2019年10月21日発売の週刊ヤングマガジン2019年47号で、『賭博堕天録カイジ』334話が掲載されました。
『賭博堕天録カイジ』先週号は遠藤にとってはそれが既に拷問であるかのような長い車中、その行き先はまさかのキャンプ場でした。
『刺す』『焼く』『貫く』といった残虐行為が行われるのは本当に塩焼きにされた鮎だけなのか。
本当に、これはただのキャンプで終わるのか……?
そして迎える今号のタイトルは……『嗜虐』。
本記事では、『賭博堕天録カイジ』334話『嗜虐』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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カイジ334話のあらすじネタバレ
楽しげにキャンプ場でバドミントンやサッカーを楽しむ他の行楽客の様子から始まります。
その中で遠藤が危惧していた制裁が行われるわけはなく、他の客同様にバーベキューを満喫する遠藤を除く黒崎一行。
キャンプなら初めから言って下さいと言う遠藤に対し、車中で続いた遠藤の妄想に気付いた黒崎は黙っていた事を『イタズラ心』で済ませます。
腑に落ちない遠藤に、あまりの動揺ぶりにかえって乗っかってやらないと失礼だとまで言い放つ黒崎。
缶ビールを飲ませて仲直りとする黒崎ですが、当然遠藤はまだ信用してはいません。
まだ表情の暗い遠藤に、黒崎は遠藤がだいぶ参っているという『噂』を聞いたと言います。
真面目過ぎるが故に、ノイローゼになり捜査に必要な閃きや直感が働かなくなる。
だからリフレッシュして貰う為のキャンプだと説明する黒崎。
こういった自然の中で『命の洗濯』をする事が大事と言う黒崎に、黒服たちは上司の鑑など喝采を上げ、上司である黒崎にビールを注いで貰う黒服たち。
しかし、遠藤はまだ納得いっていない様子。
何処へ向かうのかを車中で聞いた時に、キャンプと言えば良いものを『刺す』『焼く』、そして『貫く』など含みを持たせた言い回しをした事から、黒服たちのように黒崎を優しい上司などとは思えません。
その一連の発言を『いたぶり』以外のなんでもないとさえ考えます。
目の前の温厚そうな振る舞いは擬態であり、その本質は猫がネズミをいたぶるような本能的サディズムを秘めた男だと見ています。
そもそも、この帝愛グループでNo.2の男が優しい男なわけがない。
現に、その温厚で優しいふるまいの中でも示された制裁の意思を遠藤は聞き逃しませんでした。
『命の選択』がお前には必要だと、黒崎は確かに言ったのです。
もはや黒崎GMとも呼ばず心内で『サディスト』呼ばわりする遠藤の、続く勘違い。
そこにやって来たのは一台のキャンピングカー。
黒崎自慢の特注品らしく、これを遠藤に見せるんだと朝から楽しみにしていた様子の黒崎。
遠藤の勘違いもまだ続きます。
この車中には電気椅子や頭を締め付ける為の万力といった、拷問器具が搭載された『粛清のクルマ』と思い込みます。
小鳥のさえずりや小川のせせらぎ。
そんな平和な風景と車のドア一枚隔てた車中にある地獄、拷問。
それが黒崎のあまりにも変質・変態・猟奇的な癖であり嗜好であると、自慢のキャンピングカーのドアに手を掛け笑顔の黒崎を見る遠藤。
完全防音のこの車はどんなに『大騒ぎ』しても大丈夫と告げる黒崎に、悲鳴をあげても大丈夫という解釈をする遠藤は、再び暴れ出し乗車拒否します。
完全に、帝愛を恐れすぎている遠藤です。
カイジ334話の感想と考察
先週からの遠藤と黒崎の勘違いコントのようなやり取りが続きます。
全く無関係な読者視点からすると、確かに部下の苦労を理解し労い、リフレッシュまで企画してくれる黒崎は上司の鑑と思ってしまいます。
しかし、負い目のある遠藤からすれば全て深読みしてしまうのも納得。
しかもそれが恐ろしい拷問や制裁を行って来た帝愛グループのNo.2の男の発言なら尚更の事。
車中でキャンプと言ってくれれば安心出来たというのもわかりますが、黒崎のイタズラ心もわかります。
読者は完全に傍観者の立場で読むか、遠藤か、黒崎か。
どこの立ち位置になるかによって見方が変わって面白いなぁと思います。
個人的には『命の洗濯』と『命の選択』の勘違いが良かったのですが、ここもまだ黒崎のイタズラ心なのでしょう。
『心の洗濯』とでも言えば勘違いは無かったかもしれませんが、今の遠藤なら『心の選択=決断を迫られる』とでも妄想が続いたかもしれません。
やって来たキャンピングカーでご機嫌の黒崎と、ますます猜疑心の濃くなる遠藤の勘違いコントがどこまで続くのか楽しみです。
或いは、唐突に勘違いではなく油断した所で本当に制裁が始まるのかいずれにせよここ数話で先週からが一番面白いです。
しかし、最後のページに『しばし休載』の文字が……。
読者にとってこのタイミングでの空白はあまりにも悪魔的……!
さすが黒崎GM。
次回が12月2日発売の号という事で、11月は丸々休み。
圧倒的焦らしはまさに拷問に等しいです。
つまり、我々読者もみんな遠藤なのです。
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