『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』は、月刊コミックゼノンにて連載されている荒井ママレ先生による人気漫画です。
8話は、前話の続きで小野塚とみどりが対峙した後の話です。
みどりを見た後、小野塚の薬剤師になった頃の過去を思い出し、それから現状までが描かれています。
『薬剤師』だけではなく、もっと多くの職業にも通じる社会問題とも言える実態がそこにはありました。
そんな小野塚とみどりは再び相まみえるのか。
本記事では、『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』8話『ひとりよがり』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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アンサングシンデレラ8話のあらすじネタバレ
みどりを見送った後、一人で薬の分包作業を続ける小野塚はこんなはずではなかったと過去を思い出します。
新人としてこの薬局に入ったばかりの頃でした。
この薬局で経験を重ねながら認定薬剤師の資格を取って、地域に貢献できる薬剤師になれるように頑張っていました。
アツイ若手などと言われるような新人だった小野塚ですが、駅周りの大型店舗が24時間営業になる流れから、ナカノドラッグも24時間営業が始まり今の深夜ワンオペが始まってしまいます。
夜勤とはいえ午前11時の出勤に19時までは普通に仕事をこなし、日勤が帰ればそこからは一人の仕事。
翌日9時に仕事を引き継ぎ退勤という過酷なスケジュールです。
そんな職場には人員も増やして貰えず、地域ナンバーワン店舗を目指すマネージャーには仕事を最優先にさせられ勉強会にも行けず買った本を読む事も出来ないままの生活に小野塚は疲れていました。
そんな小野塚と対峙したみどりですが、翌日は昼食時間に瀬野とハク・くるみに報告します。
帰宅後は薬局に乗り込んだ事を反省したようで、改善すべき問題のある状況を打破出来ない事が悔しそうです。
みどりの勤務する総合病院と違い、病院と薬局でお互いの仕事を把握出来ず溝があるのも事実。
そこで瀬野は、今度の症例報告会で発表するみどりに近くの薬局と合同勉強会する事を提案してみろとアドバイスします。
昼食も終わり、入院した新田の事をハクに尋ねます。
小学校の先生らしくクラスの子ども達からの寄せ書きに泣いていたという話もありつつ、問題の薬の管理について二人は深刻な表情になります。
お薬カレンダーを導入しようとしていますが、結局のところ最後は患者本人次第で、病院から外に出てしまえば入院時のような管理は出来なくなってしまいます。
小児病棟の前を通りがかったみどりは、なにやら騒がしい事に気付き足を止めます。
お薬カレンダーを導入したのんちゃんが、カレンダーが可愛くないからとシールを貼り始め、そこからお絵描き大会になっているとの事です。
みどりも描いてとせがまれ猫を描きますが、優花(5話参照)に新種のモンスターと馬鹿にされる出来栄えです。
対抗して優花が描いた猫に、のんちゃんは大喜びでみどりの立場がありません。
しかし、そんなデコレーションされていくお薬手帳を見て、みどりは閃きます。
二週間後の検査結果では、アドヒアランス(患者が自ら治療方針の決定に参加して自ら行動する事)が良かったためにリンが下がっていて退院日も決まったとの事です。
そして退院の日、みどりが渡したお薬カレンダーは生徒たちが絵を描いたカスタマイズしたものでした。
宝物にしますと泣き出す新田に、思わずみどりも涙をこらえます。
そんな頃、瀬野はナカノドラッグに出向き小野塚を呼び出します。
近隣の調剤薬局の薬剤師との合同勉強会に誘ってみると、小野塚は自分が何もやらないダメな薬剤師扱いされていると激怒します。
ですが、瀬野は勘違いだと切り捨てます。
うちの若い薬剤師が患者の為に行動して失敗した後、委縮する姿を見たくないだけで君の為じゃないと。
何が不満なのかは知らないけれど、自分で動くしかないと言い去る瀬野に、小野塚は黙るしかありませんでした。
後日行われた症例報告会に顔を出した小野塚と、顔見知りのような瀬野の様子にみどりは驚きながらも発表を続け、お酒も有りで勉強会や懇親会の席を設けられたらと提案します。
患者にとって身近な存在なのは入院した病院の薬剤師ではなく、生活の中にある薬局で、今回入院していた新田も同様でした。
もっと病院と薬局が連携しやすい環境づくりをするべきとみどりは発表していました。
そんな話を聞いた小野塚はほんの少し、元の夢に向かって歩き出せたのか、退院後に訪れた新田にも声掛けをするようになりました。

アンサングシンデレラ8話の感想と考察
初の前後編というか2話に渡るお話でした。
小野塚はただの嫌な奴ではなかったです。
今回の話では、24時間営業のドラッグストアでしたが、実際にはコンビニだけではなくスーパーや牛丼屋を始めとした食べ物屋さんなども24時間営業のお店が数多くあります。
時短営業など始めたコンビニもありますが、まだまだ人手不足で深夜のワンオペなどが多いです。
サービスを供給するのは良い事ですが、それは過剰なサービスではないかと疑問もあります。
宅配業者なども人手不足に加えてネットショッピングの増加による影響で大変な事になっています。
ナカノドラッグのマネージャーのように、地域ナンバーワン店舗を目指すという目標ばかりを見て、現場を見ず小野塚のように夢を失っていく若者も多いであろう社会になるくらいなら、そこまでの便利さは要らないのではないかと思います。
とはいえ、実際に夜中にスーパーなど開いているのは助かる事があるのも事実ではあります。
いつもながらに瀬野が裏で動いてくれているものの、みどりは全く気付かず進んでいるのは割と好きでもあります。
そしてこの二人の間に全く恋愛感情が無く、仕事上の信頼関係だけで成り立っているのが凄く良いです。
最後までそんな関係であって欲しいです。
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