2019年11月21日発売の週刊ヤングジャンプ2019年51号で、『キングダム』622話が掲載されました。
前回621話において、立ちはだかる龐煖に挑んだ羌瘣。
羌瘣は天地開闢の言葉を紡ぎ、身体の隅々までに力を漲らせて自分の限界を超えていきます。
自らと愛剣緑穂の命を賭して臨む最深の巫舞にて龐煖の攻撃を掻い潜り、次々と斬撃を浴びせます。
しかし、限界を超えての巫舞は想像以上に負担が大きく、龐煖の強大な一撃で地面に膝を屈します。
渕の言葉に力強く立ち上がる羌瘣。
激しい死闘の中で徐々に均衡が崩れ始め、遂には龐煖によって足を掴まれた羌瘣は頭部から何度も堅い大地に叩きつけられるのでした。
見るに堪えない惨状の羌瘣はそれでも乾坤一擲の一撃を龐煖に放つも、それすらも防がれてしまいます。
激昂する飛信隊にボロ雑巾のように成り果てた羌瘣を投げつける龐煖。
その変わり果てた無残な姿の羌瘣を受け止めたのは信。
遂に対峙する宿命づけられた信と龐煖の2人。
信は失われた仲間達の仇を討てるのか?
今回はその辺りが見どころになってくると思います。
本記事では、『キングダム』622話『龐煖とは』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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キングダム622話のあらすじネタバレ
巻頭カラーにて龐煖を討つことを決意した表情の信。唯、ひたすらに宿敵龐煖を倒すことを感じさせます。
羌瘣と龐煖の一騎打ちを目の当たりに出来なかった飛信隊の面々が急いでその場へと馳せ参じます。
味方を押しのけ、通してくれるよう願い、駆け付けた尾平(びへい)が目にしたものは龐煖によって殺められ、物言わぬ骸(むくろ)と化した去亥(きょがい)の姿でした。
信じられぬ光景に去亥の名を泣き叫ぶ尾平。
尾平の慟哭(どうこく)と共に涙する飛信隊の仲間達。
ふと右を見上げた尾平は信が無残な姿と成り果てた羌瘣を抱く姿を目撃します。
信と小さく呟いた後で、羌瘣の惨状に気付いた尾平。
信は馬を降り、この場に到着した尾平に意識の無い羌瘣を託します。
羌瘣の身を委ねられた尾平は狼狽(うろた)えます。
尾平に羌瘣のことを託した後、信は龐煖と決着をつけてくることを尾平に告げました。
戦場での激闘により疲弊している信の身体を尾平は案じます。
必死に止めようとする信の顔を見た尾平に出来ること。
それは信の無言の圧力に涙を浮かべて、力なく信の名を口にするだけでした。
龐煖の名を絶叫する信。
突然の信の絶叫に飛信隊の仲間たちは口を開け、茫然とします。
「お前は」の言葉と共に大地を踏みしめる信。
力強く大地を歩みながら、骸と化した仲間達の姿を目に焼き付ける信。
龐煖の存在を問う信の脳裏に浮かぶ者達。
信を危険から己が守ると誓った羌瘣の現状は激闘の末に意識を無くしたままに尾平に抱かれたもの。
「戦の火を絶やすな」と信に残した麃公大将軍も龐煖の凶刃に斃(たお)れました。
目を見開き、眼光鋭く龐煖を睨みつける信の脳裏には最も偉大な大将軍であった王騎将軍の姿が浮かびます。
龐煖とは一体何者なのか? 信自身が分からない問い掛けと同時に対峙する2人。
ここは戦場であり、男達の声がどこからか響いてきます。
静かに佇(たたず)む龐煖は信の持つ矛に目を向けました。
そして、その矛を視認した龐煖の古傷から音を立てて血が溢れ出してきます。
かつての強敵であった王騎大将軍の矛であることを確認した龐煖の顔面は嚇怒(かくど)の表情に染まり、再び咆哮(ほうこう)を挙げます。
その咆哮に次々と馬が倒れていきます。
次の瞬間、龐煖は信へと左側面への鋭い斬撃を繰り出してきました。
信は王騎将軍より譲り受けた矛で防ぐも、衝撃によって右方向へ弾き飛ばされてしまいます。
飛信隊の誰もが茫然とする中、その光景に唯1人素っ頓狂な声を挙げる尾平。
信は左手を地面に突いて上手くバランスを取り、回転しながら右足を踏ん張ることで自らの態勢を整えることに成功します。
吹き飛ばされた信を見た友軍が龐煖に挑むも、信への追撃の一撃で切り殺されていきます。
その追撃を辛くも防ぐ信。
一方、李牧(りぼく)本陣にてその凄まじい龐煖の攻防の一部始終を見ていたカイネは顔から汗を滴らせながらも李牧に尋ねます。
──龐煖とは一体、何なのか──
問いかけたカイネに李牧はこう返します。
──龐煖こそが我々“人”の代表なのだと──

キングダム622話の感想と考察
今回の622話にて遂に対峙した信と龐煖の2人。
前回621話で羌瘣を散々に痛めつけた龐煖に対する信の怒りは序盤において静かなものでしたが、ストーリーが進むにつれて、燎原(りょうげん)の火の如く燃え広がって行く様が読む者にも熱い物を宿らせてくれる展開だったと言えます。
信の問い掛け、サブタイトルにもある「龐煖とは」が今回の最大のテーマであり、読者の謎でもありました。
信の持つ王騎将軍から託された矛を目にした瞬間、かつて王騎将軍に付けられた古傷から血が溢れる演出はそれだけ龐煖が王騎将軍を意識していた証です。
最後で語られた李牧の言葉「龐煖は人の代表」とは一体何なのか?
龐煖とは作中で武神であると表記され続けていたのに、ここに来てまさかの「人の代表」と言われても、答えになっていない気がします。
龐煖は人であることを捨てた果てに武神とも呼ばれる領域に到達した者の筈です。
李牧は「武を極めた個人が辿り着ける最終地点に立つ者として人の代表」であると評したのか?
謎は深まるばかりで、この考察も的を射ているとは正直思えません。
信と龐煖の一騎打ちはどうなるのか? 『龐煖が人の代表』であるとは何故なのか?
この答えは次回で出ることを大いに期待したいと思います。
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