2019年10月28日発売の週刊少年ジャンプ2019年48号で、アクタージュ87話が掲載されました。
サイド甲の「羅刹女」は、王賀美の登場で舞台の雰囲気が恐怖から興奮へと変わっていきました。
対する夜凪は未だに怒りの頂点から降りることができず、その心は未だに父への怒りがそのまま羅刹女の演技として昇華されています。
それを見守るサイド乙の面々の視線は冷たく、また王賀美自身にも何かしらの焦りがあるようでした。
ギリギリの状態の王賀美は、どんどん研ぎ澄まされていく夜凪を受け止めることができるのでしょうか。
そして夜凪はこのままただただ恐怖で舞台を支配して終わってしまうのでしょうか。
各々の思惑が顕著に表れる「変化の幕」が上がろうとしています。
本記事ではアクタージュ87話「消費期限」のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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アクタージュ87話のあらすじネタバレ
なにを演じても王賀美陸、とサイド乙の面々は冷たく言い放ちます。
そして偽物の芭蕉扇を奪った孫悟空の王賀美は舞台を降りるのでした。
その際、ちらりと夜凪と目が合い、その気迫に押された様子の王賀美は何を言うでもなく舞台から去るほかありません。
そして楽屋で牛魔王へと衣装を変えている最中、仲間たちからの賛辞に王賀美は鼻で笑います。
ぎりぎりであることを指摘されれば素直に認め、夜凪の演技の迫真さを身を持って感じたことを吐露します。
そして舞台では、再び、もうほぼ羅刹女となってしまっている夜凪の恐怖による支配が始まっていたのです。
それを舞台袖から見る王賀美と花子は稽古通りではいかないことを改めて認識します。
ここからは牛魔王となった孫悟空が羅刹女に愛を騙り、羅刹女が芭蕉扇を渡すシーンです。
それを花子は以前の「弱さを演じる」ことを含めて王賀美に言い聞かせます。
しかしそれをここに来てなお、王賀美は覆すことはしませんでした。
彼が彼であること、これが王賀美のプライドであり武器なのだと彼は言います。
そして孫悟空の時と演じ分けをせずに王賀美は牛魔王として舞台に現れるのです。
演出として演じ分けをしないのは「牛魔王に化けた孫悟空」というテーマは分かりやすく、観客にとっては良いものであるという解釈もあります。
しかし、現在夜凪の羅刹女によって恐怖で支配された舞台においては、王賀美の傲慢さもただ軽薄に写るだけでした。
何があったか、と牛魔王に問われた羅刹女にふ、と夜凪の過去の記憶が紛れ込み、さらに一段階、夜凪の羅刹女の存在感が増すのです。
観客も、舞台袖の共演者や関係者たちからも、王賀美の存在が一気にかき消えます。
これを予期していながらも、自分のプライドを押し通した王賀美に思わず演出家の花子から小さな舌打ちがこぼれます。
サイド乙のメンバーはこれを自滅と判断しています。
そしてそれを見ている千世子、そして阿良也が消費期限という言葉を思い出すのです。
かつて俳優の理想とし目標とさせた王賀美陸のこのザマを見て、千世子はその感情のない瞳でただただ自身の行く末を案じます。
しかし現在夜凪とて、とんでもない爆弾を落とされてなおこうして羅刹女を演じているということを知っている共演者たちは王賀美への期待を捨てきれずにいました。
今彼女に対して対抗できるのは王賀美だけであり、彼のプライドを踏まえた上でも、まだなんとか王賀美に勝って欲しいと思っています。
夜凪の怒りを鎮める何かしらの策があるのか、王賀美の表情は見えません。
王賀美の想いと、表情とはいったいどういったものなのか、次週への期待です。
アクタージュ87話の感想と考察
今回のタイトル「消費期限」というものは、千世子だけでなく、現在舞台に出ている夜凪と王賀美、そして千世子と共にサイド甲を見ている阿良也にも共通して言えることなのではないかと思いました。
夜凪景において言うのであれば、現在抱えている父への想いが消えてしまえば彼女の役者としての才覚が潰れる可能性もある、ということを暗に示しているのではないでしょうか。
変化の章、という名がついていることからも分かるように、ここで何かしらの変化を訪れさせるという期待が持てます。
それは夜凪に限らず王賀美についても同じことが言えるでしょう。
前回までの舞台上での彼の表現からも分かるように、少しずつ「過去を振り返ること」で彼の心の中にも大きな変化が訪れているのだと思います。
たとえ今の王賀美の姿が滑稽なものに見えたとしても、これこそが実は彼の作戦であることも考えられます。
次の、再び孫悟空として舞台に立つときに大きな変化を持って現れる、などいくつか手段は考えられるからです。
今は完全にサイド乙側が有利に見えますが、最終的にはそうはならないと願いたいです。
早くも来週の展開が気になりますね。
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