2021年5月24日発売の週刊ヤングマガジン2021年26号で、『寄生列島』34話が掲載されました。
『寄生列島』34話は、以前町内会長と共に島のある施設に向かった蜷川でしたが、そこで得た情報としてこの島や寄生虫の真実が明かされます。
本記事では、『寄生列島』34話『地下避難所』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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寄生列島34話のあらすじネタバレ
島を脱出したものの、海上封鎖によって再び島に戻るしかなかった千尋と寛太。
待ち構えていた莉子達感染者から助けてくれた蜷川に連れられて、寄生虫の巣に向かうことになりました。
軽トラの荷台に乗せられながら、荒れ果てた町の様子やあちこちで火災が起きている状況を目の当たりにして、千尋は言葉を失いました。
出来るだけ静かにという蜷川に連れられてやって来たのは、3本の塔がそびえ立つ施設でした。
この施設の存在を知られたら厄介だと、軽トラをシートで隠して中に入ると、蜷川はこれまで調べたことを教えてくれました。
花山島はかつて存在を消された島だったと言いました。
先の大戦で、軍は島の住民を強制的に排除して生物兵器工場を作り始め、その名残がこの施設であると明かしました。
例の寄生虫は、これまで歴史の闇に抹殺されていたものであり、大戦が終結するとあらかたの施設は証拠と共に破壊されましたが、その後島に戻って復興したのが寛太の祖父達だと蜷川は言いました。
奇妙な風習や、極度の同一共同体への帰属意識は大戦の記憶を風化させるためのものだったと教えてくれる蜷川でしたが、全て町内会長を締め上げて聞き出したことであり真実かどうかはわからないと言いました。
それらには興味も無いと言う蜷川の推測によると、軍が証拠隠滅のために処分した寄生虫の生き残りが島の地下でひそかに繁殖を繰り返していた貯水施設で爆発的に増えたという結論に至ったようです。
蜷川が指した下の広場を見ると、まだ感染していない、逃げてきた町民達が多数いました。
ここにあった水を全て流し、消毒したという蜷川は、胸ポケットから寄生虫の入った容器を取り出し語りました。
やっと会えた寄生虫は、醜い人間の手で作られた合成生物だった事に対し、苦しかったろうと慈愛に満ちた表情で容器の中の寄生虫を見つめます。
そんな蜷川に助けられながらも、やはり理解出来ない様子の千尋と寛太。
下に降りていくと町民達が忙しく動いている中で、蜷川に案内されて人のいない通路にやって来ました。
港で難破していた厚生労働省の船に忍び込んだ蜷川は、蟹江が頭を割られて死んでいるのを確認していました。
莉子がやったのかと戸惑う千尋でしたが、そんなことはお構い無しに薬品や薬を拝借したと見せる蜷川。
防菌シートが張られた中で、父・瑞樹の治療も施されて千尋もようやく一安心です。
蜷川に着替えを渡されて、一息ついた2人。
だいぶまいっているようだと、千尋の様子を見て寛太は言いました。
立て続けに色々ありすぎてという千尋に、寛太も同意します。
その寛太の祖父がこの避難所にはいないようで、心配そうに無事でいてくれたらと言います。
安心出来る場所にたどり着けたと思ったのも束の間で、避難所のトイレで嘔吐するものの姿がありました。
吐瀉物は大量の寄生虫で、その顔はすでに人間の姿を保っていませんでした。
寄生列島34話の感想と考察
一難去ってまた一難というのがこの作品です。
安全を確保して避難生活を送るはずのこの施設にも、既に感染者は入り込んでいたというのが今回のラストでした。
今回は寄生虫の真実や、花山島の真実が明かされる重要な回となっていました。
先の大戦で歴史に葬られた島と言うことでしたが、現実にもあり得そうな話だと思いました。
綺麗に抹消されていれば今はもう誰もわからないことであり、大戦に限らず長い歴史の中では日本の中に特異な村や島があったのかもしれません。
この花山島は、軍が破壊した後に寛太の祖父の代が復興したとのことで避難していない寛太の祖父が重要な鍵を握っているという展開があるかもしれません。
見た感じ町内会長は寛太祖父達の代よりも若そうなので、復興に直接関わっているわけではないのかもしれないと言うのが、蜷川の話の伏線としてありそうでした。
この寄生虫騒動の戦犯は、寄生虫を完全に始末しなかった軍なのか、あるいは島民を強制排除して島を軍事利用した国に対する反逆のために、島を復興してわざと寄生虫を繁殖させたのは祖父達なのかもしれないというのが今回考えさせられたところです。
もしも意図的に繁殖させられた展開が待っているとしたら、寛太は辛いものがあるでしょうし、本当の『寄生列島』が待っているかもしれません。
大戦の裏で起きていた、複雑な展開が待っているのでしょうか。
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