2020年10月15日発売の週刊ヤングジャンプ 2020年46号で、『少年のアビス』29話が掲載されました。
『少年のアビス』29話は、チャコに頼まれた令児はナギと会わせることになりました。
様々な思いをぶつけ、アイドル時代の『青江ナギ』という虚像が砕かれていくチャコ。
そんな女子二人の間で気まずそうな令児の回です。
本記事では、『少年のアビス』29話『幻想の死』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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少年のアビス29話のあらすじネタバレ
チャコに頼まれ、ナギに会わせることになった令児。
この日、情死ヶ淵に行って分かれた頃はまだ明るかったのに今ではすっかり陽も落ちていました。
また来てしまったことをインターホン越しに謝罪する令児ですが、咎める様子も無く、ナギは要件を尋ねます。
幼馴染みのチャコが会いたいと言ったので連れてきた事を伝えると、着替えるから待ってとの声が聞こえました。
インターホン越しの声でも、確かにナギの声だったことにチャコのテンションは上がります。
本物に会えるということで、元々ファンでもあったチャコは緊張感も増してきます。
心中をやめろと言う気なのかと、チャコがどう出るのかも気になる令児ですが、それに対するナギの反応も気になるところです。
玄関のドアが開き、登場したナギにチャコは何も言えませんでしたが、ナギが挨拶すると一気にテンションは振り切れてしまいます。
その声の大きさに、外だからと宥める令児。
そんな二人のやりとりを見たナギは軽い笑みを浮かべると、チャコは何かを察したようです。
似非森から渡された封筒を抱きしめ、ただ純粋なファンでいるのではなく、ここに来た目的を忘れまいと自分に言い聞かせるようにも見えます。
二人は、がらんとした必要最低限のものしか無い部屋の中に通されました。
アクリルの衣装を持ってきてるんですか? というファン目線の興味本位の質問をしたチャコでしたが、初めて会った日の夜、その衣装を着て初体験を迎えた令児は動揺を隠せませんでした。
そんな様子を見逃さなかったチャコでしたが、わずかに開いたドアの隙間からはベッドが見えました。
似非森の言葉で言うなら令児が寝取った場所であり、二人が行為を行った場所です。
アクリルの衣装は無いよと笑顔で答えるナギは、チャコが持っている封筒について尋ねます。
中身を聞かれたチャコは似非森先生の本の感想文と、それに対して似非森がコメントをくれたことを笑顔で答えました。
何か言いたげなナギですが、そうなんだとだけ言いました。
どうにも居心地の悪い令児は、外にご飯に行くことを提案しました。
ファミレスへの移動中、一緒に歩くことをチャコは拷問としか思えませんでした。
生で見てみたいと思ったことはあっても、横を歩きたいとまで思ったことはなく、こんな人に出会って狂わないわけがないと、一人前を歩く令児の背中を見ます。
席についても、店員の『いらっしゃいませ』の声に一々反応する令児に、そうそう鉢合わせしないから大丈夫とチャコは言います。
メニューを尋ねようとナギに目を向けたチャコは、煙草を吸おうとしていた事に驚きます。
煙草を吸うことにもショックを受けましたが、二十歳という実年齢を知ってチャコは更にショックを受けます。
アイドルに年齢詐称はよくあることと自分に言い聞かせますが、それでも夢が壊れていく事に変わりはありません。
デビュー曲からアクリルを応援していて、その中でもナギが推しだったことを令児は伝えますが、色々ごめんと煙を吐き出すナギ。
結婚したからアイドルを辞めたんですかとチャコが聞くと、それを肯定し、一緒に実家に来て欲しいと言われたからと付け加えます。
お母さんの介護の話を切り出すと、似非森から色々聞いてるみたいだねと言うナギ。
その間で令児は押し黙り様子を伺うしかありません。
心中相手に令児を選んだのは似非森先生の代わりですかと、唐突に切り出すチャコ。
自分も似非森から心中を匂わせるような事を言われたと言い、夫婦なのに別々の相手と心中しようとしているという疑問を、チャコはぶつけます。
そして、当初の目的でもあった令児を金輪際心中に誘わないで欲しいという事を伝えました。
死にたいなら夫婦で死んでくださいとまで言ったチャコでしたが、ナギは一つも反論せず令児とは心中しない事を約束します。
勢い任せに夫婦で死んでとは言ったものの、それはすぐに否定し出来たらアイドルを頑張って欲しいし似非森の本だって読み続けたいとチャコが必死に弁解していると親から電話が掛かってきて咳を離れました。
二人になった時、令児は自分からも似非森の代わりだったのかと聞きました。
その逆で、似非森以外なら誰でも良かったと言うナギでしたが、自分で気付いてる? と聞きつつ、令児は似非森に似ていると言います。
一人席を離れて外に電話しに向かったチャコでしたが、客に服を掴まれ、振り返ればそれはチャコの幼馴染みでもある玄でした。

少年のアビス29話の感想と考察
変な緊張感のある回でした。
ナギにはその気は無くとも静かな女同士の戦いが繰り広げられていたように見えましたし、恐らくその空気が嫌で令児は外に連れ出したのでしょう。
寝取った話も聞かれていたことから、寝室のドアが開いていた事でチャコが何を考えているか令児にもわかったのかもしれません。
ファン目線でテンションMAXのチャコでしたが、似非森からの封筒はチャコの中である種のお守りというか、自分を保つためのものになっているように思えました。
ファンを辞めますと言ったものの、クズだとわかりつつその人間性にも惹かれているようにも見えました。
アイドル時代のキラキラした姿と違い、その面影も無い今のナギですがそれでも煙草や実年齢にショックを受けるチャコ。
夢が崩れると言っていましたが、だからこそアクリルのナギと目の前のナギは別人と割り切り、覚悟を決めて言いたいことを言えたのかもしれません。
令児は誰かと鉢合わせすることを気にしていたようですが、以前もこのファミレスを使っていた玄なのかもしれませんし、残念ながら鉢合わせしてしまいました。
似非森の代わりですらなく、似非森以外なら誰でも良かったと言われた令児ですが、誰でも良い中の一人だった方が悲しい気もしますし、令児もそれは同じだったようにも見えました。
最後に、ナギは似非森と令児を似ていると言ったり、作中では初のチャコと玄の再会があったりと、次回も色々な展開が待っていそうです。
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