2021年8月30日発売の週刊ヤングマガジン2021年40号で、『アルキメデスの大戦』第279話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第279話は、平山中将の案内で「大和」を見て回る櫂の様子が描かれます。
「大和」の予行運転が行われる宿毛に着くまでの間、櫂に艦内を平山が自ら案内してやることに。
平山が予行運転とはいえ、わざわざ「大和」に乗艦してきたのはこのためでした。
全ては”あの日”受けた屈辱を晴らすために……
本記事では、『アルキメデスの大戦』第279話[「大和」艦内にて]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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アルキメデスの大戦279話のあらすじネタバレ
【「大和」艦橋】
櫂と山本は艦橋内に平山造船中将がいるのを見つけ、少なからず驚いていました。
予行運転が晴れの舞台とはいえ、平山が乗艦して現場に赴くことなど滅多にないことだったからです。
やがて「大和」は柱島から宿毛に向けて出港。
【「大和」艦内】
宿毛に着くまでまだ時間があると、平山は艦内の案内をしてやるといって櫂を誘いました。
断る理由もないため、櫂は平山の誘いを承知します。
平山は櫂を艦橋から連れ出し、甲板へと向かいました。
名指しで誘われたこともあり、櫂はなぜ平山がわざわざ乗艦してきたのかを悟ります。
平山はこの「大和」を自分に見せびらかしたいのだ、と。
櫂の想像はほぼ当たっていましたが、平山は単に「大和」を見せびらかしたいだけではありませんでした……
【「大和」甲板】
平山は「大和」の砲塔横で立ち止まり、この砲塔がいかにスゴイかを櫂に聞かせます。
「大和」は18インチ砲を3連装砲塔で3基9門。
3連装砲塔は日本初の試みであり、「長門」型戦艦の4基8門を大きく凌駕。
米海軍の戦艦の主砲はパナマ運河通過を条件とした場合、16インチ砲が最大で、その射程も最大で38kmで、「大和」の最大射程42kmをもってすれば相手の攻撃圏外から一方的に攻撃が可能。
「大和」の主砲は運動エネルギー量と弾頭炸裂量において圧倒的優位に立ち、米海軍の16インチ搭載艦を容易に破壊することができる。
平山はこれら「大和」のスペックをさも自慢げに語り、いかに「大和」の攻撃力が世界最強であるかを説明しました。
すると櫂は冷ややかな目を平山に向け、横浜で建造していた「我々の大和」が20インチ砲で最大射程が50kmであったことを教えます。
なぜなら主砲の射程は45km以上なくてはならない理由があったのだと……
櫂が何のことを言っているのかさっぱりわからない平山は”この期に及んで強がりおって”とイライラ。
平山は今度は「大和」の防御力を自慢。
「長門」と比較した場合、単純計算で砲塔防御は1.5倍。
水平防御で1.14倍、垂直防御は1.3倍で鉄壁の防御といえ、いうなれば不沈の戦艦だと豪語。
続けて「大和」の速度まで自慢。
機関出力は15万馬力もあり、速力は最大で27ノット。
米国の従来型戦艦が21ノット、建造中の新型戦艦でも25ノットと想定されることからも「大和」の27ノットは大いに優位であるとまたまた豪語。
しかし櫂の反応は先程と変わらずいたって冷ややか。
淡々と「我々の大和」はガスタービン機関で最大速力は35ノットであったことを教えました。
現存しない戦艦を引き合いに出され、平山のイライラは頂点を迎えます。
「大和」はこの「大和」しか存在せず、櫂の言う「我々の大和」など何処にも存在しないと声を荒げました。
櫂に対し、いい加減に負けを認めたらどうだと詰め寄ります。
櫂のいう「我々の大和」は火災事故によって消失し、私の「大和」が竣工を果たした、つまり私が勝ったのだと。
負けを認めろだの、勝っただの、クソつまらないことにこだわる平山に、さすがの櫂もプチン。
平山をきつく睨み、負けたのは平山の方だと言い放ちます。
この「大和」がいかに時代遅れな戦艦かを理解出来ない平山こそ敗者だと。
櫂はそれだけ言うとこれ以上は時間の無駄と、さっさと艦橋へと戻っていきました。
頭にきた平山、負け犬の遠吠えにしか聞こえないわ!と、この場を去る櫂に負け犬の遠吠えの如く吠えまくるのでありました……
【「大和」艦橋】
宿毛湾沖に到着した「大和」は予行全速航行も問題なく終え、今日予定していた予行運転を無事終了。
すると山本が突然、予定にはなかった18インチ砲を撃つことを将校に命じたのでした……

アルキメデスの大戦279話の感想と考察
【18インチ砲】
今回のラストで山本は平山ご自慢の18インチ砲を何発か撃つよう将校に命じていました。
理由はなんでしょうか。
将校を含む海兵たちの士気を上げたいから?
射出直後の反動を含め計算上の想定と現実の違いを確認したいから?
その威力をまざまざと櫂と黒沼に見せつけ、ハワイ作戦に使えないかを検討させたいから?
いくらなんでも余興ということはないでしょうから、何らかの理由があるのでしょう。
ただ急なことなので的を用意していないでしょうし、的に着弾したかを確認するための飛行機も飛ばしてはいません。
ですから破壊力とか命中率を測るためではない。
やはり撃つことで乗艦している者に何らかの影響を与えたいからでしょうか。
まあ次回いきなり的が登場ってことも十分あり得ますので、あーでもない こーでもないと考えを巡らせ楽しみに待つことにします。
【見事なり平山中将】
平山が見事な大艦巨砲主義っぷりを披露した回でした。
完全に兵器に関する思考が日露戦争で止まっています。
あの調子だと実際に航空兵力にやられるまで考えを改めなさそうで厄介ですね。
櫂が演習で平山の「大和」を撃沈でもしてやれば目を覚ますかも。
いずれにしてもこのままの状態で開戦を迎えるとは思えないんですよね。
「大和」にしても平山にしても、櫂によってその古臭さが証明される展開が開戦前に何かしらあるのではないかと。
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