『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』は、月刊コミックゼノンにて連載されている荒井ママレ先生による人気漫画です。
10話は、漫画家を目指す丸岡はじめは35歳でバイト生活。
狭心症で緊急入院となりましたが収入面での不安から、投薬された薬の量と、これから生涯飲み続けなければいけない事態から目を背けます。
治療に前向きになって欲しいみどりは一体どうするのか。
今回はDOC制度の話など、役に立つ内容のお話もあります。
本記事では、『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』10話『夢と懐』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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アンサングシンデレラ10話のあらすじネタバレ
36歳でアルバイトを続ける丸岡はじめは漫画家志望で、会社の若いバイトから陰で馬鹿にされている事にも閉口して生きる日々です。
妻も同様にデジタルの漫画家で現在は妊娠中です。
在宅アシスタントを雇えるからと、デジタルで描く事を勧められますが、紙とペンで一発逆転出来るのが漫画の良い所と、はじめは聞く耳を持ちません。
子どもが生まれる事からも、もっと身体や生活の安定を考えて欲しい妻は一発逆転なんていいと言ってしまいます。
この日も深夜まではじめは漫画を描いていました。
寝ようかと立ち上がった深夜3時過ぎ、はじめは倒れてしまいます。
4日後、みどりは内科病棟満床の為に小児病棟にICUから転棟する事になったはじめの服薬指導担当に選ばれました。
調べたところ既往歴もアレルギーも無く、持参した薬の処方にも問題無し。
担当医師の六谷先生に順調なら一週間後に退院ですと説明されるとはじめは何か言いたそうな様子です。
みどりに交代し、薬の説明を始める為に服薬する薬の一覧を見せられてはじめは驚愕しました。
減る事はあっても心臓の薬は生涯飲まなければいけないと言われ、拒否する意思を見せます。
薬を飲み続けるということは『完治しない』という事でもありますが、再発防止と治療しないままなら心筋梗塞の可能性もみどりは説明します。
今後の生活の為にもとみどりが言うと、はじめは溜まっていたものを吐き出すように若い薬剤師が生活の何をわかるって言うんだと言い放ちます。
一般人には薬がぼったくられているかもしれないし、病院の儲けしか考えていないと言い、はじめは全く治療に向き合う気はありません。
その事を担当の六谷先生に伝えると、君の仕事は伝達係じゃないと自分でどうしたいか考えて意見をしないとチームとして議論は出来ないと言われてしまいます。
もう一度、はじめの元に向かったみどりは拍子抜けするほどあっさり謝罪されますが、どうにも投げやりになっているようなその様子が引っ掛かります。
話を聞いてみると、経済面が不安な事がわかりました。
薬剤師と金の話をしてもしょうがないと追い返されたみどりは、ナースステーションでその事を話します。
ちょっと良くなれば医療費を削って、治療を疎かにして仕事に支障が出てしまうという悪循環のケースはよくあるようです。
みどりは薬の単価を全て計算し、ジェネリック薬品に置き換え可能なものに変更した『安い処方』を六谷先生に提案します。
1日322円という差額ではありますが、生涯付き合っていく金額と思えば大きなものになるとはじめに説明するみどり。
そして、薬の事でしか役に立てないけれど、薬剤師としてなんだってやります、諦めたくないんですという言葉に、はじめも治療に向き合う気になったようです。
退院後、金が飛んで行った事に抵抗はあったものの、自分が生活と向き合うのが怖がっていた事を妻に告白し、これから頑張る事を誓います。
後日、ネットで公開された漫画には大きな薬のカプセルで患者をぶん殴るお団子頭のキャラクターの姿がありました。
はじめが描いた入院体験記がSNSで人気になっていたようで、みどりは自分がモデルになっている事に大喜びですが、それを見た瀬野もくるみもあれは嬉しいのかと微妙な所です。

アンサングシンデレラ10話の感想と考察
本編の中で説明があった『DPC(包括医療費支払制度)』についてここで説明を加えます。
症例ごとに国が定めた一定額が、医療費として請求されるもので、医療品の種類や検査の回数で医療費の変動は発生しません。
その内訳は、包括評価で算定される入院費・検査・投薬・注射・画像診断などに加えて、出来高で算定される手術・麻酔・リハビリ・内視鏡検査などがあります。
この包括部分にある『投薬』は、入院中はどんな薬でも料金に変動はありませんが、退院後はDPCの適用外となる上に生涯薬を飲み続けなければいけないので、みどりは『安い処方』を提案しました。
その努力の姿も見えたお陰ではじめも治療に取り組む気になったのかもしれません。
どんなに自暴自棄になっていても、自分の為に頑張ってくれた人のその想いには応えたいという気持ちはまだ残っていたのでしょう。
それも無くなってしまえばみどりがどんなに頑張っても意味はありません。
救う人、救われる人そのどちらの気持ちもあって人は生きる事が出来るのだと今回の話で感じました。
冒頭のはじめは漫画家になるという目標の為に頑張って無茶してしまいますし、夢を諦めきれない気持ちもわかりますが、やっぱり周り心配かけて不幸にしてまで夢を追うのならそれはやめた方が良いと思います。
諦められない気持ちはわかりますが(2回目)……。
次はどんな患者とのお話なのか楽しみです。
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