2021年2月25日発売の週刊ヤングジャンプ2021年13号で、『少年のアビス』43話が掲載されました。
『少年のアビス』43話は、今回は柴沢先生の新たな一面が描かれています。
その柴沢先生の反撃を受けたチャコと令児の関係が絶たれようとする中、自ら発した『約束』を果たすときが来るようです。
本記事では、『少年のアビス』43話『咎人』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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少年のアビス43話のあらすじネタバレ
仕事を休み、チャコの学校へ漫画喫茶での出来事を報告し終えた柴沢先生。
次の行き先は卓球場でもある実家でした。
ボールを排出する卓球マシーンを相手に、軽快な音を起てて汗を流していると祖父がやって来ました。
平日でもある事から学校は? と聞かれると、創立記念日で休みと嘘をつきました。
学校の先生である事を立派だと言う祖父ですが、ずっとプロの卓球選手になって欲しかったと言っていたようで、柴沢先生はそれを指摘しますが、今となっては先生も十分凄いと言ってくれました。
しかし、散々焚き付けた責任を持ちたくないだけだと言う柴沢先生。
高校の時に怪我をしてしまい、向けられたガッカリした祖父の顔が今でも夢に出てくると言いますが、卓球の音と耳が遠くなってしまった事で聞こえていないようでした。
先生としてやりがいを感じていると柴沢先生が言うと、祖父はにこやかに頷きました。
柴沢先生のその腹の中では、敗北した子供の人生を永遠に見続けさせてやることが、夢を押しつけた大人への罪に対する罰だと考えていました。
けれど、先生となった今感じていることはそうではありませんでした。
自分で夢を追えなくなった者は若い者に夢を見てしまい、祖父や親の気持ちがわかるようになり許すことが出来て、それが大人になるということなのだと考えているようです。
そしてその気持ちは悪であり、理解もしている柴沢先生は心底嫌われても軽蔑されても構わないと思いつつも、いつか絶対に感謝される、そうさせてみせると言う柴沢先生はもっと強くなれると声を張り、その顔には汗に混じり涙が滲んでいました。
その反撃を受けたチャコの家では、チャコの母が父によって平手打ちを見舞われあそこの子供と遊ばせるなと前から言っていたことを怒鳴り散らされていました。
何も言えず立ち尽くし、俯くままのチャコでしたが、その処分を母に尋ねると処分は無いものの生徒会長の立候補は辞めるように言われたようです。
相手の処分を尋ねる父に、被害者だから処分は無いと学校での話を伝えると、男なのだから被害者のはずがないと父は怒り心頭で向こうの学校に連絡を入れるように言います。
チャコはネカフェに誘ったのも迫ったのも自分だと事実を伝えますが、かばっているとしか思わない父は話を聞こうともしません。
自分でそうしたかったからしただけと言っても、口答えするなと言う父はもう令児に会うことを禁じ、スマホを没収させようと母に命じます。
本当に反省していると主張しても、光の無い目で母はスマホを渡すように言うだけでした。
一方、ナギの電話番号も入手して東京への資金も手に入れた令児。
登録したナギの番号をスマホに表示させ、電話しようとしていましたが何を話して良いのかわからずその手は画面をタップ出来ずにいました。
すると、チャコからメッセージが届き、『助けて』と表示されるとすぐさま自転車で向かいました。
返信したメッセージに既読もなく、チャコの家のインターフォンを押すと、現れた母はよく来れたねと一言。
チャコの将来が台無しになり、関わらないでと言いドアを閉めようとする母ですが、令児にはなんの事かさっぱりわかりません。
再び玄関が開くと同時に飛び出してきたのは、涙を流すチャコでした。
ほんの一時令児にしがみつくも、母に押さえ付けられ家の中へと戻されてしまうチャコ。
その僅かな間に、あの女にはめられたと言い、あの約束の話をしていきました。
何をやってでもチャコをこの町から出してやると、そう約束した令児が試されるときです。

少年のアビス43話の感想と考察
少しずつ明らかにされる柴沢先生の内情や過去ですが、実家が卓球場というまた意外な展開がありました。
祖父や親に期待されていたものの、怪我をしてその夢を追えなくなってしまいそこから先生を目指したようです。
なぜ学校の先生なのかは流れがわかりませんでしたが、夢を追えなくなった者は若い者に夢を見ると言っていたので、卓球部の生徒達を見ていたかったのかもしれませんし、もっと色々な若者たちの夢を見ていたかったのかもしれません。
それが大人になるにつれて、以前言っていたようなもっと色々な結婚や自分の子供といったしがらみが出てきて、闇を抱えていくようになったのかもしれません。
夢も追えず、令児も取られてしまうことでまた敗北をしてしまうことが許せなかったのかもしれません。
ナギとは違いチャコが許せなかったのは、一目でナギには負けてもしょうが無いと思わせる何かがあったのかもしれません。
そんなチャコの両親は昭和の家のような感じで、父が子の話も聞かず絶対の権力を持ち、母に命ずるという様は読んでいて実家を思い出しました。
スマホを渡す間に令児にSOSを送ったチャコでしたが、約束を言い出した令児はそれにどう応えるのでしょうか。
東京への資金も手に入れて自分だけなら向かえるようになった今、ナギへの気持ちで頭がいっぱいになっているはずの令児が、チャコのメッセージですぐに向かったのはやはりチャコが大事なのだなと思いました。
令児に対しては一作品のキャラクターと言うより、謎の親心的なものを抱えながら最近は読んでいるような気がします。
これが前々回、似非森が令児をナギに会わせてあげようとしていた理由なのかもしれません。
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