2021年2月1日発売の週刊ヤングマガジン2021年10号で、『マイホームヒーロー』第124話が掲載されました。
マイホームヒーロー第124話は、歌仙目線の郷一郎襲撃の様子が描かれます。
歌仙は子供のころから目の前で天照の”仕事”を見せられてきた。
自分も大人になれば天照のように当然”仕事”をしなければならない。
外の世界を知らない歌仙、嫌な仕事だとは思っていたが他に選択肢があるとは知識として知る由もなかった……
本記事では、マイホームヒーロー第124話[殺そう]のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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マイホームヒーロー124話のあらすじネタバレ
【歌仙の過去・少女期】
歌仙は次期オガミメとして幼き頃から母である天照(オガミメ)の仕事を見せらてきました……
歌仙の母である天照は時々、村人に抱かれることがありました。
これもオガミメの仕事の一つ。
妻を失った男の前で妻の魂を憑依させ、そのまま性行為の及ぶのです。
歌仙は幼い頃から目の前で何度もその光景を見せられ、自分も成人したらこの仕事をやるんだと何の疑いも持っていませんでした。
嫌だけど、オガミメとして当然の義務なのだから……と。
外の世界を知らない歌仙にとっては、やらないという選択肢があるなんて、知識として知る由もなかったのです。
哲雄と会うまでは……
歌仙がまだ十代の頃、村から脱走して麓のガソリンスタンドまで逃げた時がありました。
その時、ガソリンスタンドでたまたま働いていたのが哲雄です。
そこで哲雄からオガミメの”当然の仕事”が必ずしも当然ではないことを知ったのです……
【歌仙の過去・数日前】
哲雄と零花が村に向かったのは、歌仙が村に行ったきり帰ってこなかったからです。
詳しい理由も語らず、ただ別れめいた言葉だけを残した歌仙に異変を感じ、哲雄と零花は村へ向かったのでした。
歌仙が村に留まった理由は、教団が家族に干渉するのを止めさせるため。
自分が犠牲となる(オガミメになる)代わりに、家族には一切手を出さないことを郷一郎たちに約束させたのです。
ところが哲雄も零花も村に来てしまい、あろうことか零花がオガミメの修行にまで入ってしまったと聞かされ、歌仙は自分の考えが甘かったことを思い知らされました。
鳥栖家の人間たちが約束を守るなんて一瞬でも思ってはいけなかったと……
自分の行為を悔やみ、どうすることもできずに落ち込む歌仙。
そこへ追い打ちをかけるように父・郷一郎からは村のためだと性行為を迫られ、拒否するならば零花を抱くとまで宣告される始末。
この時は郷一郎が無理強いをしなかったため性行為をすることは避けられたものの、零花をだしに使われては歌仙にとって拒否権は無いと同じこと。
結果、歌仙はもはや父である郷一郎を殺す以外に零花を守ることは出来ない、それ以外に道はないとの考えに至っていました。
では郷一郎を殺すにはどうしたらいいのか……
いつ、どこで、どのタイミングで実行すればいいのか……
導き出した答えは「郷一郎が最も油断した時」
歌仙は郷一郎に”祭りの後に抱いてほしい”と伝えました。
【歌仙の過去・数十分前】
祭りのクライマックス、滝つぼでのオガミメ降臨ショーを終えた歌仙は郷一郎の待つ屋敷へ。
密かに隠し持っていた文化包丁を布でくるみ、袖に隠して郷一郎の待つ部屋を訪れます。
郷一郎は”来たか来たか”とご機嫌。
歌仙に部屋で待つように言い残し、用意させておいた風呂へ入るためいったん部屋を出ます。
部屋には布団が一組置かれており、歌仙の他には誰もいません。
歌仙は忍ばせてきた文化包丁を枕の下に隠します。
殺そう‥‥‥
殺そう…
殺さなきゃ‥‥‥
心内で何度も何度も自身に言い聞かせ、その時を待ちます。
やがて郷一郎が部屋に戻り、”では儀式を始めるぞ”と不気味な笑みを浮かべ歌仙の横へ。
正座する歌仙の目の前で浴衣を脱ぎ、”母の分もわしを満足させるんだぞ”とおぞまし宣告。
歌仙は父のいきり立ったモノを目の前に、急に恐怖心に駆られてしまいます。
その恐怖は郷一郎のモノに対してなどではなく、人を殺めることへの恐怖。
怖い……
人を殺すのが怖い……
動かない……
今こそチャンスなのに身体が動かない……
怖い……
こんなにも動けないなんて……
無理……
私には無理だ……
歌仙は後ろ手に掴んでいた文化包丁を枕下に戻し、悔し涙を流しながら郷一郎に嘆願します。
これで哲雄と零花には関わらないでくださいと……
【歌仙・現在】
のしかかる郷一郎に身をゆだね、布団に横になる歌仙。
ふと郷一郎の背後に気配を感じ、薄目を開けて窺って見ると、なんとそこにはいるはずのない哲雄の姿が!
歌仙は驚くも、哲雄がパチンコらしき道具で背後から郷一郎を狙っている様子から瞬時に察し、郷一郎に気づかれてはならないと声をつぐみます。
それでもわずかな歌仙の反応から背後の気配に気づいた郷一郎。
何事かと後ろを振り返った瞬間、
バシュッ
哲雄の放ったパチンコ玉は郷一郎の頭部を直撃!
不意に、しかも至近距離からモロに!
直撃を喰らうも悲鳴やうめき声もないまま、郷一郎は歌仙の上にバタリと倒れました。
歌仙の裸体の上に突っ伏し、ピクリとも動きません。
哲雄はそっと歌仙に近寄り、たった今 自らの意思で人を殺めた恐怖でまだ震えている手を歌仙に差し伸べます。
哲雄の抱いた恐怖はさっきまで歌仙が抱いていた恐怖。
歌仙もまた恐怖で震える手を差し出し、ギュっと哲雄の手を掴むのでした。
二人の手が重なった瞬間、互いに手の震えがおさまります。
歌仙はこの時、宿命だと諦めていた呪縛から はじめて解放された気がしていました……
マイホームヒーロー124話の感想と考察
う~ん……またも郷一郎の安否は不明でした。
これはもう死んだと受け取っていいのかな?
ま、ここで郷一郎に騒がれてしまっては哲雄の計画的にも、連載の進行的にも支障があるので、たぶん死んだんでしょうね。
今回、歌仙が実の父である郷一郎を殺そうと決意していたことがわかりました。
教団との関りを絶つには殺すしかない、家族を守るにはもう郷一郎を殺すくらいしか自分にはできないと切羽詰まっての決断。
哲雄と歌仙は似た者夫婦ってことでしょう。
自己犠牲でしか解決できないと考えるところなんてまったく一緒。
でも娘は違います。
ある程度の自己犠牲は甘んじて受け入れていますが、理不尽なこの村に全く納得いっていませんから、両親ほど自分さえ犠牲になれば…といった思考には陥っていません。
このあたりが後々救いとなるのかも。
個人的に歌仙と零花は哲雄にとってはオガミメならぬ「メガミ」だと思っています。
結果的にとはいえ、郷一郎を無事に撃てたのも歌仙が郷一郎殺しを諦めたからです。
あそこで歌仙が郷一郎に文化包丁を刺したとして、はたして一撃で殺せたでしょうか。
はたして女中にも半グレにも感ずかれずに、郷一郎に悲鳴もうめき声も血しぶきも出させることなく殺せたでしょうか。
おそらくそれは無理です。
だから哲雄にとって偶然とはいえ、やはり歌仙は「メガミ」なのです。
零花の脱走もきっと哲雄にとっては結果的にメガミ的な事象に繋がるのでしょうね。
それにしても、哲雄が犯した殺人事件があってもなくても、この家族が災いに巻き込まれることは必然だったってことですよね……
マイホームヒーローは講談社などの公式の紹介文で”普通のサラリーマン、ごく普通の家庭が犯罪に巻き込まれ…”みたいな紹介をされてますが……
前回といい今回といい、あらためて”どこが普通よ!?”とツッコミを入れたくなります。
今回の巻中カラーの表紙は、ごく普通のあたたかい家族にしか見えない3ショットだっただけに余計にそう感じてしまいました。
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