2021年5月17日発売の週刊ヤングマガジン2021年25号で、『アルキメデスの大戦』第265話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第265話は、対米戦における櫂のプランが明かされます。
戦艦「長門」艦内の司令長官室。
対米開戦不可避の状況下、櫂、山本、黒沼の三人はいかにして戦い、いかにして終わらせるかを議論。
三人の意見は早期講和で一致していたが、米国がそれに応えるかが問題であった……
本記事では、『アルキメデスの大戦』第265話[ハワイの価値]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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アルキメデスの大戦265話のあらすじネタバレ
【戦艦「長門」艦内】
司令長官室では山本が櫂と黒沼を呼び出し、それぞれの対米戦における意見を聞いていました。
三人の意見は短期決戦、早期講和で一致。
櫂はそのためにはまず
①ハワイの米太平洋艦隊の撃滅
②ミッドウェー諸島の攻略と拠点設置
③ハワイ上陸占拠
という軍事的条件をクリアさせ、その上で即時講和にもっていくことを進言します。
山本も黒沼も軍事的条件には同意するも、講和条件が気になっていました。
櫂はそんな山本と黒沼に具体的に講和条件を説明します。
①最低10年の不戦期間の設置
②日米共に開戦前の国境線に復帰し、戦争賠償金の放棄
③日米通商航海条約に代わる新通商条約の締結と最恵国待遇の確約
④講和後、米国は英中闌と日本の関係改善及び講和を仲介する
⑤満州共同開発と、中国の更なる発展、世界平和実現に共に協力することを宣言する世界平和宣言
櫂のこれら条件に対し、
山本は中国からの米国撤退がはいっていないことを問題視。
黒沼は賠償放棄、国境線復帰など全体に条件が甘すぎると指摘。
櫂は二人に交渉には譲歩と妥協が必要だと訴えます。
講和が決裂すれば泥沼の戦争が続き、長期戦になれば100%日本に勝ち目は無いと……
櫂の意見を聞き、二人は概ね納得。
しかし黒沼はそれでも大きな疑問が残るとし、米国がハワイを放棄した場合、講和には応じないのではないかと意見。
黒沼の疑問に答えるべく、櫂はハワイが米国にとってどれだけ重要な島、領土であるかを説明します。
まずハワイの歴史を二人に話して聞かせ、米国がどれだけの時間と人的犠牲を払い、ハワイを領土化してきたかを訴えました。
いかに強引に、いかに一方的にハワイを併合したのかを。
さらに櫂はなぜ米国がこれほどまでにハワイに拘るのか理由も説明。
ハワイは米国とアジアを結ぶ交通の要衝であり、その保持こそ太平洋覇権の象徴。
米国が強大な「太平洋王国」を建国するために絶対に欠かすことのできない地政学的に重要なピース。
それがハワイなのだと櫂は訴え、なればこそ米国がハワイを放棄するなどあり得ないことだと断言します。
これに対し黒沼は、そんなに重要なら講和を蹴って奪還しにくるのではないかと、先ほどとは別の理由で講和が成立しない可能性を指摘。
山本も黒沼の指摘はもっともだと意見。
国家にとって他国に屈し、領土を放棄することは最大の屈辱。
それは国史上の最大の汚点。
櫂もその事は理解していました。
特にルーズベルト大統領の性格からしても奪還を命じる可能性は高いと。
しかし奪還作戦は人的リスクも高く、本国から遠い島ということもあって国民の賛同は得にくい。
さらに今 米国の主眼はあくまで欧州戦線であり、英国救出こそが急務。
以上の理由からルーズベルト大統領なら合理的解決策として講和を選択する可能性もあると櫂は読んでいました。
櫂の説明を聞き終え、山本は腹を決めます。
真珠湾攻撃の決意を二人に伝えると、櫂も黒沼もこれに同意。
山本は真珠湾奇襲攻撃の作戦計画立案に取り掛かるよう二人に命じるのでした……

アルキメデスの大戦265話の感想と考察
【メンタルゾンビ】
「大和」が失われ、戦争不可避な状況に追い込まれ自暴自棄になりかけていた櫂でしたが、頭を切り替え、もう次の目標に向かって突き進んでいます。
もうメンタルゾンビといっていいと思う。
転んでも倒されても打ちのめされてもその都度 不屈のメンタルで立ち上がる姿を見るにつけ、恐ろしくもあり、アホなのかな…とも思ってしまったり。
あれだけ開戦回避を声高に叫び訴えていたのが嘘のように、今はハワイ攻略を成功させることに必死。
山本が櫂の変わり方を見て”馬鹿と鋏は使いよう”とか思ってなきゃいいんですけれど……
【問題の真珠湾奇襲攻撃】
史実では日本が米国に宣戦布告を通達する前に真珠湾攻撃が実行されてしまいました。
これを米国政府は”だまし討ち”だと猛烈に避難し、日本許すまじと声を荒げアピール。
結果、対外戦争に参加するのを良しとしない国民や政治家を黙らせることに成功し、米国は第二次世界大戦に堂々と介入していったわけです。
真珠湾奇襲攻撃によって大義を得たということでしょうか。
これの何が問題かというと、通達が遅れた外務省職員が問題なのではなく、それ以前に米国政府は真珠湾が攻撃されることを知っていたのではないのかということ。
米国は自作自演による戦争介入という壮大なショーを始めることを厭わない国です。
勝てばOK、文句の一つも出ないくらい叩いとけばOK、後は何とでもシラをきれるといった具合。
自国民である兵士たちを犠牲にし、日本をハメたのではないのかということが今もくすぶる問題なのです。
この辺りをアルキメデスの大戦ではどう描くつもりなのか興味津々。
いずれにせよ真珠湾は攻撃されたのだからとスルーするのか、丹原や来栖三郎、野村大使を登場させ、何かドラマを見せてくれるのか、楽しみにしたいと思います。
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