2022年4月4日発売の週刊ヤングマガジン2022年18号で、『アルキメデスの大戦』第308話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第308話は、ハワイ作戦に向けて本格的に動き出した海軍の様子が描かれます。
ハワイに向け出港した航空機動部隊。
作戦参謀の櫂は航空艦隊司令長官・南雲とともに空母「赤城」に乗船。
艦橋の外に出た櫂は艦隊の隊列を眺めながら、出発前に長官・山本と交わした約束事を思い出していた……
本記事では、『アルキメデスの大戦』第308話[出撃]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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アルキメデスの大戦308話のあらすじネタバレ
【山本からの通達】
11月17日
山本長官の招集により、空母「赤城」艦内に機動部隊の各艦長らが集結。
その中には作戦参謀である櫂の姿もありました。
山本は居並ぶ艦長たちに、機動部隊は択捉島・単冠湾に入港したのち、11月26日に湾を出港してハワイを目指すことを伝えます。
そして攻撃予定日が12月8日であることも明言。
長官の口から攻撃予定日を明言され、艦長たちに少なからず緊張が走ります。
ピりついた空気の中、山本はワシントンD.C.で進められている日米交渉の行方次第で攻撃中止命令が下されることも併せて説明。
攻撃命令の隠語である「ニイタカヤマノボレ」が発信予定である12月2日に無かった場合、機動部隊は反転帰航するよう伝えました。
【櫂の不安】
山本からの通達が終わり、艦長たちは艦に戻るため「赤城」を後にします。
山本は作戦参謀である櫂と黒沼に残るよう言い、ハワイ作戦について二人に確認を求めます。
櫂はハワイ作戦において唯一不安視していることがありました。
それは機動部隊による航空攻撃に連動して実施される戦艦部隊の艦砲射撃。
櫂の考えるハワイ作戦の目的はあくまで米軍基地の壊滅です。
そのためには「大和」をはじめとする各戦艦の艦砲射撃が絶対に欠かせないと考えていました。
航空部隊の攻撃だけでなく、艦砲射撃でダメ押しするべきだと考えていたのです。
ただ、櫂がこれまで主に関与してきたのは航空部隊であり戦艦部隊ではありません。
そのため戦艦部隊の作戦行動については一抹の不安があったのです。
櫂はまるで念押しするように、戦艦部隊には必ず艦砲射撃を実施してもらわなければならないと訴えました。
山本とて櫂が立案したハワイ作戦において戦艦の艦砲射撃が重要な役割を担っていることを十分理解していました。
だからこそ軍令部に何度も掛け合い、自ら「大和」に坐乗して陣頭指揮を執る承認を得たのです。
山本は必ず艦砲射撃を敢行することを約束し、櫂には機動部隊で南雲長官を補佐するよう命じました。
【宣戦布告へのこだわり】
櫂は日米交渉の進捗状況が気になり山本に尋ねます。
山本は自分だけでなく政府も12月8日に開戦を予定している以上、あと半月足らずで交渉がまとまることは不可能との見立てだと話します。
つまり開戦はほぼ決定事項であり、今や軍も政府も粛々と開戦へ向けて準備を整えているのが現状であると…
特に交渉決裂の場合、政府には宣戦布告文を12月8日付で米国側に必ず届けるよう強く申し入れていることを櫂に教えます。
山本は宣戦布告文を送ることによって、絶対に騙し討ちの汚名を着せられることを防がなくてはならないと腐心していました。
櫂は異様なまでに宣戦布告文にこだわりを見せる山本の考えがイマイチ理解できません。
理由は近現代の戦争は奇襲攻撃から始まるものであったからでした。
それでも山本の考えを尊重し、敢えて何も言わず黙って山本の話に耳を傾けていました。
【ワシントンD.C.】
11月26日 日本大使館
日本側が提示した交渉案甲乙の二つを米国は拒否する旨が伝えられました。
逆に米国は日本に対して要求案を提示。
要求案を受け取った来栖特命全権大使は内容を見て肩を落とし、身体から力が抜けていくのを感じていました。
外務省の丹原もその要求案に目を通します。
そこには到底日本が受け入れられない内容が記されていました……

アルキメデスの大戦308話の感想と考察
【宣戦布告に対する櫂の考え】
今回、櫂が宣戦布告に関して重要視していないことが判明しました。
これは勝つことが最も重要であり、宣戦布告にはさして意味がないと思っていたからでしょう。
このような櫂の考えはこれまで世界で行われてきた近現代戦史から得たものだと思われます。
戦争は勝ったものが正義であるという認識は今も昔も変わりません。
櫂はそれがわかっているからこそ宣戦布告なんてどうだって…と考えたのでしょう。
要は勝てばいいのだと。
実は山本だってそんなことはわかっていると思います。
わかっていて尚且つ宣戦布告が大事だといっているように見えました。
この山本と櫂の宣戦布告に関する意識の差からは、二人の立場の差を感じました。
櫂は作戦参謀として自分の立てた作戦計画に自信満々で、ちょっと楽観視しているようにも感じます。
ハワイ攻略がたとえ成功したとしても、その後に講和に持ち込めるかは不確定要素が多くて楽観視など出来るはずがありません。
ですが櫂はどこからその自信がくるのか、講和できる気満々なのです。
対して山本は長官という立場からか櫂ほど講和に対して楽観視はしていないのではないでしょうか。
おそらくですが、山本は米国に大義名分を与えることの重大さ、言い換えれば怖さを少なくとも櫂よりかは恐れているのでしょうね。
米国の歴史を熟知しているのが窺えます。
山本がハワイ作戦が「リメンバー・アラモ」「リメンバー・サムター」「リメンバー・メイン」「リメンバー・ルキタニア」といった都合の良い事件と同じになってはいけないと腐心していたと思いたいです。
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