2019年11月14日発売の週刊ヤングジャンプ2019年50号で、『キングダム』621話が掲載されました。
前回620話において、李牧本陣に辿りついた飛信隊を待っていたのは武神龐煖。
龐煖の咆哮が轟き、兵は竦み、馬は嘶く。
旧主の敵に目の色を変える麃公兵達は無残にも両断され、岳雷と我呂の両名も副長渕の制止を聞かずに突撃するかに見えたが、1人の少女の声だけが戦場に木霊する
──トーン・タンタン──
呼吸を整えた羌瘣の巫舞の声。
羌瘣は舞う。血涙を流し、愛剣緑穂すら限界を超えた巫舞に悲鳴を上げる中、諸共に命を賭して武神龐煖に立ち向かう。
軌跡のみを辛うじて視認出来る程の龐煖による斬撃を掻い潜り、龐煖の背を斬りつける。
全ては信と龐煖を戦わせない為に。
その激闘の末がどうなるのか?
神をその身に宿す者達の戦いの予想は誰にも能わず。
今回はその辺りが見どころになってくると思います。
本記事では、『キングダム』621話『堕とす者』のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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キングダム621話のあらすじネタバレ
装飾の宝玉の最右がひび割れた緑穂。鈍い音を立てて、割れた宝玉が激闘の凄まじさを物語る。
緑穂を案じるも、否と答えを出す羌瘣。
己の限界を超えたその巫舞ではまだ足りない。
緑穂に無理をさせていることを羌瘣は百も承知の上でさらに早く、さらに深く潜ることを決意する。
緑穂に思いだけで語り掛け、羌瘣は命を捨てた深部を目指す。
暗く、静寂に包まれた深海に潜るかの如く、
──トーン・タンタン──
羌瘣の姿は次第に闇に包まれ、沈み、消えていった。
左手の血管が浮かび上がり、全身に血流が流れ込んでいく。
羌瘣の紡ぐ言霊(ことだま)が全身を駆け巡り、その身に神を宿す力となる。
頬に血管が浮かび上がり、血涙が止め処なく溢れ出す。小さく開かれた口から除く無垢な歯だけは何も変わらない。
豹変(ひょうへん)していく羌瘣の姿に副長の渕は眼(まなこ)を開き、微かに羌瘣の名を口にしようとする。
羌瘣の変貌に合わせ、龐煖の頬にも血管が音を立てて浮かび出す。
雷神の化身である羌瘣の巫舞の準備が完全に整った。
血沸き、肉躍る歓喜からか、緑穂へと語り掛ける羌瘣。
逆流する血潮により、彼女が最深の領域へ到達したことを戦場に佇む皆に知らしめた。
龐煖の一撃は再度空を斬り、高く舞う羌瘣が龐煖の無防備な背後を斬りつける。
更なる龐煖の一撃を華麗に躱(かわ)し、斬撃を浴びせ続ける羌瘣。
他者を圧倒する攻防に茫然と立ち尽くす飛信隊の隊員達及び李牧とカイネ。
大地を踏みしめるそのか細き軸足からも血が流れる。
あの化物である龐煖を圧倒する羌瘣の剣舞に誰もが声を出せずに立ち竦んでいた。
羌瘣による斬撃の軌道が揺らめき、龐煖の斬撃を掻い潜り、偃月刀(えんげつとう)の柄で受けようとした龐煖の左薬指と小指を切断した。
その一部始終を見ていた渕は羌瘣がする勝利への一縷(いちる)の望みを胸に抱く。
だが、限界を超えた巫舞によって羌瘣はその場に跪いてしまうのであった。
羌瘣へそれ程までの負担を強いて、ようやく戦える相手こそが武神龐煖。
耐えきれず、吐血する羌瘣。更に割れる緑穂の宝玉。
渕が羌瘣の名を絶叫した。
その言葉を受け、歯を食いしばり、力強く羌瘣は大地を蹴る。
羌瘣の力強き一撃は龐煖の右肩を切り裂き、その斬撃の鋭さによって態勢を崩す龐煖。
飛信隊の仲間たちの言葉が羌瘣に拍車をかける、その言葉はただ「いけ」と。
龐煖が態勢を崩した絶好の機会を逃すまいと更なる追撃を図る羌瘣。
相手の左指2本に欠損は与えた。態勢も崩した。
誰の目にも勝敗が見えたかに思えた。
次の瞬間、羌瘣に鋭い眼光を向け、羌瘣へと絶叫と共に振るわれる龐煖の理不尽な一撃が炸裂した。
其は暴虐の一撃、不可避の神の一撃。
羌瘣はその一撃を緑穂で辛うじて防ぐも、剛腕による一撃は少女1人を吹き飛ばすには十分過ぎるものであった。
回転し、跳ね飛ばされるも羌瘣は必死で両の足で踏みとどまる。
眼光鋭く目の前の龐煖を睨みつける羌瘣。
限界を超えて戦う羌瘣の境地などはとうに超えていると言い放つ龐煖。
──我は武神であり、羌瘣の到底及ぶ存在ではないことを──
龐煖の間断の無き斬撃が始まる。
両者共に手傷を負い、無表情のままに唯、目の前の存在を殺すことに全神経を集中させていく。
羌瘣が龐煖に攻撃する度に声援を送る飛信隊の仲間達。
──そして、均衡が破られる瞬間が訪れる──
違和感を覚えた羌瘣は自身の左足首を龐煖に捉えられたことを知る。
気付いた時は既に遅く、無残にも羌瘣は龐煖によって頭部より硬い大地へと叩き付けられた。
信じたくない光景を目にした飛信隊の仲間達。
言葉もなく、目を見開いたまま吐血する羌瘣。
龐煖は羌瘣のか細い身体を再度持ち上げ、今一度空に上げて振り落とす。
鈍い音が響き、その光景に耐えきれず、渕は落涙しつつ制止の言葉を口に出しかけた。
三度目に空に上げられた羌瘣の瞳に光が宿り、偃月刀による防御が間に合わぬ隙を見抜いて緑穂を龐煖の頭部めがけて刺突する。
乾坤一擲(けんこんいってき)の羌瘣の一撃を右腕で受け止める龐煖。
羌瘣が全てを賭けた一撃すらも通用しなかった。
そして、成す術もなく大地に叩き付けられた羌瘣。
羌瘣の左足首は龐煖の驚異的な握力で粉砕され、彼女は愛剣緑穂すらも手放してしまった。
羌瘣は4度、5度、頭部から地面に叩き付けられ、見るも無残な姿となってしまう。
自分達の副長の無残な姿に飛信隊の誰もが落涙し、静止の言葉と共に龐煖へと突撃を仕掛ける。
その飛信隊へ龐煖は羌瘣を腕力に物を言わせて投げ付けるのであった。
龐煖との激闘でボロボロとなった羌瘣を受け止めたのは信。
信は羌瘣を力強く馬上で抱きしめるも、言葉を発せず、歯を食いしばるのであった。

キングダム621話の感想と考察
今回の621話は羌瘣と龐煖の激闘の一騎打ちと呼べるに相応しい内容だったのではないでしょうか。
オープニングの巫舞の描写が「素晴らしい」の一言でしたね。
深海に沈んでいくかのように巫舞の神髄を見せる羌瘣と天地開闢(かいびゃく)の理(ことわり)を紡ぐ言霊。
命を賭して武神に挑む羌瘣の決意と覚悟。
雷神の化身と化した羌瘣の姿は今までにないくらいに迫力に満ち溢れ、絶対的強者の雰囲気を読者に十分に伝えてくれるものでした。
あの武神龐煖の神速の連撃を躱し、舞い、己が緑穂で手傷を負わせていく羌瘣を応援せずにはいらなかったと言うのが正直な感想です。
羌瘣の剣の軌跡は変幻自在。
あの龐煖の左薬指と小指を切り落とす偉業はこのまま勝負が決まるかに思えたのですが……
やはり、龐煖は強かった。
武神の名は伊達ではないところを読者に絶望と共に見せつける結果となってしまったのが残念無念。
羌瘣の乾坤一擲の一撃を右腕で以て躊躇なく犠牲にして防ぐ龐煖はやはり『キングダム』における個の武に特化した最強最大の敵であると言えます。
『キングダム』は知略特化の李牧・武神龐煖と魅力ある敵キャラクターが生き生きと活躍するのも魅力の1つです。
次回は敗れてしまった羌瘣の仇を信が討ってくれることを大いに期待したいと覆います。
因みに、私個人は龐煖の容赦の無さは大好きです。
だが、羌瘣をあれだけ痛めつけたのは許せないのも事実ですね。
今回は絶対に読むべきだと断言出来る内容でした。
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