『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』は、月刊コミックゼノンにて連載されている荒井ママレ先生による人気漫画です。
5話は、Ⅰ型糖尿病を発症し入院している二人の女子中学生のお話です。
13歳の渡辺奈央は、同室で14歳の森本優花と同じ病気で入院している事もあり仲良しです。
適切な処置をしているにも関わらず、血糖値が安定しない奈央に看護師や先生も困惑する中、みどりはある事に気付きます。
本記事では、『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』5話『病気とお付き合い』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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アンサングシンデレラ5話のあらすじネタバレ
小児病棟のナースステーションでは外科の鍋島先生の3人同時の浮気というゴシップネタに盛り上がる看護師さん達の姿がありました。
次から次に飛び出る医師達のゴシップネタに、みどりはただただ驚くと同時に、そのネットワークに恐れも感じます。
そんな盛り上がっている女性陣の中にいるみどりに、小児科の久保山先生が声を掛けました。
飛び交う噂話のせいで医師達に信頼を無くしてしまったみどりは、久保山先生も浮気した事あるんですか? と尋ねるも即否定されます。
気を取り直し、久保山先生からの相談はⅠ型糖尿病で入院している渡辺奈央の事でした。
始めは順調だったものの、最近は動きが良くないとの事で他の薬に変えてみたほうが良いのかというものでした。
奈央は3年前に発症し、外来で治療していたが直近の検査でHbA1c(ヘモグロビンに結合したブドウ糖の割合)の数値が高かった為一時的に入院しています。
処方に問題は無いし、慣れで注射のやり方が不十分の可能性があるということで、みどりは早速奈央の病室へ向かいます。
奈央よりも先に声を掛けて来たのは、同室で同じ病気で入院している14歳の森本優花です。
真面目で大人しそうな外見の奈央とは正反対に、金髪でピアスも多い女の子です。
二人とも明るく笑い、見た目には病気とわかりませんが、生涯に渡って毎日のインスリンの注射が必要になり、その精神的・経済的負担の大きさは本人や家族以外にはなかなか理解されません。
そんな二人と持ち前の明るさで仲良くなっているみどりは、インスリン注射の確認をする事になりました。
賑やかに注射指導を終えたものの、良くなったのは一時的で結局全然数値が安定しないままです。
インスリン量を増やすか、ランスタからトレシーバに変更してみるなど、薬剤師としての目線から一人悩むみどり。
そんな横で看護師さんの一人が、気になる事があると言います。
優花は退院したがるのに対し、奈央はそれが全く無いとの事でした。
加えて、最近明るくなって来たとも言います。
退院したくないのかなとみどりが呟くと、看護師の二人は患者についての情報がメモされたファイルを出して来ました。
自分よりも友達や彼氏を優先してしまう、いつも明るく振る舞いながらも不安と戦っている優花。
それに対して治療にも真面目に取り組み両親とも仲が良く手の掛からない患者の奈央。
それからしばらくして、数値が安定してきて退院が近付いている事を告げると、また安定しなくなったので意図的に注射の投与量を減らしている事が確定しました。
夕食前のインスリン注射にみどりが立ち会おうと向かった時、病室から出て来た奈央は倒れてしまいました。
そのニオイで既にインスリンを打っていることがわかったみどり。
食前のインスリンは超速効型と言われるもので、すぐに血糖値を下げるので目の前に食事が来た状態で打たなければいけません。
10分もすれば低血糖になってしまい、奈央はその状態にあったのです。
先生、看護師に母親にとどうしてわざと間違えたのかと責められる奈央を助けたのは優花でした。
そこには、同じ病気を抱えたもの同士でなければわからない苦しみがありました。
注射を打っていれば普通に見える病気であるが故に、病気かどうかかを疑われ、注射するのを隠すために保健室に通っている事でクラスメイトとも溝が出来た奈央にとって、病気の事を隠さず心許せる優花という友達がこの病院生活の中で出来たのです。
そんな友達と離れたくなかったからこそ、敢えて数値を安定させずに入院生活を伸ばしていました。
一生付き合わなくてはいけない病気と彼女たちは向き合っていくわけですが、医薬はその生活を支えるものでもあると同時に人との違いを明白にしてしまうものでもあります。
だからこそもっと患者に寄り添いたいと、みどりは思いました。

アンサングシンデレラ5話の感想と考察
冒頭の院内スキャンダルで盛り上がる女性陣達……の話を同じ部屋にいるせいで嫌でも耳に入る医師達の心境を思うとなんとも言えない気持ちになります。
浮気などやましいことが無くても、自分もどこかで話のネタにされているかもしれないと思うとみどりのように不信感を持ってしまいます。
真面目に生きれば悪い噂は立たないので気にする必要は無いのでしょうが、それでもあまりいい気はしません。
今回の患者の女子中学生二人。
Ⅰ型糖尿病は、小児期の発症が多く生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病とは違って原因が解明されていないそうです。
抵抗力が無い故に、小児期は色々な病気が発症しますがその一つでしょう。
生活習慣病は自己責任の面もありますが、こういった原因不明の病気となると人体の不完全さを感じます。
それ以上に本人達はもっと理不尽な目に遭い、思い、考えて生きているのでしょう。
もっと病人・怪我人の事を考えて思いやりを持って生きなければいけないと思うのはこの作品の描き方が上手いからなのかもしれません。
みどりは薬剤師ではなく看護師として描く方法もあったと思いますが、今回のインスリンの『ニオイ』や薬の飲み方など『薬剤師』としての活躍がしっかり描かれているので、明るく患者思いの看護師というありきたりな作品になっていたかもしれません。
1巻はこれで終わりですが、いい作品でした。2巻以降も楽しみです!
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