2021年11月18日発売の週刊ヤングジャンプ2021年51号で、『青年少女よ、春を貪れ。』38話が掲載されました。
『青年少女よ、春を貪れ。』38話は、龍樹の証言から新たな事実を知った一同は、ある結論へと辿り着きます。
納得しがたいその答えに動揺する中、わゆが更なる事実を打ち明けました。
本記事では、『青年少女よ、春を貪れ。』38話『そんな筈、あらへん』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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青年少女よ春を貪れ38話のあらすじネタバレ
崖から落ちたとき、ハルは笑っていたと証言して龍樹は一同を動揺させました。
無言で音無は歩み寄ると、龍樹に平手打ちを食らわせて錯乱して罪を逃れようとしていると決めつけていました。
しかし、長年の友人である勝之は直感で龍樹が嘘をついていないことはわかっていました。
ハルとの会話を思い出させようとしますが、当時は頭に血が上っていて鮮明な会話は思い出せないと言う龍樹でしたが、一つだけ覚えていることがありました。
ハルは勝之とはもう会わないと言ったことで、勝之の事も他の男同様にあっさり捨てると思い、その身勝手さに龍樹は怒ったのでした。
唐突に別れようと思っていたというハルの言葉を聞かされた勝之は、ショックな事実であるにも関わらず、至極冷静でした。
現実味が沸かないだけなのか、ハルがそんなことを言うわけがないという根拠の無い自信がそうさせるのか、勝之は思案を続けました。
そもそも一人で夜に山道にいて、そんなタイミングで龍樹にそんなことを伝えたのか、別れるという言い方ではなく会わないという言い方に、妙な引っかかりを覚え、一つの結論に辿り着こうとしました。
その時、同じくわゆがハルが自分で飛び降りたという結論を声にしました。
すぐに否定したのは勝之でした。
しかし、ハルとの思い出を振り返っても、勝之もそれ以上の否定は出来ませんでした。
あんなに美しくて強くて気高い彼女が自死するわけがないと音無も同意し、わゆに撤回を求め、自死したという動機を提示させようと声を荒げます。
自死するほどの動機に心当たりがあったのは、亮でした。
酒を飲ませ、あんな事をしたからと再び自分を責め始める一方で、龍樹は沢山罵り目の前で死んだことで一番苦しめたのは自分だと言いました。
自分が押したのかもしれないと言い始める龍樹に、音無は罪を押しつけようとしますが、わゆがずっと黙っていたことを打ち明けました。
キャンプの日の夜、裸で義父に抱かれていたと言いました。
その言葉に一同が衝撃を受け、言葉を失いました。
父と血が繋がっていないということや、義父が学校行事に来ていたと話したときにあの人の話をしないでと冷たく言い放たれたことを勝之は思い出しました。
性的虐待を疑う声もあり、音無はハルがそんなことするわけないと否定していました。
そんな一同のやりとりを、とある一室で聞いている者の姿がありました。
龍樹の家に行き、自白させることを既にメッセージで受け取っており、協力の感謝をされていたその人物こそ、キャンプ最後の参加者である古崎ふみでした。
まるで他人事のようにイヤホンで話を聞きながら、自分の罪に彼女は気付くだろうかと呟きました。
青年少女よ春を貪れ38話の感想と考察
前回のラストで大半の読者は、ハルは誰かに殺されたのではなく自ら死を選んだという答えに辿り着いたと思います。
勝之も振り返ればそんな結末を否定できなくなっていたようですが、ただただ自分が信じたくないという気持ちも大きいかもしれません。
そんな結末を声にしてくれたのはわゆでした。
恐らく、龍樹の話だけではなく、義父からの性的虐待の可能性を知っていたこともその結論に辿り着かせたのかもしれません。
もしも本当にそうだとしたら、十年もの間墓参りを続けている義父が以前描かれておりましたが、印象が変わってしまいます。
自分がキャンプに連れて行った先での事故を悔やんでいるだけかと思いましたが、背景にはそんな事実があったとすれば、その悔いは別な意味合いを持つことになります。
音無はハルがそんなことするわけないと、わゆの言葉を否定していましたが、まるでハルから誘っていたような言い方には疑問を覚えました。
それに加えて、これまでのハルへの想いや言葉と、今回も言っていたように美しくて強くて気高いという表現などそんな想いをぶつけられることもハルにとっては後ろめたさもあり追い詰める一因になっていたのではないかと思います。
最後の古崎の、彼女は自分の罪に気付くだろうかというような言葉が、それを示唆させていたように読めました。
大人しい女子生徒という印象だった当時の古崎とは違い、随分とトゲというか毒味のある雰囲気を受けましたが、次回はその古崎回のようなので、当時のこともあまり描かれていなかった『古崎ふみ』がどんな人物なのか楽しみです。
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