタージュ92話「我武者羅」のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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アクタージュ92話のあらすじネタバレ
怒れる夜凪の視線からは、武光も市子も霞んでいました。
三蔵法師の言葉を甘言ととらえた羅刹女はただただ怒りをぶつけています。
くだらない、許せない、と言葉を綴りながらも、その甘言に乗りかけた自身の心が許せないといった様子です。
そして立ちふさがる猪八戒の武光をひと薙ぎで交わし、肉薄します。
それを武光は、一瞥もくれなかったと愕然としながら膝をつくのでした。
武光の脳内では夜凪と出会ってからの様々な思い出が巡っていました。
デスアイランドで共演してから、一番近くで彼女と一緒にいたはずなのに、いつからか、彼女を目標としてしまっていたのです。
高めあう仲間だと言いながら、あこがれる自分の心が彼をここまで小さくしてしまったのです。
同時に、観客の同期達もどこか不安げに見守るのでした。
しかし武光は一つだけ確信していました。
夜凪のほうから遠ざかったわけではない、むしろ武光自身から離れたのだということを彼は自覚していました。
夜凪の一人セリフが終わり、一度幕が下りたところで、シーンは舞台裏へと移ります。
すぐに出番となる武光、市子はこの間に血糊をつけなければなりません。
しかし椅子に座り込んでしまった武光に、市子は良い出だしだと言います。
武光は落ち着き払って、このまま進めば出番が滞りなく終わり良くも悪くも舞台にさして影響を与えずに終わるかもしれない、と分析しています。
そしてそうなったとき、武光自身がもう役者を名乗ることができないのだと言います。
その背後には一人セリフをこなす夜凪の姿がありました。
その内容に顔をしかめる市子に対して、王賀美と白石は何かを理解したかのように武光に近寄ります。
白石は、遅かれ早かれそういう日に出会うことを諭します。
その日は突然やってくる、とも。
白石は、私たちに求められるのは彼らの立たせ方ではない、自分の立ち方であると言います。
武光はそれをまだわからないと言いますが、それに対して白石は一生分からないままかもしれない、とも言います。
そして、王賀美がちょっと聞けよ、と割り込みます。
舞台進行を案ずる市子が止めようとしますが、それを制して王賀美は凡人のことがまるで分らないと言います。
そしてスターたる孤独を打ち明けるのでした。
その時に孤独なスターを常に支えるのは、いつまでもスターと共演を願ってくれている身の程知らずの凡人であるというのです。
それは王賀美にとっての白石であるのだと武光は瞬時に理解しました。
だからこそ、自分がやることが見えたのでした。
今も舞台で一人立っている夜凪というスターに対して、共演を願う凡人は、今この舞台では自分であるのだと気付くのです。
壁を強く殴り、武光は、血糊は要らないと言います。
拳から出た自前のものを額につけ、このままいくというのです。
これこそが、武光の覚悟でした。
声のでかさと、身体のでかさと、そして我武者羅だけが取り柄の役者だと言いながら、彼は再び舞台へとただ我武者羅に向かうのでした。
アクタージュ92話の感想と考察
先週から待ち望んだ瞬間でした。
正直もう一回分くらい待たないとだめかもしれないと思っていましたが、展開が早く、想定より早くこのシーンを見ることができました。
王賀美と白石の関係が、夜凪と武光の関係に落とし込まれる。
スターと凡人という関係ではありますが、武光にとってはいいモデルが近くにいたのかもしれません。
特に同じ舞台上で、こんなにも近く見ることができるのが、彼の成長速度を上げているのでしょう。
今後夜凪の視界に武光が入ることによって、夜凪の演技のコントロールが更に精査され、もっとサイド甲のほうの羅刹女がよくなっていく。
そしてあわよくばサイド乙のほうにプレッシャーを与えることができればいいなと思います。
最後のカットの武光君の背中、そして我武者羅というタイトルがとても胸に刺さります。
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