2021年8月19日発売の週刊ヤングジャンプ2021年38号で、『少年のアビス』63話が掲載されました。
『少年のアビス』63話は、黒瀬家事件のもう1人の関係者である柴沢先生の、気になっていたその後が描かれています。
そして、再び令児の元に訪れた似非森との面会にて、令児はポツポツと今後の事を話すのですが……。
本記事では、『少年のアビス』63話『黄昏』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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少年のアビス63話のあらすじネタバレ
令児との関係が学校にもばれてしまった柴沢先生の実家、柴沢卓球場には臨時休業の貼り紙がありました。
そこへ訪れたのは、以前も登場した柴沢先生の友人でした。
ベッドに座り、陽の光を背に柴沢先生は笑顔で出迎えてくれました。
子ども達2人の姿は無く、尋ねてみると旦那が見てくれているという答えに、犯罪者の家に連れてこないかと自嘲するような柴沢先生。
シュークリームの差し入れを渡しつつ、友人は気まずそうな顔を向けました。
それに気付いた柴沢先生は牢屋に入ると思っていた? と聞きながら全て正直に話して責任を取る意思を見せたら拘留1日で出てこられたと経緯を話してくれました。
教師の社会的信用を実感したと言いつつも、その教師はクビになってしまったようです、
もっと落ち込んでいるかと思ったと言う友人に、落ち込んでいたのは昔の私の方と言いシューリームを平らげます。
その元気そうな柴沢先生に、友人は17歳という子どもである自分の生徒と関係を持ったという事実を尋ねますが、逆に、自分が16歳の頃に30代の男との子どもを堕ろす事にした話を切り出さてしまいます。
その堕ろす金として1万円貸した柴沢先生は、まだ返して貰ってないと言い、賠償金医療費と金が必要であり、これからのことを考えると大変と言います。
友人に生徒との恋愛関係はいつからだったのか、本気だったのかと尋ねられ、町でどんな風に噂が立っているかを知った柴沢先生は、コーヒーを煎れてくると言い部屋を出てもうこの町で生きて行けなさそうと呟き、それは令児も同様であると考えました。
その令児の元に、再び似非森は訪れました。
部屋から出てくるスーツ姿の2人の男とすれ違い、部屋に入ると令児はベッドに座れるようになっていました。
屋上のベンチに座り、先ほどのスーツの男達の事を尋ねると、刑事だと令児は答えました。
母が目を覚ましたことも伝えると、嬉しくはなさそうな顔で良かったと似非森は言いました。
絶対安静で会話も出来る状態ではないことから、まだ令児も面会は出来ていない状態で、警察は母が令児を刺して無理心中しようとしたと疑っているようです。
もし夕子の傷が治ってもあの家では一緒に暮らせないかもしれないと似非森が言い、退院後の事を尋ねました。
令児は既に高校を辞め、兄と祖母の面倒を見てくれている友人の家の会社で働かせてもらうと令児は言います。
しかし、夕子が絶対安静で面会も出来ない今、ようやく自由になれたのにそれで良いのかと似非森は問いました。
令児は自由ってなんですかと逆に聞き返し、似非森は目を丸くしました。
何もかも置き去りにして1人で町を出ても、ずっと罪悪感がつきまとうと令児は言い、どこに行っても自分だと思うと言う令児。
その姿に、学生時代の夕子が似非森の中で重なりました。
それでも、ナギのおかげで母に嫌いだと言えた事には満足しており、家族を守りながらこの町で生きていくと令児は改めて言いました。
それを良しとはせず、似非森は馬鹿かおまえと一蹴しました。
そんな小さいことで溜飲下げんじゃねぇと言い、生きていきますという令児の言葉を否定し、瞬間瞬間を自殺するのだと言いました。
それに狎れた町の大人と同じ目になっていくと言いながらも、もう少し見守ると言い去って行きました。
また好機は回るという言葉を残して行った似非森を、令児は何の反論もせず見送りました。
歩行器を使いながら、令児は1人で病室に戻る途中、廊下には見知った女性であり、ずっと望んでいた姿がありました。
不意に現れたナギに、令児は言葉も無く目を見開くばかりでした。

少年のアビス63話の感想と考察
まずは気になっていた柴沢先生の様子がようやく描かれました。
拘留されたのは夕子を轢いた件なのか、未成年との関係を持ったことなのかはわかりませんが、1日で出られたのは法的な理由なのでしょうか。
小さな町だからこその処置でもあるのかもしれませんが、仕事はクビになり町中で噂が広がってしまっている以上は他の学校に勤められるはずもなく、それだけでも十分な制裁になるような気がします。
本人も言っている通り、この町ではもう生きて行けなさそうですが、令児はこの町で生きていこうと決意したようです。
最終的に母や家族のために自分の自由を放棄したというようにも見えますが、玄の回想であったように、元々母の言いつけを守りながら自分の意思も無く生きてきた人間なので元の令児に戻っただけという見方も出来ます。
珍しく口調を荒げた似非森でしたが、学生時代も大人しくこれまでも柔らかい物腰の人だったので、敢えてそんな口調にして令児を押そうとしたのかなとも思いました。
好機はまた廻ると言った直後にやって来た、その好機となるのかヒロインのナギ登場に、令児と読者の気持ちが一体となったような気がしました。
ナギとの再会に令児の人生はどう転がっていくのでしょうか。
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