2022年3月3日発売の週刊ヤングジャンプ2022年14号で、『少年のアビス』85話が掲載されました。
『少年のアビス』85話は、令児を求める柴沢先生により、家に強制送還されそうになるチャコと逮捕されるしか道の無くなった玄でしたが、チャコは3人で逃げようと提案しました。
令児、そして玄はその言葉にどう動かされるのでしょうか。
本記事では、『少年のアビス』85話『さよなら、オトナたち』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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少年のアビス85話のあらすじネタバレ
日々痩せゆく中でチャコはこのまま死ぬのかもしれないと思うこともありました。
痩せれば軽くなるはずの身体は何をするにも重く、頭痛も吐き気もやまずに全身がだるいというような状況でも、この世界に堂々といられることに居心地の良さを感じていました。
このまま若くして死ぬとすれば、憧れた似非森浩作が死に損なって醜い大人になってうらやみながら夢想して描き続けている世界に行けるということだと、死ぬことを許されたチャコは考えていました。
そんなチャコと令児のやりとりをくだらねぇと、玄は一喝して令児を突き飛ばしました。
みんなで遠くに逃げようかと言うチャコに、玄は怒り心頭のままその意図を読み取れずにいました。
玄はここにいれば柴沢先生と救急車がやって来て、玄は捕まってしまうという状況を改めて伝えた後、チャコは令児にあのお金をまだ持っているか確認しました。
兄が家を出るために使うはずだったお金でしたが、母の手に掛かりそんな気も無くなってそうな兄を思い浮かべ、令児はチャコに再びお金を渡しました。
今度こそ町を出たいというチャコに令児は行き先を尋ねると、迷うこと無く楽しげな笑みを見せながら東京と言いました。
あっさり同意する令児に、玄は家族を捨てていいのかと尋ねますが、令児の家族が頼らなければいけないのは令児ではなく行政と、チャコが横やりを入れました。
令児は自分がいなくても本当はどうにでもなると言いうと、玄はもう何も言いませんでした。
チャコは玄に少しばかりの逃亡資金を渡すと、用意をするために別室に向かいました。
いなくなったのを見計らった玄は、今度はチャコと心中するのかと問うと、チャコが望むならと令児は答えました。
玄も町を出るなら手助けをしたいと、自分が出来る事を申し出る令児に、玄はただ睨み付けるばかりでした。
用意の出来たチャコが戻ってきて、2人は玄関に向かいました。
チャコが靴を履き玄関を開けて出て行くと、令児もそれに続きました。
玄関まで足を進めた玄は、その先にある世界から射し込んだ光に照らされ、立ち尽くしました。
一方、チャコを家に帰るように説得して戻るはずだった令児を待っていた柴沢先生は、1時間半もの間待ち続け店を出ていました。
時間が掛かりすぎていることに焦り、令児に電話をしますが繋がりません。
妙な胸騒ぎに駆られ続けた正体は、最後に見せた令児の目でした。
その目はあの嵐の中で心中しようとしていた時の目と同じでした。
急いでアパートに帰ると、そこには散乱するゴミばかりが残り、誰の姿もありませんでした。
崩れ落ちるように座り込んだ柴沢先生は、ただ呆然と虚空を見つめるばかりでした。

少年のアビス85話の感想と考察
再登場後、上手い具合に令児を騙し信用を得て来た柴沢先生でしたが、ここに来てチャコと玄の反撃が決まったように思えました。
人生を台無しにされたチャコと、令児の信用を得るために利用されただけの玄は、2人とも柴沢先生に一矢報いるだけの理由はあったと思います。
柴沢先生、夕子、チャコに玄とそれぞれが令児を取り合っているような状況の中、幼馴染み組が1歩リードといったところでしょうか。
このまま黙っている柴沢先生ではないと思いますが、恐らく令児達が出るまでに会話の長さから考えて30分もかかっていないと思われるので、約1時間も柴沢先生は出遅れたことになり、もう捜索は不可能と思われます。
夕子と共闘する展開になるのかもしれませんが、お互いに信用する相手ではありませんが、利害の一致となれば共闘もあり得ます。
今回、チャコはもう似非森のファンは辞めたと言いつつもやはり作品の世界は好きなのではないかと思われましたが、その夢想して描かれた似非森が行けなかった世界に行けるという似非森に対する皮肉のようにも見えました。
相変わらず東京に向かうことに躊躇は無いチャコでしたが、やはり作家の夢もまだ完全には捨てきれていないのかもしれません。
そして、玄関を開けた外の光と、その光の中で振り返って玄を待つような令児とチャコの姿、それをつっぱねるのでもなく同行した玄が個人的にはとても良かったです。
幼馴染み3人は無事に東京に辿り着くことが出来たのでしょうか。
次回からどう展開していくのか、予想も出来ません。
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