2022年6月9日発売の週刊ヤングジャンプ2022年28号で、『少年のアビス』97話が掲載されました。
『少年のアビス』97話は、夕子との別れから変わってしまった野添の生活は、より孤独なものになっていきました。
そんな日々の中、1人だけ手を差し伸べてくれる人がいたのでした。
本記事では、『少年のアビス』97話『イヴの夜』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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少年のアビス97話のあらすじネタバレ
原稿用紙を広げてペンを持つ野添でしたが、何も書けなくなってしまいました、
木枯らしが吹く頃、野添の祖父が倒れてしまい、祖母は祖父と母の両方の世話に忙しく、野添にわずかな金が与えられただけでした。
学校ではパンを抱えて歩く生徒たちを横目に、水を飲んで空腹を紛らわしていると、篠岡がパンを渡してくれました。
受け取った野添はすぐに食べ始めると、篠岡は黒瀬さんと不良のリーダーの人が一緒に帰っているのを見たと言いました。
本当に付き合っていると口にする篠岡の言葉に、野添は何も言いませんでした。
野添と黒瀬が育んできた秘密の恋を知る篠岡にとっては、不良に力ずくで奪われたように見えていたようで、これでいいの? と問いますが、野添は引き裂いたのはこの町だと否定しました。
町のクリスマスケーキ予約受付中の貼り紙を見ると、去年はスナックの上の部屋で、2人でクリスマスパーティーをしたことを野添は思い出していました。
今年は1人で過ごすことになるはずだった野添ですが、篠岡が家に呼んでくれました。
単身赴任で父はおらず、姉も今年はいないために母と2人きりだと篠岡は言いました。
それでも料理好きの母がクリスマスは色々作るつもりでいるようで、野添が来て食べてくれたら嬉しいと、言葉を途切れさせながら誘いました。
そして当日、篠岡の家に向かった野添はテーブルの上に並んだ数々の料理に驚くばかりでした。
楽しい時間を過ごし、久々に美味しいご飯を食べられたことに野添はお礼を言いました。
転校してきたばかりでいじめられていた頃から、篠岡は優しくしてくれて、こういう温かい家庭で育っているからだとわかったと野添は言いました。
しかし、篠岡はそんな家庭の真実を打ち明けました。
父は単身赴任先で愛人を作り、それを母は隠していましたが、篠岡も姉もとっくに知っていました。
何も知らない顔をした母が仲良し家族を演じるのが嫌になって姉は遠くの大学に行き、1人残された篠岡は母の仲良し家族ごっこに付き合わされて息苦しいのだと言いました。
この日野添が来た事によって、クリスマスを一緒に過ごしてくれる人がいて、母と2人一緒ではないと宣言できて良かったと篠岡は言います。
雪も降り始め、篠岡は黒瀬さんが羨ましかったと本心を語り始めました。
2人の出会いはロマンティックで運命的で、もう少し野添に寄り添って先に本の話とかが出来ていたら隣にいたのは自分だったのかもしれないと篠岡は頬を染めながら言いました。
野添も篠岡のそんな好意には気付いていました。
優しくて賢く趣味も合う篠岡を野添も好きで、恋人になる未来も否定はしませんでした。
そんな未来も、あの日に夕子と出会ったことで無くなってしまったのです。
夕子に抱いた強く激しい恋愛感情を篠岡にも、これから一生の誰にも抱くことは出来ないと野添は考え、篠岡の優しい好意にすがるしかないと決意しました。
篠岡さんの事が……と切り出した時、商店街の方に騒がしく走り出す人影がありました。
野添たちもその方に向かうと、人の流れは徐々にスナックがあるコネコ横町に近付いていきました。
人々の視線の先では、夕子の母が営んでいるスナックの2階から轟々と炎が燃え上がっていました。
その炎は野添の目にも映り、中にいるかもしれない夕子の事を考えました。

少年のアビス97話の感想と考察
ずっと側で寄り添ってくれていた篠岡の好意に、改めて向き合った野添はれない感情を抱くことは出来ませんでしたが、受け止める決意をしたところでした。
そうはさせないとばかりに夕子の家が火事になってしまい、野添の心はやはり夕子に向いてしまいます。
表向きにはしていないだけで、別れた後もずっと気持ちは夕子に向いていたのでしょう。
この家事の原因がなにか、中に夕子がいるのかもまだわかりませんが、ここでも雨竜が中に入り助けだすのかもしれません。
守り切ると言ったあの男の行動によって、また野添は近付くことすら許されなくなってしまうのか、あるいはここで野添が駆け出すのか次回どうなって行くのか楽しみです。
この家事で夕子にもまた1つの大きな展開があるように思えますが、それが良い方向に転ぶとは思えないのがこの作品であり、本編での夕子を思い出すと悪い方に転がり落ちている気がしてなりません。
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