2021年5月24日発売の週刊ヤングマガジン2021年26号で、『アルキメデスの大戦』第266話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第266話は、櫂と黒沼による作戦作成の様子が描かれます。
もはや日米開戦は不可避。
櫂は覚悟を決め、作戦計画の作成に全力で取り組む。
日々の職務をこなし、計画案を完成させることを決意。
黒沼と作戦を話し合う中、櫂は作戦における重大な問題を指摘する……
本記事では、『アルキメデスの大戦』第266話[輸送船]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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アルキメデスの大戦266話のあらすじネタバレ
【柱島・戦艦「長門」】
日米開戦が不可避となった今、自分の進む道は作戦計画作成に最善をつくすこと。
櫂は是が非でも計画案を完成させるとの決意でいました。
主計の仕事を滞りなくこなした後、櫂は計画作成のため黒沼の部屋を訪ねます。
【長門艦内・黒沼の部屋】
相変わらず部屋ではふんどし一丁姿の黒沼。
今は12月。
黒沼が寒くないというのだから放っておこうと、櫂はあえて深く突っ込みません。
黒沼は作戦作成にあたり、ひとつ理解して欲しいと櫂に語り始めます。
自分は作戦参謀を拝命した時に人間的感情を一切排除すると決めたこと。
敵に勝つためならば鬼にでも蛇にでもなること。
戦艦も空母も自分にとっては盤上の駒に過ぎず、冷徹に、時には残酷に扱うことも辞さないこと。
もちろん、死んで地獄の釜に投げ込まれることは当然覚悟していること……
櫂は黒沼の作戦屋としての覚悟を聞き、自分も同じ覚悟で作戦作成に臨むことを伝えました。
櫂は作戦作成にあたり、ひとつ重要な問題があることを黒沼に提示。
それは日本は輸送船団が圧倒的に足りないという問題でした。
黒沼はハッとし、そこまで頭が回っていなかったことに気づきます。
確かに作戦遂行には現在確保できる輸送船の数では全く足りていないのは明らかだったからでした。
ハワイに配備されている米陸軍2個師団、その数およそ4万名。
完全武装した4万を降伏させねばハワイ占拠は実現不可能。
戦争において、敵の領土に上陸し、撃滅させるためには3倍の兵力が必要とされています。
つまり、ハワイを占拠するには12万の兵が必要ということ。
黒沼はそれだけの兵員を陸軍が差し出すかどうかも怪しいところだと指摘。
この指摘には櫂は思うところがあり、陸軍を説得する機会さえあれば何とかしてみせると断言。
櫂がそこまで言うには何か根拠あってのことだと黒沼は理解します。
櫂は今は兵員確保よりも、その12万もの兵と武器兵站を輸送する、空前絶後の大輸送計画を練り上げねばならないと語気を強めます。
民間の優秀船舶を徴用するにしても、現実的に見積もって運べるのは4万名弱ほど。
早急に輸送船の量産化を進めるべきだと黒沼に訴えますが、物資的にも、何より時間的にそんな猶予などないことは櫂自身がよくわかっていました。
であるからこそ、兵員よりも今は船の確保を一刻も早く確かなものにしなければならないと訴えたのです。
黒沼は櫂の焦る気持ちを理解。
しかし、結局二人は輸送船不足をどうやって解決するか答えが出せないまま、この日はお開きとなります。
【長門艦内・通路】
黒沼の部屋を出て自室に戻る途中、櫂はふと気がつきます。
代わりになる船ならここにあるじゃないか!
船なら戦艦がゴロゴロあるじゃないか!
灯台もと暗しとはこのことだと、一縷の望みを見出す櫂なのでした……

アルキメデスの大戦266話の感想と考察
今回読んでいて思ったのが、あれ、誘導ロケットは?ってこと。
以前、櫂は山本に「大和」に装備される誘導ロケットでハワイの基地を無力化するのは容易だと説明していたような気が……
確かに「櫂の大和」は解体となりました。
しかし、それは船殻鋼材に問題があったからであり、装備の不備が理由ではありません。
つまり、誘導ロケットの自体に問題はなく、技術を確保しているということ。
だとすれば、たとえ「平沼の大和」であろうと、そこへ誘導ロケットを装備させることは可能なのではないでしょうか?
もっと言えば、別の戦艦、例えば長門に装備させることだって、複数の戦艦に装備させることだって可能なのでは?
その方が輸送船を量産させるより物資も時間もかからないだろうし、何より上陸兵は12万もいらなくて済むのではないでしょうか?
それなのに櫂も山本も誘導ロケットの存在などまるで初めから無かったかのように作戦から完全に度外視です。
なんだかモヤモヤが残りますねぇ。
このモヤモヤを晴らす展開なり説明がこの先あるといいんですが……
櫂は戦艦を輸送船に使えばいいと考えたみたいですが、そもそも戦艦は兵や兵站を運ぶ用途で設計されていません。
つまり、櫂のプランを実行するにしても当然大幅な改修が必要となります。
そんな時間あるのでしょうか。
また、史実では海軍は輸送船団の護衛を軽んじていたことがわかっています。
合理的で計算高い櫂ならば、駆逐艦と潜水艦の数が足りていない事にも気付かなければおかしいでしょう。
まさか戦艦や駆逐艦を輸送船兼用にするんだから護衛船不足は解消される、一石二鳥だとか言い出すんじゃ……
餅は餅屋、二兎を追う者は一兎をも得ず、
櫂は故智に学ぶべきかもしれません。
いくら合理的とはいえ、戦艦と輸送船を組み合わせるのは洗濯機とテレビを合わせるようなもの。
そもそもの設計目的が違う。
たしかに終戦後、国外にいた日本兵の多くは戦艦で輸送され、日本へ戻りました。
でもそれはあくまでも、終戦後の戦闘が行われない平時であったからこそ出来たこと。
この辺りの問題を櫂がどう解決し、我々読者を納得させてくれるのかを楽しみにしたいと思います。
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