2021年4月19日発売の週刊ヤングマガジン 2021年21号で、『アルキメデスの大戦』第262話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第262話は、特殊鋼の行方を追っていた桑野のおかげで、ついに櫂が呉の「大和」に辿り着く様が描かれます。
横浜の「大和」が廃艦決定となった報せが平山や桑野らの下にもに届く。
納得がいかない桑野たちは消えた特殊鋼の行方を追う過程で辿り着た呉に着目。
桑野は一縷の希望を託し外務省の丹原にコンタクトをとるが……
本記事では、『アルキメデスの大戦』第262話[特殊鋼の行方]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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アルキメデスの大戦262話のあらすじネタバレ
【呉・海軍造船事務所】
平山の下に嶋田から電報が届く。
”横浜の戦艦は廃艦決定”
それは平山にとって吉報以外の何物でもありませんでした。
平山と共に呉で「大和」建設を進めてきた小石川も大喜び。
電報を自分の目で確かめ、事実であることを何度も確認するほど。
平山はそんな小石川の手を握り、これで我々の呉の「大和」が晴れて日の目に出る、我々は勝ったんだと感動を分かち合います。
【横浜・海軍造船所】
戦艦「大和」廃艦決定の報せは呉だけでなく桑野たちの下にも届いていました。
櫂と再建を誓い合い、再設計に取り組んでいた桑野はこの報せに激昂。
椅子を窓から外へ放り投げるなど、手あたり次第に近くにあった物に八つ当たりする有り様。
やがて我に返り、現実に落胆する桑野でしたが、部下がもたらした情報に生気を取り戻します。
それは消えた特殊鋼が呉で建造中の大型空母に使われているという情報でした。
桑野も部下たちも一連の事件は裏で大きな企てに繋がっているに違いないと読みます。
それがハッキリすれば「大和」廃艦も覆るのではないかと……
呉に一縷の希望を見出した桑野たちでしたが、これ以上の調査は階級の壁が邪魔して進めることは困難。
ならばと、階級が上の櫂に真相を伝えて調べてもらうことを思いつきますが、手紙や電話は検閲されるため何処で潰されるかわかりません。
どうしたものかと悩む桑野でしたが、頭にある人物が思い浮かびます。
【柱島】
1939年 12月6日 とある料亭
お座敷で向かい合っていたのは櫂と丹原。
丹原は桑野から事情を聞かされ、櫂と今後の対米関係を直接話し合わねばならないと柱島を訪れたのです。
戦艦売却という条件が果たせなくなった以上、米国は和平協議の破棄を通告してくることは間違いありません。
それでも丹原はしつこく米国と交渉を続け、和平協議をまとめられたらと考えていました。
櫂はその考えは甘いと一蹴します。
対米関係はまた一から築き直さねばならなくなることを丹原に伝え、覚悟をきめねばならないと……
櫂に全幅の信頼を寄せている丹原。
櫂の言った覚悟という言葉の重みを理解するのでした。
帰り際、丹原は直接櫂に渡すよう桑野から頼まれて預かっていた手紙を櫂に手渡しました。
櫂は封を開け、中の手紙を読んで衝撃を受けます。
手紙を読み終えた櫂、先程とは打って変わって丹原に米国に大和売却が無理になったことを伝えるのを少し待つよう指示。
追って連絡すると約束し、櫂は大慌てで料亭を飛び出し、急ぎ駅へ。
【呉・海軍造船所】
櫂が汽車に飛び乗り向かったのは呉でした。
桑野の手紙で特殊鋼が呉に流れていたことを知り、真相を確かめるべく呉の造船所へ向かったのです。
櫂は呉に着くとすぐさま造船事務所へ。
櫂が事務所を訪れた事に小石川は驚き慌てますが、平山はまるで予期していたかのように動じません。
櫂は事務所に入るなり、平山に横浜で使われるはずだった特殊鋼が呉に移送されていたのは何故かと追い立てるように詰問。
それに対し平山は櫂自身の目で特殊鋼がどうなったか見るがいいと返し、櫂を引き連れ造船ドックへと移動。
櫂は造船ドックで建造中の巨大艦を見て言葉を失います。
目の前で建造中の巨大艦は空母などではなく、紛れもなく戦艦。
それも横浜の「大和」にあまりにもよく似た戦艦。
呆気にとられる櫂を横目に、平山はまるで勝利宣言のようにこの戦艦の名が「大和」であることを告げるのでした……
アルキメデスの大戦262話の感想と考察
今回、櫂がついにといいますか、やっと呉の「大和」に辿り着きました。
正直、発刊スケジュールによって計画的に焦らされた感は否めません。
呉の「大和」が一連の騒動の着地点であり、答えなのだから、そこまでをチョット引っ張るかってなったのかも。
でもアルキメデスの大戦は休載しませんからね、調整する回が多いのは致し方ありません。
さて、櫂がなぜこれほどまでに呉に飛びついたのでしょうか。
桑野からの情報は特殊鋼が大型空母に使われている可能性を示唆するにとどまっていたはず。
にも関わらず櫂が飛びついたのは、空母を改造すれば横浜の「大和」の代わりになるのではないか?と考えたからではないでしょうか。
だとすれば、平山の大和を見た櫂の心境はまさに渡りに船、捨てる大和あれば拾う大和ありってなもんでしょう。
平山としては落胆する櫂が見たかったでしょうけれど、逆に櫂はこれで一縷の希望を抱くはず。
もちろん平山は自分の設計した大和に櫂のアイデアが入ることを良しとはしないでしょうから、二人は対立するでしょう。
その構図は国の平和よりも自身の小さな満足を優先させる平山&嶋田、国の未来を案じ最優先に平和を考える櫂といった感じかと。
櫂は設計者として我の強い平山を納得させる策を考えねばならなくなりそうですが、おそらく嶋田を利用するのではないでしょうか。
どれだけ平山が頑固でも、組織に所属している以上は上には逆らえません。
それはこの章ですでに櫂が証明済み。
ただ、櫂が嶋田を懐柔させた場合、和平協議は潰れずに残る形になります。
そうなると今度は山本が櫂の前に立ちはだかりそう。
次回以降は呉の「大和」がどんな形、装備になるのか、どうやって嶋田と平山を納得させるのかに注目です。
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