2021年9月13日発売の週刊ヤングマガジン2021年42号で、『アルキメデスの大戦』第281話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第281話は、平山の「大和」の美しさを思い知る櫂が描かれます。
急遽行われた艦砲射撃訓練。山本は櫂と黒沼に感想を訊ねた。
三人が艦砲射撃について話し合う中、平山が現れる。
平山は大和の感想を聞こうとするが山本から思わぬ言葉を聞くことに……
本記事では、『アルキメデスの大戦』第281話[「大和」の魔力]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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アルキメデスの大戦281話のあらすじネタバレ
【戦艦「大和」艦内】
山本の思いつきで始まった予定外の主砲試し撃ち。
それでも砲術長の黛中佐の指示のもと、主砲斉射は見事成功し無事に訓練を終える。
会議室では山本が櫂と黒沼に「大和」の主砲について意見を求めていました。
「大和」の18インチ砲とハワイの要塞砲とが撃ち合った場合、どちらが有利か?
櫂はドイツ海軍がノルウェー侵攻作戦においてノルウェー軍の要塞島からの攻撃で巡洋艦が撃沈し、戦艦も中破させられた例も挙げて要塞砲の有利を訴えました。
命中率だけでなく、射程距離の差でも洋上艦砲は要塞砲に及ばず、最大射程距離が42kmのこの「大和」ではオアフ島の要塞砲から一方的に攻撃を受けるだけで、反撃はおろか近付くことさえできないと。
山本はそれを聞いて横浜で建造していた「櫂の大和」が頭をよぎり、あの大和が完成していれば…と、歯がゆい思いでいました。
黒沼が海軍が現在保持する兵器で要塞砲を潰すには航空爆撃以外には手立てがないことを説明していた時、部屋がノックされ、平山造船中将が室内に。
平山は山本から「大和」についての感想を聞こうと会議室を訪れたのでした。
山本は本心では「櫂の大和」に機能面で遠く及ばない「平山の大和」に満足などはしていませんでしたが、主砲の発射も見事であり何も言うことはないと「大和」を称えます。
それを聞いて安堵の表情を浮かべた平山でしたが、山本から出た次の言葉に表情は一変。
山本は何も言うことはないと称えた後、”あとはこの戦艦をどう使うか……”と、ボソリ呟いたのでした。
”使う”という言葉が全く想定外だった平山。
「大和」への強すぎる思いが”使われる”ことを無意識に拒んでいました。
設計者として「大和」を傷つけたくない、大切に扱って欲しいとの心情に駆られていたのです。
それでも兵器である以上”使われる”のは当然だと理解もしています。
平山は私心を押さえ、「大和」を存分に”使って”下さいと、まるで愛する我が子を預けるかのように山本に「大和」を託しました。
【戦艦「大和」下船】
翌日 4月10日
山本、黒沼、櫂の三人は下船。
迎えのカッターに乗り込み、戦艦「長門」へと向かいます。
黒沼は少しずつ離れていく「大和」に目を奪われていました。。
そして思わず”この戦艦を使うのは容易ではない”とポツリ。
その理由は「大和」が見れば見るほど美しく、戦場に送り出すのが惜しくなる、ずっと手元に置いておきたい誘惑に駆られるほどだからだと……
黒沼の言葉を聞いてふと「大和」を見やる櫂。
朝日に照らされ、より全体のシルエットが際立った「大和」の姿、そのあまりの美しさに息を呑み、言葉がありませんでした。
自分たちが作っていた「大和」は機能のみを追求した形で作られ、強直で武骨、いかにも不格好。比べて平山の「大和」の美しさといったら……
櫂は平山の芸術的センスに関しては認めざる得ませんでした。
他の艦を圧倒する美しさがこの「大和」にはあり、この美しさを目にした日本人は心を鷲掴みにされてしまうのではないだろうかとさえ櫂には思えたのです。
戦艦「大和」は日本人に深く愛され、永遠に語り継がれるかもしれないとさえ……

アルキメデスの大戦281話の感想と考察
【大和の美しさ】
真横から見た「大和」のシルエットからはどこか富士山と共通するものを感じ、無意識に日本人の琴線に触れてくるのだと個人的には思います。
もちろん意図的に似せたわけではないでしょう。
けれど結果的に日本の象徴ともいえる富士山に似たシルエットと日本を意味する大和とという名前が戦艦「大和」をただの戦艦ではなく、ともすれば国とダブらせるほどの存在へと押し上げたのではないかと考えます。
だからこそ戦後70年以上経った今でも「大和」は多くの日本人に愛され、この先も未来永劫語り継がれていくのではないでしょうか。
【瀬島龍三】
次回、陸軍の瀬島龍三が久しぶりに登場することが判明。
作中の瀬島は日米和平交渉時に櫂の知らぬところで頑固で能無し設定のキャラ、牟田口少将を上手に操り日米交渉がまとまるよう影でサポートしていました。
この時は大尉でしたが、中佐になっていそうですね。
瀬島は実在した人物で、十年ちょっと前まで生きていましたのでテレビや本などで目にしたことのある方は多いと思います。
山崎豊子の小説「不毛地帯」の主人公・壱岐正中佐のモデルの一人として有名ですよね。
戦争中はほとんどの期間を参謀本部部員として陸軍の中枢にいました。
印象としては切れ者であり、自身の利に目ざとい強かな人物という感じ。
作中でも切れ者ぶりは垣間見えましたが、行動理由が櫂と違って平和の為にというわけではないように感じ、あくまで利に忠実なだけなのかもしれません。
そんな瀬島が再び登場する理由とは?
瀬島はソ連との結びつきがある人物ですので、ソ連がらみの話で登場する可能性がありますね。
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