2021年3月15日発売の週刊ヤングマガジン2021年16号で、『アルキメデスの大戦』第257話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第257話は、尾崎造船のトップ二人による”てんやわんや”の大騒ぎが描かれます。
桑野に決定的証拠を突きつけられ、常務・中川は驚愕しアワアワ。
社長・尾崎は中川の狼狽ぶりに犯人が中川であると確信するも……
その頃、外務省で丹原と会っていた櫂はそれとなく戦艦引き渡しが遅れた場合のことを訊ねていた……
本記事では、『アルキメデスの大戦』第257話[自白]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
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アルキメデスの大戦257話のあらすじネタバレ
【横浜・海軍造船事務所】
桑野は中川の妾宅で見つけたものだとし、裏帳簿と現金を中川の目の前に叩きつけて自供を迫ります。
裏帳簿どころか現金など隠した覚えのない中川は驚愕するも、これが興洋銀行副頭取・晴彦の仕業だと理解。
なぜなら裏帳簿は昨晩晴彦に預けていたからでした。
晴彦による無情のトカゲの尻尾切りに落胆する中川……
桑野は着服したとみられる代金が二千万にも上ることから、中川の後ろに黒幕がいるのではないかと疑いさらに追及。
すべてを話せ、白状しろと怒鳴る桑野の顔は鬼と見まがうほど鬼気迫るものでした。
中川の横で桑野の追及や証拠品を見ていた社長の尾崎。
中川が裏金工作に加担していたことは間違いないと確信していました。
しかしここで中川が悪事を洗いざらい自白しては会社も責任を問われ倒産は間違いありません。
尾崎は中川が自白する前に何とかしなければと、桑野に顧問弁護士を同席させてくれるよう頼みます。
桑野の答えはもちろんNO。
会社を守るため何としても中川の自白を阻止したい尾崎でしたが、桑野の手前、直接何も話すなとは言えません。
冷静に考えろとだけ言って中川の目を真っすぐ見据え、口を割るなと目で訴えます。
長年に渡り尾崎のもとで仕事をしてきた中川です。
尾崎が何を求めているか容易に理解することが出来ました。
予定通りにあくまで知らぬ存ぜぬで通し、会社を守れということなのだと……
中川は頭の中で尾崎と晴彦を天秤にかけます。
ここまで証拠品が出てきてしまった以上は横領の罪は免れない…
何年か刑務所に入ることは仕方ないとして、問題は出所後…
この件で尾崎造船の倒産はほぼ間違いなく、尾崎は無一文となって落ちぶれる…
ならば生き残る術は晴彦に賭けることか…
自分一人が泥を被って晴彦に恩を売っておけば出所後の面倒くらい見てもらえるはず…
こうして中川天秤は晴彦に傾きました。
中川は突然立ち上がると桑野に申し訳なかったと頭を下げ、さらに土下座までして謝罪。
すべて自分がやりましたと頭を床に付ける中川にたまらず尾崎が飛び掛かり、襟首を掴んで貴様なに喋ってやがると血管ブチ切れ状態に。
すると本当に血管が切れてしまったのか、尾崎は意識を失い白目をむいてその場に倒れてしまいました。
慌てた桑野や中川が尾崎の名前を叫びますが尾崎の意識は戻りません。
桑野は部下に救急車をすぐに手配するよう命じます。
【外務省】
櫂は丹原と会うため外務省を訪れていました。
条約案文の進行状況を確認するためです。
条約は極秘中の極秘案件。
万が一外部に情報が漏れた場合は米国に契約違反とみなされてしまいます。
盗聴を警戒するため、櫂も丹原もお互いに条約について話すには直接会う以外に方法はありませんでした。
丹原と会うなり櫂はすぐさま丹原が作成した条約案文に目を通します。
さすがは丹原。
櫂が全幅の信頼を持って案文作成を頼んだだけのことはあります。
条約案文には何の問題もありませんでした。
丹原は櫂の査定に胸をなでおろしますが、櫂は何処か浮かない顔……
櫂は和平交渉について例えばですが…と前置きしつつ、ある事案について意見を聞かせてほしいと頼みます。
もしも「大和」の納期が米国との約束よりも遅れたらどうなるか?
櫂は火災の件には一切触れず、あくまで例え話として丹原に訊ねました。
丹原は冗談でもそんなこと言うなとばかりにムキになって困ると声を荒げてしまいます。
交渉の前提が崩れることを米国は絶対に受け入れるはずがないと断言。
もちろん櫂の見立ても丹原と同じでした。
ただ、納期の延長が可能かどうか信頼できる人間の意見を一応聞いてみたかったのです。
何かあったのではと訝しがる丹原を何とかかわし、櫂は外務省を後にします。
【横浜・海軍造船事務所】
外務省から造船事務所に戻った櫂。
櫂の帰りを待っていた桑野の部下に声をかけられ、中川が取り調べを受けていた部屋へと案内されます。
部屋に入り、櫂の目に飛び込んできたのは床に転がったままの椅子と散乱した紙幣の山、そして疲れ切った顔を浮かべる桑野と中川でした……

アルキメデスの大戦257話の感想と考察
なかなか危機回避能力というか、切羽詰まってからの計算が速い中川でしたね。
金と帳簿を突きつけられて即座に晴彦の裏切りを悟り、さらに現実を冷静に把握して後々のことを考え、尾崎を切り捨てる道を瞬時に選びました。
なぜそこまで瞬時に回る頭がありながら、万が一の晴彦の裏切りを想定して準備をしていなかったのか……
詰めが甘かったというか、晴彦と自分は共犯なんだからという慢心があったと言わざる得ませんね。
ただ、中川は尾崎ではなく晴彦を選んだ以上、晴彦の名前を櫂や桑野に自白することは考え難いです。
それでも櫂は帳簿から不自然な点を拾い出し、中川に共犯者がいることを確信すると思います。
それが晴彦ではないかと櫂が疑いの目を向けるきっかけが尾崎の卒倒であったのではないでしょうか。
櫂はおそらく倒れた尾崎の見舞いに行くことでしょう。
そこで鏡子と再会し、中川が晴彦に帳簿を渡していた事実を知るのでは?
いずれにしても、鏡子の目の前で旦那・晴彦と元カレ兼想い人の櫂が鉢合せになりそうですね。
金の流れがこれで判明し真犯人が捕まったとしても問題が解決されたわけではありません。
重要なのは「大和」完成が納期までに間に合うのかどうかということ。
一から作り直す時間はありませんからね、やはり平山「大和」と櫂「大和」の合体しか解決策はないんじゃないでしょうかね……
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