2020年3月2日発売の週刊ヤングマガジン2020年14号で、『寄生列島』1話が掲載されました。
『寄生列島』1話は両親の離婚をきっかけに、東京から『花山島』に移り住む事になった女子高生の主人公・千堂千尋とその父が『外もの』とされ島の住人に受け入れてもらえない中、ある事件が発生します。
今号から始まった江戸川エドガワ先生の新連載です。
本記事では、『寄生列島』1話『終わった家族』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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寄生列島1話のあらすじネタバレ
花山島の漁港で、記録更新と言われるほどの大きな鯛を釣り上げた三郎。
しかし、その鯛の目には不穏な虫の姿がありました。
診療所を営む父と、女子高生の千堂千尋はこの島に来て一ヶ月が立ちますが、父に心配を掛けまいと笑顔で家を出て学校に向かう千尋はクラスメイトに受け入れてもらえません。
半年前に両親が離婚した事から、父について行く事を選びこの島に移り住む事になりました。
新しい父親になる予定だった人は思ったよりも良い人そうでもあり、母と暮らす条件も悪くはありませんでした。
しかし、自分が選んだ元・父に対し、あんな人といたら千尋まで駄目になると言い放つ母について行く事を選べませんでした。
夜、家で勉強をしていると外から父の話声がしました。
見に行ってみると、そこには父と三人の男がいました。
網本・中島三郎が記録更新と言われたほど大きな鯛を釣り上げた記念の祝杯の席で、嘔吐してしまいそのうちの一人を吐瀉物塗れにしてしまったとの事ですが、当の父は酔っ払って上機嫌そのものです。
中島にヤブ医者と呼ばれようとも、祝いの席が台無しになったと責められると土下座してその場を収めました。
三人が去った後も、トイレを吐瀉物塗れにして寝る始末で、千尋は心を開いてくれない住民達の事もあり、ほとほと疲れ果てていました。
外の自販機でジュースを買い、しゃがみ込んでいるとぬいぐるみを抱えた一人の少女が立っていました。
三郎の娘の莉子とわかり、声を掛けてみるとまだ父が家に帰って来ていないとの事です。
お腹を空かした様子の莉子を家に招き入れおにぎりを振る舞うと、スマホに興味を示し、千尋の様々な写真を見ながらお互いに牛乳が嫌いという共通点もあって、莉子は笑顔を見せてくれました。
三郎が迎えに来ても、莉子は千尋にしがみつき帰ろうとしません。
手を捕まれ無理矢理連れて行かれる莉子を千尋は見送ります。
この島にある崩された鳥居と神社に、至る所にある立ち入り禁止の看板。
それら以上に不気味なのはそびえ立った三本の塔のような建物です。
住民の事もあり、千尋はこの島の異様さを感じ始めます。
そんな折、三郎が何者かに惨殺されました。
今日は島の外から来た人は誰もいません。
となると犯人は島内にいる事になり、全員が外ものであり、三郎に辛く当たられていた千尋の父を疑います。
ただ座り込み震える莉子は警官に保護されることになり連れて行かれました。
しかし、警官もまた三郎同様に包丁で惨殺されます。
犯人は莉子です。
理性を失ったように、嫌いな牛乳をがぶ飲みする莉子の目には、あの巨大な鯛の目と同じ虫が這っていました。
寄生列島1話の感想と考察
第一話として凄く良いと思いました。
島内の殺人事件の犯人は誰かというミステリー要素は一切読者側には排除しています。
なぜなら、『寄生列島』なので、犯人は『虫』であってここから寄生が広まっていくのでしょう。
というわけで殺人犯が誰かというのはどうでも良い事なのでしょう。
当面の展開として千堂父が殺人犯として疑われ、千尋もその影響から学校での風当たりが更に強くなる、読んでいて辛い展開が待っているかもしれません。
莉子に寄生した原因はあの鯛を食べたからでしょうか。
そんな描写はありませんでしたが、宴の席に娘は留守番させられていたとも思えない所です。
先に帰ったけれど、父が帰って来ないという事で外に行って千尋と出逢ったと見られますが、描写がないので本当の所はわかりません。
もしかしたら、既に島の住民は寄生されているのかもしれません。
千堂父子が花山島からの脱出サバイバル的な展開なのでしょうか。
キャッチコピーのように扉ページには『倫理観の崩壊が起こる“寄生虫”サイコスリラー』とありますが、まだまだ展開が読めません。
その倫理観を失った莉子は、『なんで殺しちゃいけないの?』という問いと共に警官を殺します。
そう教えられてきたから、法律で決まっているから、等々様々な理由はあると思いますが、何故法律で決める必要があり、人を殺す事を罪とするのかという事を考えなければいけません。
簡単に言えば、自己防衛の為個人的には思っています。
人を殺しても良いですよとなれば、自分が殺されるかもしれないわけです。
道を歩いていてぶつかってしまい、怒るような事があっても相手がグッと堪えてくれるのは法律があるからです。
殺しても罪にはなりませんという世界なら、その時点で殺されているかもしれません(というぐらい怒っていた人を見た事があります)。
その例は『倫理観』とはちょっとズレると思いますが、この作品で崩壊していく『倫理観』がどういうものか楽しみです。
壊れた鳥居や塔のようなものなど、まだまだ謎が広がるこの作品ですが、個人的に三郎と一緒にいた男が千尋をいかがわしい目で見ていたので、何か行動に出る前に早々に莉子に頑張って貰いたいところです。
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