2021年4月5日発売の週刊ヤングマガジン2021年19号で、『アルキメデスの大戦』第260話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第260話は、嶋田の小物っぷりが全開に描かれます。
櫂が横浜に出張しに来ていることを知った嶋田。
俺の出世街道を邪魔されてなるものかと「大和」廃艦に向け俄然やる気に。
緊急会議をすぐにでも開き、「大和」廃艦を決定させねばと息巻く嶋田に部下の高任は……
その頃、桑野に裏帳簿にまつわるある情報が舞い込む。
本記事では、『アルキメデスの大戦』第260話[緊急会議]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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アルキメデスの大戦260話のあらすじネタバレ
【海軍省】
嶋田は高任から櫂が横浜に来ていることを聞いてアタフタ。
櫂によって「大和」建造が続行になってしまうことを恐れたのです。
そこで嶋田は櫂が騒ぎ出す前に海軍緊急会議を開き、「大和」廃艦を決定させることを考えました。
部下の高任に海軍幹部に緊急招集をかけろと命じます。
高任も嶋田に負けず劣らずの姑息な男ですが、嶋田よりは少し冷静。
緊急招集をかけて今日 会議を開くよりも、明日に会議を開いた方がいいと進言しました。
それは櫂の出張期限が明日までだと調べてわかっていたからです。
つまり、櫂は明日になれば柱島に戻らなければならず、反論する機会はないと高任は考えたのでした。
より確実に「大和」廃艦を決めるならば明日であると。
嶋田としては「大和」廃艦という海軍のピンチを自分が救い、その功績を持って次の大臣になるシナリオを考えていました。
その筋書きをより確実なものにするためには櫂は邪魔以外の何者でもありません。
高任の進言をすんなり受け入れ、会議を明日にすることを決める嶋田なのでした。
【横浜・海軍造船所】
桑野のもとに裏帳簿に記されていた「K」を調べていた部下が報告に訪れます。
調べた結果、「K」とは桑野の予想通り呉のことを意味していました。
特殊鋼は呉に運ばれていたのです。
これで尾崎造船の中川の他に製鉄会社や仲介会社にもグルだった人間がいることは明らか。
面倒なことになってきたとゲンナリする桑野でしたが、5万トンもの特殊鋼を呉で何に使ったのか気がかりでした。
桑野はこのことを櫂に報告するのをためらいます。
なぜなら櫂は今「大和」補強工事に向けて詳細な計画書の作成に忙殺されている状況。
これ以上 櫂に負担をかけたくないと考えたのです。
鋼材の問題は自分たちで解決させると誓う桑野なのでした……
【明けて海軍省】
12月10日 午前10時
嶋田による緊急招集で海軍大臣・吉田を筆頭に幹部たちが一堂に集結。
しかしそこに山本長官の姿はありません。
山本は今 柱島の連合艦隊にいるため出席は適いませんでした。
櫂同様に山本も邪魔だった嶋田としては願ったり叶ったり、渡りに船な状況。
もはや嶋田に対抗できる者はこの会議場には誰もいません。
会議が始まると嶋田は早速イニチシアブを握って自分の思い描く筋書きに向かってガンガン周りを誘導します。
「大和」火災に端を発した今回の不祥事をもはや修復不可能な事態だと訳知り顔で説明。
こういう時の嶋田はまさに水を得た魚のように生き生き。
「大和」は廃艦。
尾崎造船は倒産。
関係者は処分。
これがベストな選択だとばかりに次々と対処案を提示し、口を挟む隙を与えません。
建造計画自体を隠蔽しなかった事にするべき、「臭い物には蓋」こそ一番とさえ断言する始末。
これにはさすがに吉田も和平協定を知っているだけに心配になりますが、いかんせん嶋田にコロッと言いくるめられてしまいます。
吉田はイマイチ協定の重大さを理解していませんでした。
結局、嶋田に言われるがまま、いとも簡単に「大和」廃艦を決定してしまいます。
この決定に嶋田は内心ニンマリ。
これで自分が海軍を救う立役者として崇められるお膳立てが出来たとほくそ笑むのでした……

アルキメデスの大戦260話の感想と考察
史実?で山本は嶋田のことを「おめでたい男」と評しています。
それは国の未来よりも自分の出世や立場など、利己的なことに執心している男という意味でしょう。
まさにそんな嶋田の本領発揮な回だったのではないでしょうか。
実際、嶋田は太平洋戦争時の海軍大臣です。
このまま嶋田の思惑通りに事が運び、大臣になったとしたら経緯はともかく、史実通りということになります。
それって戦争一直線てことでしょうか。
でもそれじゃただの史実をなぞった物語。
本作はパラレル戦史物語ですから、何とか戦争回避につなげていくはずです。
嶋田は戦争の事より目先の大臣のポストが大事。
言い換えれば、大臣のポストさえ掴めれば戦争は回避でも開戦でも今はどうでもいいのです。
櫂はそこら辺を上手く利用して戦争回避、つまり「大和」建造への道筋を見つけるのではないでしょうか。
是が非でも戦争を回避したい櫂ですから、嶋田や平沼に頭を下げるくらい屁とも思わないはず。
横浜にいられる時間は残りわずかでもありますし、櫂としてはチャチャッと道筋をつけたいでしょう。
嶋田と櫂の志の高さの違いが増々強調されそうな予感がします。
チャチャッといえば、櫂と鏡子の関係。
ほんとに最終回まで二人は結ばれないのかも。
今回の犯人捜しにしたって桑野が調査を受け持ち、櫂はほぼノータッチを決め込んでいます。
これでは櫂と鏡子が接触するわけがありません。
別に焦らすのは構わないのですが、多くの読者は本作にそこ(恋愛模様)はあまり求めていないのでは?
むしろチャチャッと早々に片付けてほしいと思っているのではないかと……
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