2020年11月5日発売の週刊ヤングジャンプ2020年49号で、『少年のアビス』32話が掲載されました。
『少年のアビス』32話は、母と玄の父親の関係を知った令児は、自分の将来も捨ててある決断をしました。
その決断を聞いた柴ちゃんもまた、新たな提案を持ち掛けます。
本記事では、『少年のアビス』32話『決断』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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少年のアビス32話のあらすじネタバレ
知らなかった母と父、そして玄の父親の関係を突きつけられた令児。
ショックを受ける令児ですが、早く帰らないと母ちゃんが先に家に着くと玄に言われ、座り込んでいる間もありません。
放心状態のまま家に帰ると、既に母の方が先に帰ってきており、シャワーの音が聞こえました。
玄関の音に気付いた母は浴室のドアを開けて令児の姿を確認します。
息子の前で隠しもしないその身体を目にした令児は、玄の父親といた場面を思い出してしまいます。
兄のためのからあげを買ってきたと言う令児に、何の疑いも無くお礼を言う母は、令児にも風呂に入るように言いました。
学校から帰ってシャワーを浴びたと言い、令児は種火を消してくると外に出ました。
座り込んでしまった令児は一人、『生きないと』と呟きました。
翌日、放課後に担任の柴ちゃんに言われて令児は残ることになりました。
みんなが帰って行った教室で、担任と二人きりになると、一日酷い顔だったと指摘されて何かあったのかと聞かれます。
相談がありますと言う令児に、笑みを浮かべる柴ちゃん。
先に部屋に行っててと言われたとおり、令児は柴ちゃんの家で帰りを待ちました。
チャイムが鳴って玄関を開けるなり、ただいまと同時にキスをする柴ちゃん。
家来てくれるの久しぶりと喜ぶ柴ちゃんでしたが、令児は至って冷静に先週もきましたよと言います。
勉強頑張ってる? との問いに令児は大学に行けないですと謝罪する令児。
その言葉に柴ちゃんが振り返ると、令児は土下座をしてお金を貸してくださいと言いました。
進路を決めてちゃんと卒業したら『あげる』と約束していましたが、令児はすぐ必要なんですと言い、何があったのか話を聞くことにしました。
昨晩の話をした令児ですが、母親がそういう状況であることとお金が必要なことが結びつかない柴ちゃん。
令児は家族で町から逃げようと思っていると告げました。
玄の父親は謝罪して許しを乞うても通じる人ではなく、それなら母を町から逃がすしかないと令児は考えました。
その為には祖母も兄も全員が逃げるしかなく、その為にすぐにお金が必要だと言います。
そんな令児の話に、柴ちゃんは抑えきれなかったように笑い、かわいいと一言。
令児の母と玄の父親の関係の始まりはそうだったとしても、それからもう何年も続いているなら今はもうただの爛れた関係に落ち着いていると言う柴ちゃん。
大人はそうやって平気で鈍くなっていくと言い、お母さんにとっての唯一の道楽と言い放っておくように勧めます。
それでも令児は母をこの町に置いて一人で町を出ることは出来ないと言い、担任とのこの関係も今日で終わりにしてくださいと突然言います。
その言葉に柴ちゃんはお金を使うことを決断しました。
しかしそれは令児達家族を逃がす為ではありませんでした。
床に座る令児に跨がり、自分と令児の二人で町を出て二人で誰も知らないところで暮らそうと嬉々として提案しました。

少年のアビス32話の感想と考察
この作品はナギ・チャコ・柴ちゃんと三人の女性キャラが出ていてみんな主人公に好意はあるという(ナギは好意なのかよくわかりませんが)状況にあります。
よ
くある主人公モテモテのハーレム系のようにも見えますが、それぞれの存在が主人公・令児を追い詰めているような状況です。
特に柴ちゃんとの関係が一番の問題なのではないかと今回の話で思いました。
大学に行く為のお金をくれるというのは一見すれば救いの手を差し伸べてくれているのですが、自分の将来を握られているようなものです。
母には進学の話など出来るわけもなく、頼れる人はそんな担任だけという状況。
真っ当に背中を押して希望のある方へ導いてくれる存在だったチャコも、ナギとの関係を断ち切った今では令児にとって良い存在なのかわからなくなってしまいました。
けれど、『死』を希望としていた令児が母を助けるために『生きないと』と言えたのは、一番の根底にある大事な人は母なのだろうなと思いました。
だから母にも言わず勝手に進学を決めて町を出ていったとしても、令児の中では罪悪感が消えないまま生きていかなければいけないし、結局気になってこの町に戻ってしまうような気もします。
玄の話を聞いて帰った直後に見た母の身体は、それまでなんとも思わなかったはずのものが変わって見えたと思われます。
相手が知らないおじさんよりも、幼馴染みの父親という方が辛いような気がしますが、令児のその辛さは計り知れません。
柴ちゃんの話を聞くまでは、自分のせいで嫌々相手をさせられていると思っていたのかもしれませんが、何年も続いて爛れた関係に落ち着いているという話で少しは納得したかもしれません。
そもそも柴ちゃんも、令児に非は無いと教えてあげるべきだったようにも思えますが、それも策略なのかもしれません。
『大人』というものを教えてあげる担任に、令児はまた一つ学び大人に近づいてしまいました。
希望通りに二人で町を出ることは無いと思いますが、次回はどんな展開になるのでしょうか。
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