2020年2月27日発売の週刊ヤングジャンプ2020年13号で、『キングダム』633話が掲載されました。
朱海平原の戦いで趙軍は総退却し、戦いの勝者は秦軍に軍配が上がりました。
一方桓騎軍は鄴城を包囲し、兵糧攻めを繰り広げていました。
城内の食料は尽き、飢えた住民達が中には溢れています。
そこへ趙軍到来の知らせが走り、桓騎軍参謀の摩論(まろん)は焦燥に駆られます。
秦軍と趙軍の戦場は鄴へと移り、いよいよ本格的な鄴城攻防戦が始まろうとしています。
本記事では、『キングダム』633話『十の二』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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キングダム633話のあらすじネタバレ
桓騎軍の包囲の元にある鄴城内では食料が尽き、飢えた住民達が城兵達と衝突をしていました。
そこに住民達へ訴えるように「桓騎軍は一般人を殺さない。城を明け渡せ」と揺さぶりをかけます。
城兵と住民達との衝突はやがて、住民達の暴動に発展し、城内では火災が起きました。
それをオギコが発見し、桓騎に伝え、摩論は冷徹な眼差しで城を見据えています。
不敵に微笑み、「いよいよ」と告げ、ゼノウ一家を奥から呼ぶように摩論に指示を出す桓騎。
心の奥で「他の隊に行かせろ」と思うも、了承する摩論。
そこへ伝令が走り、「李牧軍が南下してここへ向かっている」情報が伝達されます。
その知らせを受けて驚愕する摩論。
斥候に出していた一家からもたらされた「下手をすれば、半日で李牧軍が鄴に到着する情報を受けた摩論は「馬鹿な。朱海平原の戦いで王翦(おうせん)軍は敗れたのか」と机を右拳で叩きます。
歓喜は摩論に落ち着くように言いますが、「鄴城内部にも敵軍がおり、李牧が率いる趙軍が到着すれば、挟撃されてしまう。早く逃げる必要がある」と摩論は歓喜を説得しようとします。
その進言に対しても、「落ち着け」とだけ告げる桓騎。
堂々と構える桓騎と動揺する摩論の元に更に知らせが届けられます。
──王翦軍も李牧率いる趙軍を追う形で来ている──
その知らせを受ける一日前、軍を縮小して李牧軍を追う決定が王翦軍に下されました。
それは十の二、即ち十人の内の二人が李牧を追撃軍に加わり、八人が朱海平原に残るものです。
疑問を口にする信(しん)に田里弥(でんりみ)は説明をします。
一つは精鋭に絞ることで進軍の速さを手に入れること、もう一つは兵糧の問題であり、全軍を養う兵糧は秦軍には残されていないと言うこと。
状況を理解した信はその精鋭部隊の選別方法を田里弥に質問します。
追撃部隊の主体となるのは田里弥軍と倉央(そうおう)軍。
二軍は左翼軍、右翼軍と違い、一戦しかしていない為、兵の消耗が少ないことによるものでした。
その言葉に「いかなくて済む」と安堵する尾平(びへい)でしたが、飛信隊の隊長である信は不満をぶつけ、飛信隊も参加すると豪語。
その言葉に涙する飛信隊の仲間達。
口の利き方がなっていないと殴られた信に対して、「お前達の力と経験は必要だ。よって、お前達も精鋭部隊を編成するように」と倉央が告げます。
「王賁(おうほん)、お前は残った方が良い。全然、精鋭じゃない」と軽口を叩く信に「お前も大差ない」と返す王賁。
蒙恬(もうてん)は置き去りにされる残りの軍を心配しますが、「敵領内で秦軍に過酷でない場所などない」と田里弥は断言。
残った軍の兵糧が問題となってきますが、田里弥は上手く対処すると宣言します。
趙の領内で略奪をするのではないかと危惧する信に「いずれ秦の領土となる地で愚行は犯さない」と田里弥は告げます。
準備を整えた追撃軍の精鋭達の前に王翦将軍が現れ、「準備は出来たか。行くぞ、鄴へ」と静かに告げます。
そして、諸将はそれに答えるのでした。

キングダム633話の感想と考察
今回で一番の個人的なツボだったのは何と言っても、
──さん、はいっ! 桓騎軍は一般人を殺さぬ。城を明け渡せ──
でしょう!
キングダムファンなら御理解頂けるとは思いますが、秦軍において最も残酷にして非道、一般人を何のためらいもなく殺して虐殺の限りを尽くすのが桓騎軍なのですから、ここは正直、上手いと思いました。
「どの口が言っている」と多くの読者が思った感想でしょう。
オギコが城内で発生する火事を見つけたのも、オギコファンへのファンサービスではないかと思いました。オギコさんは全くぶれません。
城内では暴動が始まり、鄴陥落も近いと思わせたところで、李牧軍到来の知らせ。
その知らせに焦る摩論が実に良い味を出していました。
普段は冷静沈着な桓騎軍の軍師である摩論が焦ることで、事態の危険性と緊急性を読者に分かり易くしてくれましたから。
鄴を包囲している桓騎軍でしたが、城内の兵と挟撃されれば、負けは必至です。
しかし、王翦軍も李牧を追っていることが判明し、事態は動き出します。
サブタイトルの十の二がここで明らかにされた訳です。
全軍の二割の精鋭部隊が李牧追撃部隊として鄴へと向かう。
移り行く戦場において、飛信隊がどのような活躍をしてくれるのかを非常に楽しみに思っております。
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