2021年2月8日発売の週刊ヤングマガジン2021年11号で、『アルキメデスの大戦』第252話が掲載されました。
『アルキメデスの大戦』第252話は、戦艦「大和」に隠された”重大な秘密”が暴かれます。
謎の火災に見舞われた戦艦「大和」。
桑野らは火災現場の壁に亀裂を見つける。
その頃、櫂は遠く離れた山口にいた。
火災の報せを受け、山本に横浜への出張を願い出る櫂であったが……
本記事では、『アルキメデスの大戦』第252話[材質不良]のあらすじと感想を紹介していきます
※ここから先はネタバレ注意です。
<< 251話 | 一覧 | 253話 >> |
アルキメデスの大戦252話のあらすじネタバレ
【横浜・尾崎造船ドック】
建造中の戦艦「大和」が火災に見舞われる。
工員や兵たちの必死の消火によって火災は鎮火。
やがて艦内に生じた有毒ガスの除去も終わり、工事を統括していた桑野らは火災発生現場へと向かう。
【尾崎造船ドック・大和艦内】
桑野たちは艦尾にある火災発生現場とされる倉庫内を探索。
煤であちこちが黒く変色してはいるものの、一見して本体自体に損傷は見られない。
ひと安心する桑野たちであったが、それもつかの間。
壁の鋼板にクラック(亀裂)を見つけてしまいます。
設計上、この程度の火災でクラックが入るような鋼板は使用していないはずでした。
嫌な予感に駆られた桑野は、鋼板の仕様書を大至急用意するように部下に指示。
もしも材質に問題があったとすればとんでもないことに……
自分の読みがハズれることを願わずにはいられない桑野でした。
【尾崎造船所】
12月6日 午前10時28分
社長の尾崎は深夜に火災の報せを受け、急ぎ造船所に来たものの軍の許可が下りず、未だ現場に入ることが許されないでいました。
尾崎はイライラが募り、部下に当たり散らす始末。
常務の中川に対し、この火災によって尾崎造船が被ることになる責任について説明します。
現場の監督責任は当然として、問題は工期の延長にあり、工期が延びればそれだけ建造費がかさみ、ただでさえ苦しい資金繰りがもっと苦しくなると。
これに対し、中川は海軍省に頼んでみてはどうかと意見。
この呑気な意見に尾崎のイライラは最高潮。
激昂し、火事を出しといて助けてくれなんて言えたものではないと、中川にもっと真剣に考えろと怒鳴り散らします。
尾崎は工期延長による資金不足に備えるため、興洋銀行の渡辺副頭取にアポを取るよう指示。
なんとしてもこの危機を乗り越え、尾崎造船を守ると誓う尾崎でした。
【山口県柱島・海軍基地】
櫂は演習中の洋上で「大和」の火災事故を知らされてからというもの、気が気ではありませんでした。
演習が終わり、陸に上がるとすぐに山本長官のもとへ。
12月7日 午前8時50分
櫂は長官室のドアをノックし、山本に横浜への出張を願い出ます。
「大和」の状況をどうしても自分の目で確認したいと理由を説明。
山本も他ならぬ「大和」のこととあって、鎮火したと連絡を受けていたものの気になってはいました。
「大和」無くして万が一に対処することなど出来ないと考えていたからです。
山本は3日間という条件付きで櫂の横浜出張を許可。
櫂は山本に礼を言うとすぐさま荷物をまとめ、横浜行きの列車に飛び乗るため駅へ向かうのでした。
【尾崎造船・海軍事務所】
桑野たち造船将校らは鋼板の仕様書を調べ上げ、議論・推論を交わした末にある帰結に辿り着いていました。
桑野は尾崎造船の経営陣に召集をかけます。
12月7日 午後4時58分
戦艦「大和」建造を任されている造船将校たちと尾崎造船の経営陣が机を挟んで一堂に対峙。
桑野は火災現場で撮った一枚の写真を尾崎に見せます。
そこに写っていたのは例の壁に出来たクラックでした。
尾崎はそんなバカなといった具合に口をポカンと開け言葉が出ません。
このクラックが意味するところが何かわかりますよねと、桑野。
すると尾崎の横にいた中川がクラックと聞くやいなや尾崎の手元から写真を奪い取り、クラックを見て仰天。
その動揺っぷりから何か心当たりでもあるのかと思い、尾崎が訊ねますが、中川はなんでもないと、とぼけます。
桑野はあの程度の火災で壁に入るハズのないクラックが入ったのは鋼板の材質に問題があるとし、尾崎造船の用意した船殻鋼材の質が不良であったとの結論に至ったことを伝えました。
尾崎も中川も桑野らが導き出したこの結論にこれ以上ないくらいに驚愕。
そんなはずはない、海軍からの指定通りの鋼材だと尾崎は食い下がります。
しかし、桑野たちが独自で鋼材の追加調査を行い、結果 指定特殊鋼ではないと判明したと聞かされて尾崎はもう何が何だか意味がわかりませんでした。
これでは工期の遅れどころか、尾崎造船を守ることなど夢のまた夢……
【呉・海軍事務所】
その頃、呉で秘密裏に別の「大和」を建造中の平山造船中将に電報がもたらされる。
島田中将から横浜の火災に関する電報でした。
平山はそこに書かれていた「大和」船殻鋼材の質に問題ありとの報せに目を疑うのでした……

アルキメデスの大戦252話の感想と考察
どうやらはじめから「大和」の船殻鋼材に問題がある展開を予定していたようです。
第232話で、晴彦と中川が尾崎に内緒で帳簿を改竄し利益を享受しているような節がうかがえる場面がありました。
あれは船殻鋼材不良問題へのフリだったわけです。
今回、鋼材の不良を伝えられた時の尾崎の狼狽ぶりはハンパではありませんでした。
まさに寝耳に水といったところでしょう。
桑野に鋼材の件を突っ込まれた時、尾崎の横で”見つかってしまった”感まる出しだった中川ですが、落ち込む尾崎とは対照的にその後ケロっとしていました。
たとえ尾崎造船が潰れたとしても、これまで晴彦と共にプールしてきた金が俺にはあるといった余裕からですかね。
けれど中川は晴彦と自分は一蓮托生と思っているかもしれませんが、晴彦はいざとなったら中川に全ての罪を被せかねない男です。
櫂が横浜で尾崎造船の帳簿を洗うのは明白。
なんせ現在の櫂のポジションは海軍のお金を管轄する主計科主任ですから。
中川や晴彦が抵抗しようとも、櫂は権限をフルに使って裏帳簿に辿り着くでしょう。
問題は、結果的に設計とは異なってしまった「大和」をどうするかです。
船殻鋼材の不良ですから、設計通りの「大和」にするには全部壊して一から作り直す他ないでしょう。
そんな時間も予算も当然 どこを探しても日本にはありません。
桑野はそれがわかっているかこそ、やりきれなさから「大和」の設計図を蹴り上げたのでしょうね。
ただ、櫂のことです。
災い転じて福となすといった解決策を思いつくはず。
そこに絡んでくるというか、利用されるのが平山の「大和」かもしれませんね。
すなわち、結果的に平山の「大和」は体のいいリザーブとなり、櫂の「大和」と合体するのではないかと。
そうなれば桑野と平山、山本と島田も黙ってはいないでしょうが、最終的に折れるのではないでしょうか。
もちろん、それは櫂によって。
<< 251話 | 一覧 | 253話 >> |