『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』は、月刊コミックゼノンにて連載されている荒井ママレ先生による人気漫画です。
3話は蜂に刺された事によるアナフィラキシーショックの疑いで緊急搬送された30代男性の救命措置に、薬剤師のみどりも参加します。
手順通りの薬剤投与と処置を施しているにも関わらず、患者のバイタルは一向に戻るどころか悪化する一方で焦るみどり。
患者の命はこのまま救えないのか……。
本記事では、『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』3話『近くて遠い目の前』のあらすじと感想を紹介していきます。
※ここから先はネタバレ注意です。
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アンサングシンデレラ3話のあらすじネタバレ
紅葉シーズンを楽しむ為に、ハイキングに来ていた峯田とその友人3人。
人が少ないコースで帰ろうと山道を歩くと、峯田は1本だけ真っ赤なモミジの木を見つけて写真を撮りにコースから外れてしまいます。
一人写真を撮る為に離れる峯田の目の前に、大きな蜂が現れました。
そんな休日、みどりが勤務する萬津病院では入院患者の処方薬の払い出しが終わり一息ついた頃です。
思わず眠りこけたところを救急の豊中にスマホで撮影されてしまいます。
補充分の薬を貰いに来た豊中と一緒にいたのは、当直でICUの休憩室で寝ていた瀬野でした。
歳も近く親しく見える二人の間で交わされる昨晩の患者の話題に全く入れず、関係を怪しむみどり。
豊中はみどりを整形の大津先生にタンカを切った件(第1話)で把握していたようです。
いる意味もわからない杓子定規の仕事だけで目の前の患者を見てもいない薬剤師が多いと、豊中は毒づきながらもみどりの仕事ぶりを評価しているようです。
そんな平和な薬剤部の部屋と、豊中に電話が来ました。
呼び出し先は同じ救急科。
蜂毒によるアナフィラキシーショックの疑いで10分後に30代男性が搬送されて来るとの事です。
薬剤部では電話の応答をした人が行く事になっていると瀬野は言いますが、他に数か所刺されている人も同乗しているという事で豊中は人手不足を主張します。
バタバタと慌てて準備するみどりの様子に溜息をつきながら瀬野も行く事になりました。
アナフィラキシーショックとは、血液低下や意識障害が起こる重症化したアレルギー反応で命の危険も伴うものです。
国内でも年間で20人前後の死亡者が蜂毒によって出ています。
必要な物として、カゴに血圧を下げる為のアドレナリンと硫酸アトロピン生食・メイロン・ラクテックを持ちいざ救急へ走るみどり。
『薬剤師』が救急の現場に関わるかどうかは病院の方針によって変わりますが、この萬津病院では5年前に瀬野が来てから積極的に関わるようになりました。
直接の治療は施しませんが、チーム医療の観点から頭数としても重要な役割を担っています。
目をかっぴらいて息も荒く緊張感を隠し切れないみどり。
それでも患者は待ってくれません。
運ばれて来た峯田和明33歳は、40分前にスズメバチに首を刺されてその後自発呼吸も無く血圧も低下しています。
声掛けにも反応はなく、アドレナリンを注射し救急車の担架からベッドに移動させて、豊中は心臓マッサージを開始。
アドレナリンを0.3ミリ注射し、3分後に再度同量の注射。
心臓マッサージは体力を消耗するので薬剤師であるみどりも交代要員の中に入り、参加します。
研修時、1分間に100回のペースで行うのでBPM100の曲を頭の中で流すと良いと教えられたことで、無意識に流れるようになった『アンパンマンのマーチ』に合わせて心臓マッサージを開始。
5分経っても意識は戻らず、アドレナリンを0.4に増やして注射。
峯田のバイタルは戻らず、遂に心肺停止となった事に呆然となるみどりをよそに、豊中はCPR(心肺蘇生法)を開始します。
意識が戻っていない事に気付いた瀬野は数か所刺された治療を受けた友人に、峯田が何か薬を飲んでいなかったかを尋ねます。
昼食時に血圧を下げる薬を飲んでいる事を知った瀬野は、急いで戻りβブロッカー服用の可能性からグルコガンの注入を指示します。
そんな可能性を考えていなかったみどりは薬剤部へ猛ダッシュで取りに行きます。
瀬野の判断から一命をとりとめた峯田でしたが、その瀬野がいなかったらとみどりは一人密かに涙を浮かべます。
やって来た豊中に茶化されながらも、内服薬の確認をしていなかった自分のミスを責めますが、それを聞いていた先生もレアケースだったからとフォローしてくれます。
それでも、みどりは今回のケースから薬剤部でも情報を共有し薬の見直しをするという向上心を述べます。
アイスでも奢ろうと『薬剤師さん』呼ばわりする先生に、豊中は『薬剤師の葵みどりさん』と指摘します。
その名前を聞き、先生も例の件でみどりの事は既に知っていたようで思い出してくれました。
医者に殴りかかったという尾ひれの付いた噂の人として……。

アンサングシンデレラ3話の感想と考察
整形・小児科と来て今回は『救急外来』です。
説明にもあったように『薬剤師』の救急現場への参加は病院の方針によるとの事ですが、受付で薬を出すくらいにしか考えていなかったので、これもまた新たな発見です。
確かに心臓マッサージ等の頭数はいた方が良いかもしれません。
全く医療の仕事に携わった事がないので初耳の事も多いのですが、薬剤師さんも看護学校を通り心臓マッサージ等の技術を習うようです。
患者の命が左右する現場で無意識に『アンパンマンのマーチ』が流れて来ると絶対に笑ってしまいそうですが、バイタルが戻らないというような今回のケースは勿論、実際はいつもそんな余裕は無いと思われます。
ハイキングコースから外れて写真を撮りに行く峯田ですが、そのまま転落して運ばれるのかと思いきやまさかの蜂でした。
そういった危険からも守る為にハイキングコースが決められている可能性もあるのかもしれません。
蜂がコース内に入らないように気を使ってくれるとは思えませんが……。
小さい時、蜂に襲われて一緒にいた親戚が「ミミバチだ! 耳刺すから耳塞げ!」と言うので両手で耳を隠したところ頭を刺されました。
幸い大事には至らなかったのですが、後日図鑑を調べてみても『ミミバチ』などという蜂は存在しませんでした。
蜂の話を見るといつもそれを思い出します。
蜂を見つけたら人の話を鵜呑みにするのではなく、全力でその場を離れるのが一番です。
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